第18話 冴子

一切のためらいも見せず、いきなり殺害しようとしたエレナ



銃口は弾かれ、発射された弾が建物の壁にめり込んだ



御見内が弾かなければ射殺されていただろう金髪は青ざめ



そしてその青ざめる金髪に向け、にやけるエレナが口にした。



エレナ「おしいなぁ~ もうちょっとでその金髪が赤毛になるの見れたのに~」



エレナの笑顔に含んだ狂気と怒り



それを垣間見た金髪に悪寒が走った。



何だ… このイカレた女は…



また美菜萌に制圧されし、もう1人の黒フードもエレナのイカレた行動にブルった。



御見内「悪いがお前等みたいな小悪党とは潜り抜けて来た死線のレベルが違うんでね ゾンビが現れた時点で変わっちまった人生観が更に変わってっから このお姉さんは一味違うぜ」



エレナ「おい パツキン 次 空気読めなかったらマジ頭ブチ抜いちゃうから覚悟しとけよ」



御見内「まぁ そうゆう訳だからもう観念して吐けよ… じゃあ話しを戻すぜ おまえ等の秘密基地は一体何処にあるんだ?」



再びエレナが金髪の眉間に銃口を向けた。



また御見内はノールックでライフル銃をもう1人の黒フードへと向けた。



御見内「逝く時はおまえも一緒だかんな さぁ さっさと答えろ」



カツ カツ カツ



不意に鳴り響くヒールの音…



金髪を睨みつける御見内の耳にそのヒール音が舞い込んで来た。



なんだ…?



御見内がゆっくり振り返るとこっちに向かって歩いて来る女の姿を目にした。



白衣のポケットに手を突っ込ませ、その白衣からちらつかせる派手なセクシーランジェリー姿の女に御見内は目を疑った。



冴子「ふふふふ あ~いたいた なぁ~にぃ いつまで遊んでんのよ坊や達」



エレナや美菜萌も振り向き、冴子に目を止めた。



そして美菜萌が冴子を視認するや否や、ギョッとさせた。



美菜萌「冴子!?」



美菜萌の表情が一瞬にしてこわばる



冴子を凝視するエレナ



冴子…?



金髪「冴子さん」



冴子「ウフフ こんにちわ抵抗組さん」



美菜萌「2人共 あの女には気をつけて下さい あいつに仲間達が何人殺された事か… 投げナイフの様に扱うメスに要注意です」



エレナ「へぇ~ それは楽しみね」



そしてエレナがハンドガンを冴子へと向けた。



エレナ「よほどスタイルに自信があるのか知らないけど白昼堂々そんな格好で出歩くなんて…… 頭おかしいって事はよく分かったから…」



エレナ「止まれ おまえ」



冴子「へぇ~ こんな所に隠れてたんだぁ 付近よく通るけど全然気づかなかった」



銃口を向けられようが何のその



気にする素振りも無く近づいて来る冴子に…



エレナ「シカト?」



パァーン



エレナが引き金をひいた。



冴子のすぐ横の地面が銃弾にえぐられる



それでも倉庫の外観を眺めながら近づく冴子に



エレナ「こいつ舐めてるわね もう殺るよ」



エレナがマジで殺ろうと射殺態勢で今度はしっかり狙いをつけた その時だ



冴子の目がカッと見開き白衣から一本のメスが取り出され 同時に



それはピッチされていた。



御見内、エレナの頬を掠めそうな距離を…



すぐ横を目にも止まらぬメスが横切り



壁に当たって落ちた。



冴子「あら 外しちったぁ」



御見内がスカした冴子の顔を睨みつけた。



こいつ… 素人の投げじゃない…



3人共冴子に釘付けになった 次の瞬間



御見内がふと背後から殺気を感じた。



そして背後へ振り向くや



青竜刀を拾い上げ、振るう直前の金髪がいた。



首を切り落としにかかる横一線の斬撃を御見内は素早くシフトさせ かわした。



一歩下がり、ライフル銃を投げ捨て



大振りした金髪に踏み込んでの密着



御見内は外套の襟部を両手で掴み、変則背負い



韓国背負い投げで金髪を背中から叩きつけた。



金髪「ぐはっ」



また同タイミングでもう1人の黒フードも美菜萌の不意を突き



押し当てられた長棒を弾き、懐からCQBナイフを抜くや、それを繰り出してきた。



美菜萌のキャップ帽が地面に落ち



すぐさまバックステップで回避 後ろに下がった美菜萌がリーチの長い長棒を構え黒フードと対面させた。



黒フード「随分とおちょくってくれたな えぐってやる」



美菜萌「……」



黒フードはそのまま後ずさり、冴子の隣へと着けた。



また綺麗に投げられた金髪も咳き込みながら起き上がり、青竜刀を構えた。



金髪「ゴホォ カハッ ヤロー」



金髪も痛がる表情で冴子の横につけた。



3、3に分かれた両陣



互いに向き合った両者



冴子「つ~か そちらの2人は誰?見ない顔よね」



白衣のポケットに両手を突っ込み、笑みを浮かべながら首をかしげる冴子に



金髪「よそ者のようです」



冴子「そ~ それより例の材料は?」



金髪「えぇ この建物の中に沢山いるかと」



冴子「そ~ なら発注してた若い男は確保できた?」



金髪「それは… あ!あります そこの男です」



御見内を指差した金髪。



冴子「ふ~ん この子か」



冴子がおもむろにポケットからメスを取り出し



そのメスを舌で舐めながらイカレた目つきで御見内を舐め回すように目にした。



冴子「まぁ いいっか そこの殿方は無傷で回収するように… そこの女2人も殺さない程度に痛みつけて回収よ…」 



金髪「承知 ですが…」



御見内「…」



冴子「ねぇ あなた大きくなった時のオチ○チンのサイズはいくつ? 回収後にパイプカッティングしたいから聞いておきたくて」



御見内「…」



エレナ「はぁ? おい 変態 何言ってんだよ テメェーは現代の阿部定か?」



冴子「わぁ~ 下品 ってかおまえ…さっきから五月蝿いね…」



御見内が冴子等を目にしながら拳をポキポキと鳴らし始めた。



御見内「パイプカットだと?」



金髪「冴子さん 無傷は難しいですって ペニスコレクターなんすからそこだけ無事ならいいじゃないっすか?殺さない程度に八つ裂きにしてもいいでしょ?」



冴子「駄~目 私は綺麗な身体で生皮剥いだり、骨へし折ったり、切り刻んだりしたいんだから… 最初から傷ついてるとげんなりして色々楽しみが半減するんだから…」



金髪「でも…… まぁ やるだけはやってみますが難しいで…」



金髪が正面を向いた時



目前には御見内の姿があった。



冴子「!!」 金髪「!!」



既に右の拳を振りかぶった態勢



そしてストレートが撃ち込まれ、金髪の顔面を捕らえた。



バゴッ



反り返り、金髪が地面に叩きつけられた。



そして冴子の顔を覗き込んだ御見内が口にした。



御見内「なぁ… 誰が誰のペニスを切り取るって…?」



怒りの表情でドアップされた御見内に冴子は少し眉をしかめた。



またそれを目にする美菜萌が驚きの表情を浮かべた。



あの冴子相手に…



簡単に接近した…



この2人って… 一体何者…?



冴子「…」



御見内「いいか… これからな…俺達の無双ぶりによって1人1人成敗されてくんだよ… これはおまえ等組織が徐々に滅ぼされていく話しなんだよ」

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