第4話 狂気
少女の名は早織
御見内「早織ちゃんか」
早織「…」
エレナは一間空け話しをきり出した。
エレナ「ねえ 早織ちゃん……さっきのあの人達は何者?何で追われてたの?」
早織「…」
エレナ「さっきの人達何となくだけどよそ者とは思えないの もしかしたらこの町の人達なんじゃない? 知ってたらお姉ちゃん達に話して貰えないかな」
早織は途端に口をつぐみ、俯いてしまった。
エレナ「何でもいいから お姉さんに教えて欲しいの」
御見内「エレナ」
いち早く少女の気を察した御見内がエレナの尋問を制した。
ハッとさせたエレナは俯く早織を覗き込んだ
エレナ「ごめんなさいね 早織ちゃん」
御見内は立ち上がり、早織の前にしゃがみ込むや
御見内「早織ちゃん 言いたくなければいいや お家は何処かな?送ってこう ママもパパも心配してるだろ」
すると 突如豹変したかの様に御見内を睨みつけた少女
早織「いないよ…」
御見内「え?」
早織「いないよ そんなの みーんなとっくにゾンビに殺されちゃってるよ」
涙目でその場からいきなり走り出した早織
エレナ「早織ちゃん!待って もぉ~馬鹿 こんなご時世なんだから 少しは言葉を選びなさいよ」
早織の後を追いかけるエレナ
御見内「えぇ~」
御見内も2人の後を追った。
早織が階段を駆け下り、荒れた1階をダッシュ中手首が掴まれた。
エレナ「待って ごめんね 早織ちゃん」
手首を振り払おうとする早織が強い口調で言葉を吐いた。
早織「放して下さい」
エレナ「嫌な気分にさせちゃった事は謝るからもう少し私達と一緒にいて…」
早織が暴れて振り解こうとした時
御見内がクリスと共に階段を下りて来た時
キィィー
なんだ…?
御見内の耳に車の音が聞こえてきた。
外が騒がしい
暴れるのを止めた早織が外を見ると1台の軽トラから数名の人影が降りてきた。
エレナもそれを目にした。
即座に穏やかじゃない空気を感じ取った3人
騒然となる
エレナ「ねぇ 早織ちゃん やっぱりお姉ちゃん達と居た方がいいと思わない?」
抵抗を止めた早織の手首が強引に引かれ、御見内の元まで後退
バンの周りに集まる人集りを目にした2人
鍬や鎌、牧場などで干し草をかき集める農業用のフォークからツルハシ、特大ハンマーまで手にした男達の姿
いかにも地元の町民らしき集団を目にした。
裏手からも声が聞こえ
いつの間にやら建物が包囲されていた。
また正面では黒いフードを被ったマント姿の男が住民に指示を出していた。
それを目にした2人が同時にハンドガンを抜いた。
エレナ「何かしらないけど物騒な雰囲気 お友達になれそうにないわね」
御見内「あぁ 何者か知らないがこの状況では この子を連れて逃げるのは難しそうだ」
エレナ「じゃあ殺っちゃう?」
御見内「この子の前で悪エレナ出すなよ でも奴等の出方次第では分からない… とにかく逃げる方法を考えなくては」
エレナ「逃げる方法か 頭痛いね」
すると
ウィィィィィィ
円形の回転された刃
エレナ「ねえ またあれ…」
草刈り機を持った男達が近づき、進入しようとしていた。
御見内「とりあえず2階へ行くぞ エレナは早織ちゃんを守る事に徹してくれ」
エレナ「分かってる まかせて さぁ 早織ちゃん一緒においで お姉さんから絶対離れないでね」
足早に後退り、2階に上がる3人
騒々しく取り囲まれた建物
これから室内戦がおこなわれようとしている。
2階へと上がり、窓際まで退いた御見内とエレナはハンドガンを構えながら階段を注視
耳を澄まし、周囲の物音に警戒した。
エレナ「ねぇ あんな騒がれるとあいつらまで集まってきちゃう」
エレナの言う通り… 奴等まで現れたら話しがややこしくなりそうだ…
その前に抜け出さないと…
御見内が窓から顔を覗かせ、脱出経路を探った。
裏口を包囲する数名の男達が見える
裏口に6人…
こいつら何人いるんだ…?
さっきの怪しいフード野郎といい…
この殺伐とした町民らしき男達といい…
一体何者なんだこいつらは…
何故この子は追われている…?
エレナの衣服にしがみつき、エレナの背後で怯える少女にチラ見した。
この子から詳しい事情を聞かなければならない…
「全員配置についたな 見慣れぬ余所者がここに逃げ込んだ 絶対逃がすなよ ガキも一緒だ捕まえろ 逃がしたら承知しないからな おまえ等全員継ぎ接ぎ人形にしてやる 心してかかれ」
それには…まずはここから…
御見内「エレナ 予備の弾倉は持ってるか?」
エレナ「ある訳ないよ 全部バンの中でしょ」
御見内「だよな って事はフル満で16発か 俺は12しか無い… 人数が分からない以上的確に命中させるように」
エレナ「ねぇ それ誰にもの言ってんのよ 道こそ外さないようにね」
ガシャ ドタドタドタ
奴等が屋内に入り込んで来た。
御見内「入って来たぞ エレナ とりあえず殺すな 撃つなら手足を」
エレナが頷くその下からドタドタ駆ける複数の足音が迫り
階段を駆け上がって来た。
距離数メートルの超接近戦になる
狙い済ます臨戦態勢で銃口を向ける2人の視線にまず飛び込んで来たのは鉄製の熊手を持った男と枝切バサミを持った男の姿
エレナ等を見るなり男達が襲いかかって来た。
パァン パァン
エレナ、御見内等から1発づつが発砲され、男の脇腹と肩に着弾
御見内が素早く前に飛び出し、足を止めた男の胸板に前蹴り、またもう1人の男の胸を両手で突き飛ばした。
2人は階段を転げ落ち、登り途中の数人を巻き込みドミノで落ちてゆく
御見内が階段から見下ろすやすぐ下には血走る団体様がこっちを見上げていた。
そいつらと目を合わせた御見内
どいつもこいつもイカレた目つき…
話し合いなど一切通じそうにない狂人だ
そして御見内がバックするや
ウィィィィイ
刃の作動音が屋内に入り込み
階段を上がってきた
その現れた男はつい先程2人を襲った奴の片割れ
ウィィィィィー
男が足を引きずりながら草刈り機を振り上げた 瞬時
パアン
間髪入れずにエレナが発砲
太股の銃創に加え、新たに加えられた銃穴が男の膝小僧を撃ち抜いた。
ギリギリギリガリガリガリ
男はズッコケ、草刈り機の回転刈刃が床に擦れ、不快音を奏でながら火花を散らした。
二たび前に出た御見内が男を階段から突き飛ばした。
ガタン ガタガタゴロゴロ ドカッ
転げ落ちた男
だが あとからあとからその男を踏み越え
男達が次々と階段を登って来た。
パアン パン パアン
3本鍬を振り回す男のスネや
セーバーソー 携帯丸ノコを手にした男達の腕や手に刻まれた弾痕
うずくまる奴等の背後から
次から次へと現れた。
電動グラインダー、フォーク、ハンマーなどを手にした町民の敵視に満ちた眼
会話を挟む余地など無い殺意に満ちた眼で踏み込んで来た。
パアン パアン パン パン
やらなきゃ殺られる2人は即座に迎撃の一手で弾丸を撃ち込み、男達を怯ませるのだが…
肩、腹部、太股に命中、悶絶して伏せった背後から否応なく現れる不気味な狂気的面相の町民達
鉈、ツルハシ、鎌とバラエティーに富んだ数々の凶器を光らせ、エレナ、御見内に襲いかかってきた。
パァン パン パン パァン
それを速射で迎撃する2人
エレナ「ねぇ やっぱ手傷負わせるだけじゃ限界だよこれ すぐ弾切れ起こして私達殺される…」
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