外対騎士団登場人物名簿・3
・エリムス
遠い島国、寒国の第三十七王子。妾の子であり平民として育った。
幼少期に作詩の趣味をバカにされ虐められた経験からやや内向的でポエマーと呼ばれるのを蛇蝎の如く嫌うようになったが、追い込まれると行動的になる側面もある。
普段からヴェールで口元を隠し、作詩もマリアローズというペンネームを使っている。
彼の詩は古典的な詩の形式に囚われない分かりやすさから若者に人気がある。
女性に告白されたのはアマルが初めてで、彼女のおバカさと奔放さが逆に好きらしい。
・イヴァールト四世
王国の先々代国王。今は故人。
慈愛と人徳に満ちた人物で周囲には好かれていたが、性格が為政者に向いておらず、彼の時代は王国はいまいち経済が振るわず外交にもあまり進展がなかった。
また内政も半端な面があったため、民からは暗君呼ばわりされている。
しかし、彼の海外への資金援助が後に外交での他国との強固な関係を築いた。
・レアンナ・アイトラン
ヒュベリオの妻。アイトラン家は特権階級であり、ヒュベリオの逆玉結婚である。
セドナに負けず劣らず甘やかされて育っており、高慢さはないが奔放。
記念日好きで、ありとあらゆる日を記念日として家族で祝いつつ夫のヒュベリオにサプライズプレゼントを用意するなどやや浮世離れしたところがあり、記念日を正確に記憶してプレゼント返ししてくれるヒュベリオには想いが通じ合っていると喜んでいる。
実際には旦那の不断の努力の成果なのだが、天然な彼女は気付いていない。
・マチ・ショルドア
ローニー副団長の妻。子供にリベリーがいる。
元々聖靴派の貴族の娘で、政略結婚でローニーと結ばれる。
彼女としては家の言いつけで結婚しただけで、当初はローニーに深い思いはなかった。
しかし、ローニーの島流しの際に彼の騎士としての信念と覚悟を垣間見て、改めて彼を支える妻として生きることを決意。実家と縁を切り、完全に外対側の人間になった。
ちなみに十年後の世界では第二子が誕生している。
・エリシア・レイズ・ヴェン・クリスタリア
ネメシアの妹。ツインテール。姉ネメシアに似て正義感や思いやりが深い。
ネメシアの性格が父に似たのに対し、エリシアは母寄りの柔軟な性格。
社交性も高く、平民に対する偏見もあまりないため交友関係は広い。
父の暴走に際して食い止めるために素早く行動するなど、決断力にも優れる。
・クリスタリア家の私兵部隊
元騎士団所属や海外での戦闘経験がある腕利きの私兵たち。
クリスタリア家に限らず大貴族や大商人は私兵を持っていることがある。
カルストに対する忠誠心が高いが、高すぎるあまり忠言できない。
・ヨシツグ・ナカタツ
列国の右大臣を務める男性。右大臣は列国内でも五指に入る有力な地位である。
ただ、当人は苦労人気質で厄介な仕事を任されることが多い苦労人。
妻子と一緒に過ごす時間がなかなか取れないのが悩み。
・ビクトリア
皇国のそこそこ裕福な農民の娘。
傷心の身で流れ着いたクロスベルと共に過ごすうちに彼に惚れる。
外堀を埋めて結婚式を強行するもまさかの逃亡で、裏切りに怒った彼女はクロスベルの行方を追い回し、彼の被害者たちと手を組んで遂には集団訴訟に漕ぎ着けた。
実はアルエッタと同じ地方の出身で豊満な体型だが、二人に面識はない。
・ミツハ
列国出身の流浪の女冒険者。剣士だが忍者の技術も多少持っている。
シェアハウスでクロスベルと一緒に過ごしている内に段々彼に惹かれていったが、婚姻の誓いを立ててすぐに彼は事故に巻き込まれ、再会したときには誓いの記憶を失っていた。
記憶が戻るのを待っていたら戻った途端に逃亡したので怒って集団訴訟に加わる。
・ソーヤ
湾国(本編未登場、皇国の属国である小国)の町娘。
海岸に流れ着いた記憶喪失のクロスベルの世話を焼くうちに両思いになる。
しかし、婚姻の約束をしたすぐ後に記憶を取り戻したクロスベルが逃走。
クロスベルを追ってきたミツハと一時は険悪な仲だったが、一番悪いのはクロスベルだという考えに至って団結した二人は集団訴訟の原告に名を連ねる。
・カルカナ
湾国の建築作業員の女性。鼻に貼ったばんそうこうが特徴。
男勝りな性格故に女性として見られないことをコンプレックスに感じていたが、クロスベルに女性としてまっとうに扱われるうちに段々と彼に惚れ、ある日お酒の勢いに任せて婚姻届にサインさせる。
後に別の婚約者を主張した挙げ句に三股が発覚し、彼女も集団訴訟の原告に名を連ねた。
アキナと同じく生まれは『ゴミの町』で、後に訴訟で訪れた王国にてアキナと仲良くなる。
・リマジ
湾国の女性音楽家。かなり色白で細身。
精神的にもやや不安定な部分があり、心配したクロスベルに面倒を見られていた。
最初はクロスベルを拒絶していたが、彼の諦めない献身に心を許す。
しかし自分に自信の無い彼女は告白する際に脅迫のような物言いをしてしまった。
結局クロスベルはすったもんだの末に逃げ出し、彼女は集団訴訟の原告に名は連ねるも自分の告白方法にも問題があったことを認め、彼との関係をやり直したく思っている。
・ナスターシャ
湾国の衛兵を務める女性。凜々しい顔から男女問わず人気がある。
女性関係に思い悩むクロスベルを放っておけず偽造婚姻を持ちかけた。
しかし、実際に籍を入れて偽の夫婦生活を演じるうちに本当にクロスベルを愛してしまう。
最終的に、婚姻被害者の会が押し寄せてきた際に躊躇なく逃走したクロスベルの無責任さに激怒し、彼女も集団訴訟の原告に名を連ねた。
・売店のおじさん(ハギワガ)
アルキオニデス島で露天商を営む男。
狩りで仕留めた野生生物の死体を加工して売りさばいていた。
ハルピーによる制裁で素寒貧になった後は、昔は良かったと呟きながら畑を耕している。
・バウ
アルキオニデス島で西と東を行き来する船頭を務める男。
漂流して島に辿り着いたために島の様子を客観的に捉えている。
当人は記憶喪失で過去を覚えていないが、かなりの武術の腕を誇る。
後に記憶が戻り、自分がタキジロウ・イセガミだったことを思い出す。
・プファル
王立魔法研究院所属の若き植物学者の男性。分厚い眼鏡をかけている。
植物のこととなると語りが長くなるが、それ以外は比較的まともな人。
フィールドワーク中は足下の草にばかり気を取られてなかなか進めない。
後に魔物毒を中和する新成分を菌糸類から抽出する手法を確立した。
・ハピ(ハピネス・ハビリア)
王立魔法研究院所属の若き海洋学者の女性。露出が多い。
元々は給金目的で特に志もなく研究院の門を叩いた。
その洞察力と大胆な仮説の立て方を評価されてフィールドワークで重宝される。
が、本人はそのせいで好きな都会暮らしと男漁りができないのを不満に思っている。
みゅんみゅんとの交流を経て、後にヴィーラ保護の活動に参加する。
・クラッツェ
料理研究家を自称する料理人。元はタマエの弟子だった。
僻地の変わった食文化や食材を調べるのが仕事であり趣味。
そのため、王立魔法研究院が僻地で長期のフィールドワークをする際は自分を雇うよう売り込みを書けており、研究院側としても彼の料理の腕を重用している。
・血気盛んな若者達
アルキオニデス島、ナルビ村の若者たち。
西と東の対立に感化されて余所者に対して攻撃的になっている。
しかし信念らしいものはないので、口は達者でも覚悟は半端。
・マシャン
アルキオニデス島、ナルビ村の村長を務める男性。
東西の分断を憂い、王国人を警戒している理性的な老人。
中立性と規律を重んじていたが、アルキオニデス島と王国の文化レベルの差に密かにショックを受けていた。騒動の終結後は王国との交流を少し増やしたらしい。
・トゥルカ
アルキオニデス島、ナルビ村にいる巨漢の戦士。
元は港町フロンに住んでいたが、父母の主張の違いによる家族離散に際して王国文化を拒絶した母方に付いて妹と父と別れてしまう。
短気で無愛想かつ協調性のない性格に見えるが、元来は好奇心旺盛な性格。
親友コリンの死やその親コリントスへの失望と怒りから、王国文化を激しく嫌う。
最終的には自分が罪や問題から逃げていたことを認め、東西を繋ぐ船頭になる。
・シャーナ
アルキオニデス島、ナルビ村の女戦士。
自らが女性であることから男性に舐められないよう気を張っている。
異母兄弟の弟ムームーをとにかく心配しており、彼の事となると誰より世話焼きで勇敢になる。
内に秘めた慈愛の精神は、アース・トーテムに亡き想いびとを想起させた。
・カチーナ
アルキオニデス島、港町フロンに住む少女。
口が悪く生意気で無鉄砲だが、本来は明朗快活な性格。
気を許した相手には素直になれないながら甘えを見せることもある。
狩りと商売にのめり込んでいく父や大人達を嫌っており、元々アルキオニデスにあった文化や技術が失われていくことに焦りと哀しみを覚えている。
事件後に家族と和解し、元の明るい性格に戻った。
後に外対騎士団に入団し、想い人のコーニアを猛アタックで結婚まで追い詰めたという。
・コリントス・アシズ
アルキオニデス島に住まう商人。帝国に独自の販路を持つ。
虎が原因で息子が死んだことを知って以来、復讐の為に虎を殺し尽くすことを決意する。
虎殺しの為にフロンの民に王国の経済を植え付け、神聖な虎を殺す動機を与え、仮に島の自然が崩壊して滅んでもそれで虎が滅びるならば構わないという狂気に支配されていた。
その暴走は歯止めが利かず、遂には数々の犯罪行為を犯してまで虎狩りを強行したが、最後は彼の忌み嫌う島民とハルピー、そして息子の真の死因だったオークに野望を砕かれた。
事件後は逮捕されて裁判にかけられたが、妻子を失い復讐も失敗した彼は心神喪失に近い状態だったために軽い罪で済まされたという。
その後すぐに獄中死が発表されたが、数年後に彼そっくりなオーキソスがコリントスと呼ばれ、アルキオニデス島に住んでいるのが目撃されている。
・ムームー
アルキオニデス島、ナルビ村の少年の戦士。
好奇心旺盛で自分の知らない様々なことを不思議に思い興味を示す。
ヘン、が口癖で、変わったことや不思議なこと、予想外のことをなんでもヘンと言う。
事件後はハルピーに混ざって王国の研究者に様々な知識を授けてもらい、大人になってからはアルキオニデス島の環境保護活動に精力的に関わったという。
・ゲバルツ
王立外来危険種対策騎士団、遊撃班の口ひげを生やした男性騎士。
騎士団内でも発言が過激で外道寄りで、ゲハハと笑うのが特徴的。
実は聖靴からの島流し組の一人で、父が士官学校の教官をやっている。
島流しの原因はシンプルな素行の悪さと品のなさだが、外対には馴染んだようだ。
・エトト
トゥルカとカチーナの父親で、商人兼狩人。
商才があり、王国の豊かさに憧れて商人になりお金を貯めていた。
しかし王国化を嫌った妻がトゥルカと共に東へ出て行ってしまい、カチーナとの関係もぎくしゃくし、自分の判断が正しかったのか思い悩んだ。
最終的には娘の願いであり家族のやり直しを選び、私財をなげうってアルキオニデス島の新たな在り方を模索することとなった。
・トゥルカの母 (ナウバフ)
エトトの夫、カチーナの母でもある女性。
アルキオニデス島の伝統的な暮らしや文化を愛する余り、王国文化を毛嫌いしていた。
夫と物別れになってトゥルカと共に東に移り住んだものの、親しい人もおらず西との気候や細かな文化の違いに疲れ、段々と精神的に病んでトゥルカに八つ当たりまでするようになった。
事件後にカチーナと再会したのをきっかけに少しずつ考えを改めたという。
・コリン・アシズ
コリントスの息子の好青年。現在は故人。
母と早くに死別し、父の男手一つで育てられたお坊ちゃん。
教育の賜物か知識豊富でトゥルカとカチーナとも親しかった。
しかし、箱入りだったせいで危険に対する警戒心が薄く、また行動的な性格だったのが災いして虎を求めて危険な場所に赴いてしまい、オークと遭遇した際に怯えて足を滑らせて山から転落死した。
・リズカ
王立外来危険種対策騎士団、工作班所属の女騎士。
騎士団内では事務、実力ともに優秀なキャリアウーマン。
男性優遇社会を嫌い、女性の活躍する社会を作ることを目指している。
が、考えが行きすぎて何でも男女の差異に話を持って行きがちで、自分が全女性の代表であるかのような言動が多い。
おだてに弱く、変なところで盛り上がる様を周囲はからかい半分に病気や発作と呼んでいるが、楽観的で仲間思いなため同僚にとっては頼りになるおもしろ騎士という扱いである。
・メイナス
王立外来危険種対策騎士団、遊撃班所属の女騎士。
リズカとは同期で、ややマイナス思考ながら人にはずけずけと物を言う性格。
ルガーに執拗に痔になれと罵声を浴びせているが、合コンではその口が災いになりがち。
牽制や援護に徹することで味方を動きやすくすることに長けており、クロスボウや爆竹の投擲の正確性やタイミングが抜群に上手い。
・オーリス
王立外来危険種対策騎士団、回収班所属の女騎士。
リズカとメイナスの一つ下の後輩で、フィーアと同期。ちょっぴり天然。
私生活では引っ込み思案な性格で、上記三人とはよく遊びに行く仲。
自信なさげな喋り方をするものの、仕事では常に冷静に状況を判断して動く。
・ぴろろ
ハルピーの少女。彼女に限らずハルピーは極めてマイペースな性格の傾向にある。
ぴろろは偶然騎士団と遭遇して以来、キャリバンの頭頂部の乗り心地を気に入っている。
風を用いた戦闘能力は極めて高いが、まだ子供なので他人の血に動揺して大人を呼んでしまったりと未熟な面も垣間見える。
ハルピーの中では義理堅く情に篤い方のようだが、比較の問題なので緩く見える。
なお、ぴろろの名前の由来はぴろろろという彼女の鳴き声からヴァルナが命名した。
・チュン
ハルピーでぴろろの父。
ハルピーの中では面倒見がよく、気が回る方。
ヴァルナとオークの戦闘に怯まない程度の胆力はあるが、妻には尻に敷かれている。
・カァ
ハルピーでぴろろの母。
ハルピーの中では頭がよく、人間と会話が成り立つ方。
ただし会話に際して木の実を食べ続けないとやや知力が下がる。
これはハルピー全体にその傾向があるようだ。
・ホケキョ
ハルピーでぴろろの兄。
彼に限らずハルピーは記憶力が悪いが約束事はよく覚えている。
約束の解釈がやや独特で、彼らの視点で裏切られたと認識すると制裁を加える。
・グワ
ハルピーでぴろろの親戚。まだ若いハルピー。
ハルピーは基本的に大きな群れで移動することが多く、数年に一度、渡りという大移動で居住区を替える。
・弓使いの女戦士 (インジュ)
アルキオニデス島、ナルビ村の女戦士。
トーテムセブン襲撃の際にカルメに頼まれて弓矢を貸した。
年下のカルメを矢面に立たせることに抵抗があったために最初は断ろうとしたが、カルメの覚悟に満ちた目に戦士の意志を感じたらしい。
・アース・トーテム
アルキオニデス島に流れ着いた七頭のオーク達のリーダー。
アースとは『偉大なる大地』、カシニ列島においては『世界』のような意味でもある。
他のトーテムより特に体が大きく、漂着したドラゴンの骨で戦う。
全トーテム中最強を誇り、ネームドクラスの戦闘力と戦闘技術、そして知能を持つ。
ヴァルナとの戦いで重傷を負いつつも守っていた虎に危機が迫っているのを知るやいなや出血しながら逃走し、最期はコリントスに撃たれたながらも弟を守るシャーナに『彼女』の面影を感じ、彼女を守って立ったまま息絶えた。
・フウピリク・トーテム
アルキオニデス島に流れ着いた七頭のオーク達の一頭。
フウピリクはカシニ列島では風の化身という意味。
風読みに優れ、複数のブーメランに加えて手懐けた二頭の猪にブーメランの運搬と囮まで任せ、自分は見つからない位置取りを徹底する狩人。
カルメとの戦いで心理戦に負け、追い詰められて底なし沼に落ちる。
最期はカルメの介錯により、窒息する前に射殺された。
・イーシュジニ・トーテム
アルキオニデス島に流れ着いた七頭のオーク達の一頭。他よりやや小柄。
イーシュジニはカシニ列島では火の化身という意味。
火の恐怖を克服することで火を武器として使うようになっており、人間が捨てた布や油を利用して燃える棍棒を用いて戦う。
ナルビ村を襲撃するも、居合わせた騎士やくるるん、バウなどの協力により撃破された。
・シワンナ・トーテム
アルキオニデス島に流れ着いた七頭のオーク達の一頭。
シワンナはカシニ列島では水の化身という意味。
人間が捨てた荒縄を武器にしており、遊泳能力も高い。
水を染みこませた縄は硬くて重く、振り回しただけで人を殺傷するのに十分な破壊力がある。
港町フロンを襲撃するも、騎士団とハンターの協力によって撃破された。
・アマラ・トーテム
アルキオニデス島に流れ着いた七頭のオーク達の一頭。
アマラはカシニ列島では大地、ないし土の化身という意味で、アースとは意味合いが異なる。
アマラとコヨテは昔から固い絆で結ばれており、常に二頭で行動する。
腕部が異常発達しており、周囲のものを凄まじい筋力で投擲して戦う。
ガーモンに接近戦に持ち込まれ、抵抗するも一瞬の隙から崩されて撃破された。
・コヨテ・トテーム
アルキオニデス島に流れ着いた七頭のオーク達の一頭。
コヨテはカシニ列島では獣の化身という意味。彼にとってアマラは親友のような存在。
脚部が異常発達しており、驚異的な脚力と跳躍力を活かして木々を飛び交って上から棍棒で奇襲を仕掛ける戦法をとり、蹴りも強烈。
アキナの武器がリーチの伸びる仕込み斧であることを見抜けず撃破された。
・ギルデプティス・トーテム
アルキオニデス島に流れ着いた七頭のオーク達の一頭。
ギルデプティスはカシニ列島では森の化身という意味。
他のトーテムに比べて小柄で凡庸だが動物を手懐ける才能があり、猪の部隊を操る他、フウピリクに従う猪も元は彼が調教している。アーストーテムの武器を見つけたのも彼である。
ハンターを仕留める為に待ち伏せをしていたが、ハンター達の装備が予想以上に強固であった為に猪部隊が返り討ちに遭い、自らもコリントスに銃殺された。
・『彼女』
アルキオニデス島に流れ着いた七頭のオークと共に流れ着いていた、もう一匹のオーク。
メスのオークで、子を産む能力がない代わりに他の動物たちに優しかったという。
トーテムセブンは彼女が死んだ後も彼女を想い、彼女が大切にした虎を初めとする動物たちを守る為に人との対決を決意した。
・金に取り憑かれたハンター達
コリントスの子分とも呼べるハンター達。
自らの利益に忠実で、そのために他の生物を殺す事になんの躊躇もない。
実際にはコリントスによって金に夢中にさせられ、都合良く動いている状態。
事件後は財産も職も失い、何度か過去の栄光を求めて狩りに出てはハルピー達に睨まれてを繰り返し、社会復帰に時間がかかったという。
・研究者の女性 (モイラ)
アルキオニデス島に派遣されていた王立魔法研究員の研究者。
普段は子供嫌いを公言しているが、実際には接し方が分からないだけ。
怪我をして動けないカチーナのために勇気を振り絞ってシワンナ・トーテムに煮えたぎる牛乳の鍋を投げつけた。
・ぽっぽーと怒れるハルピーたち
アルキオニデス島に別荘を持っていたハルピーや、関係ない渡りハルピーの集団。
ぽっぽーは集団の代表格で、長老的な存在であるらしい。
ぴろろの『喚び声』で同族の危機を察知し、約束を破った人間に制裁を加えに来た。
最終的にキャリバンの機転によって彼らの制裁で人が傷つくことはなかった。
事件後はアルキオニデス島に暫く居を構え、島に人を見張るハルピーが一定数残るように彼らにしては計画的に渡りを行っているという。
制裁時はヤクザのような物言いのハルピーもいたが、制裁を済ませればいつものゆるいハルピーに戻った。
・強欲商人たち
アルキオニデス島に王国文化や経済を持ち込み、島から実質的な搾取を行っていたごうつくばりな商人達。
アルキオニデス島の固有種を王国や海外に売り捌いて財を成していたが、コリントスの大規模な虎狩りで得られる毛皮に期待して港に留まっているところをハルピーの制裁に巻き込まれ、全員が大損を被った。
実は聖靴派閥と裏で繋がりがあったが、事件を境に手を切られた模様。
・ヴァルナの両親
父はワサト、母はアルザー。どちらもおとぼけ人間でヴァルナは二人に苛々することが多い。
が、おとぼけの血統はヴァルナにも受け継がれているので人のことを言えない。
騎士を目指して奇行を繰り返していたヴァルナの面倒を見て、士官学校に行けるだけのお金の工面までしているので割としっかりした人たちの筈なのだが、ヴァルナがチェス棋士になったと思い込んだりお金に釣られて婚約を勝手に決めたりと息子が肩を落とすようなことばかりしがち。
・先代道具作成班長 (ダイクス)
アキナを次期道具作成班長に指名した職人気質の騎士。今は引退済み。
大工上がりの異色の経歴を持つ厳つい顔の男で、部下からの信頼は厚かった。
元々道具作成班はダイクスのカリスマで纏まっていた為、アキナの代替わりは大いに荒れた。
しかしダイクスは彼女の才能がこれから必要になると信じて疑わなかったという。
アキナもダイクスには恩を感じていたらしく、後に自分の結婚式に招待している。
・外対騎士団第二部隊の面々(大陸出身組)
ひげジジイ主導のスカウトで大陸からやってきた新人騎士たち。
多くが元冒険者で、環境に恵まれず収入に乏しかった者が多い。
安定した収入に惹かれて王国に移住したが、仕事は楽ではなかった。
だが、元七星冒険者であるシアリーズが訓練の面倒を見てくれるのは大きな心の支えと自信になったらしく、ベテラン騎士達の指導もあり短期間で一端の仕事が出来る集団に成長した。
・メンケント(メンケント・デ・ルフェ)
王宮騎士団所属の若きエリート騎士の男。
生真面目で堅苦しい性格で、王家に仕えることを誇りに思っている。
フリーダムなアストラエとそれを取り巻くセドナ、ヴァルナに翻弄されまくる。
最初は身分が低いのに不敬を連発するヴァルナを疎ましく思っていたが、段々フリーダムな三人の雰囲気に慣れてきてある程度柔軟に動けるようになった。
ルフェ家は軍門で、実はロザリンドの婚約者候補に挙ったこともある。
・イメケンティノス二十四世
皇国の皇王を務める男。
世界一の国家の自負からか、寛大ながら尊大な態度を取る。
しかし、固定的な社会のせいで段々と文明の停滞感が無視出来なくなっていることには当人なりに焦りを覚えているらしく、王国と距離を縮めたり改革派に異を唱えなかったりと皇国の未来を憂いてはいる模様。
美意識が余りにも常人とズレており、勇者専用の服と称して見るだけでも恥ずかしいような珍妙な衣装を用意させたせいで勇者クロスベルには避けられている。
・ルシルフル・ド・ウェンデ
皇国の男爵。中年で皇国改革派に密かに協力している。
温和な性格で、貴族にも平民にも分け隔てをしない。
騎士団を監督する立場にあるが、実際には爵位が上の腐敗した貴族にコキ使われている状態であり、騎士団内のあらゆる違反と腐敗に不満を募らせていた。
後に騎士団の腐敗が明るみに出ると、上司が首を飛ばされたことで繰り上げられ、騎士団監督者のナンバーツーになった。
王国のヴェンデル家とは名前が似ているだけで血縁の繋がりはないかと思いきや、どうやら遠い昔のヴェンデル家の興りと関わりがあるらしい。
・だらけきった皇国騎士団員たち
昔は騎士の立場に誇りと自負があった筈の、今では見る影もない騎士達。
実戦経験に乏しく、恵まれた皇都で戦わずとも十分な給金が貰える環境は、彼らを自堕落でクローズドな職場環境に誘った。
職場内での平民虐めや規律違反は当たり前で、上司も対応しようとしない。
しかし王に実情が露呈して以降はかなり風当たりが厳しくなり、何人もの騎士が解雇された。
・遊び人の女性 (リタ)
本来なら女人禁制の筈の騎士団宿舎に平然と出入りしていた妙齢の女性。
見張り人に小金を握らせて入り込んでは、ここで春を売る商売をしていた。
元はスラム出身で、当たり前の幸せな生活をするためにお金を貯めていた。
後に紆余曲折を経て父親の分からない子を連れたシングルマザーとなり、路頭に迷ったところをルシルフルと再会してウェンデ家の使用人になる。
その経歴からルシルフルのお手つき、愛妾を狙っている、などと心ない言葉を浴びせられ嫌がらせを受けたものの、真面目で一生懸命な仕事ぶりからやがてそのような声もなくなっていった。
・バーナード
元皇国騎士団所属の騎士の男。後に冒険者に転職する。
スラム出身だが、没落貴族の老婆に育てられたため人並み以上の教養がある。
華々しい社交界に憧れて出世のために騎士団に入団するが、あまりの腐敗ぶりと苛烈な平民虐めのせいで疲弊しきっていた。
実は元々はかなりの悪童であり、事件をきっかけに夢に見切りをつけると開き直って騎士団の備品をくすねて脱走。古巣の危機に駆けつけた。
以降は嘗ての悪知恵が働くあくどい性格に戻り、人生を謳歌している。
・ゲデナン(ゲデナン・ドーズ)
皇国騎士団、重装歩兵部隊長の男。
皇国騎士団の中では実戦慣れしている方で、判断力があり兵法の心得もある。
重装歩兵は装備が重いため、必然的にやる気のある部下が厳選されている。
部下からの人望篤く、良くも悪くも実直な男で、騎士団の腐敗には関わっていない。
六星冒険者のガストル・ドーズは彼の二番目の弟だが、彼が冒険者を志願した際に喧嘩別れして事実上の絶縁状態にある。
・ヨーヤル
皇国騎士団所属の平民騎士の男。
ヴァルナとの集団模擬戦に於いて目立つために名乗りを上げることに成功した。
先輩騎士達に迎合してごまをすることで虐めから逃れていた。
後に訓練の際に先輩騎士を押しのけたことにより彼らの怒りを買うも、彼らが王の怒りを買ったためになんとか報復を免れ、今も騎士を続けている。
プライドはないが、ある意味で環境適応能力に優れた騎士。
・兜くるくる騎士 (ククルクルック・ククルクー)
皇国騎士団所属の騎士の男。渾名はククル。
ヴァルナとの集団模擬戦に於いて兜をちゃんと固定していなかったせいで、ヴァルナに小突かれた際に兜が回って視界を奪われたドジな騎士。
結局訓練終了まで視界が塞がったままだったというどうしようもないドジ。
実は日常的にドジで天然な性格で、職場の愛されキャラだった。
事件後、騎士団再編に際して年功的に得た地位に対して能力が伴わないことを理由に降格処分を受けるも、仕事が簡単になったと当人は気にしなかったという。
・ディアマント(ディアマント・エル・ラ・ゴシャス)
皇国騎士団の参謀を務める男。
参謀の名の通り騎士団の作戦立案を担当しており、戦いには赴かないが机上では優秀。
ヴァルナとの模擬訓練では途中でヴァルナの糸を見破るも、時既に遅かった。
彼自身は騎士団内での不正に手は染めていなかったが、部下が手を染めているのを見過ごしていたことを咎められ、後に甘んじて減給処分を受ける。
・アレイン(アレイン・ド・ランツェー)
皇国騎士団の騎馬隊を纏める若き部隊長の男。精悍な顔立ちで騎馬隊の華。
名門ランツェー家の御曹司で、誇り高い言動と確かな実力から部下の信頼は篤い。
しかしプライドが高すぎて他の隊長格の言うことを聞かなかったり、部隊を率いての独断専行で参謀の作戦を無視したり、機嫌を損ねると他の部隊への協力を拒んだりと協調性は皆無。
自分を慕う者に対しては本人なりに優しさと責任感を見せるが、それ以外の相手は嫌味か尊大な態度を飛ばすため、彼を慕う者と嫌う者で意見は真っ二つに分かれる。
王国のヴァン・ド・ランツェーと姓が同じだが、これは王国が島に移住する際に付いていった家と残った家で分かれたため二つのランツェー家が存在するのが理由。
・騎馬隊副隊長 (ユーヌエルト・パルカトス)
皇国騎士団の騎馬隊所属の男で、アレインに心酔する側近。
彼の気性をよく知った上でサポートするが、アレインの障害を排除し機嫌を損ねないという指針でのサポートであるため、アレインが過ちを犯していても止めないどころか彼こそが正しいと思い込んでしまう。
騎馬隊の名誉回復のためにと元騎士団の支配者貴族達に唆され、アルラウネ亜種に寄生されたオークをコントロールして大騒動を引き起こした。
事件後証拠不十分で処分を免れたものの、真実を伏せたが故に逆に幼女の笛をぺろぺろした事実が残り、しかも家の政略結婚で用意された許嫁が十歳年下なので周囲には完全にロリコンだと思われている。
何も指摘してこないアレインの優しさが何よりも辛いユーヌエルトであった。
・ルネサンシウス(ルネサンシウス・バラント・ウル・ド・テベリウス)
皇国騎士団を束ねる騎士団長の男。騎士団歴も長いベテラン。
腕も確かで騎士団を動かすカリスマも持ち合わせ、礼節も弁えた皇国最高の騎士。
しかし、部下を可愛がる余りに騎士団の時代に合わせた変化を拒んでしまい、結果として騎士団が腐敗し質が低下の一途を辿る原因を作った。
事件後は引責辞任しようとしたが辞表を受理して貰えず、結局辞められたのは新体制が機能していると認められた三年後だったという。
・ミリオ
スラムに住まうバーナードの友人の男。髪が短い。
元気が良く見た目通り活発な性格で、行動力もあるが調子に乗りやすい。
スラムとスラムの外を繋ぐ便利屋で、商人まがいのビジネスもしている。
出身地故か多少非合法なことや悪質なことも平気で実行するメンタルの持ち主。
セドナのファンになり、後に彼女の情報調査の手伝いをする。
・シュタット
スラムに住まうバーナードの友人の男。髪が長め。
物腰が柔らかく、冷静に物事を俯瞰している。
ミリオと行動を共にしており、彼の商売も共に手伝っている。
調子に乗りやすいミリオをやんわり諫めたり、彼よりは良識がある。
セドナのファンになり、後に彼女の情報調査の手伝いをする。
・ドルファン
スラムの自警団『アンティライツ』のリーダー。かなりの巨漢。紅茶が趣味。
強面で態度も険しいが、それは自警団のリーダーとして舐められないために気を張っているから。
根は真面目な男なので一度打ち解けた相手には理性的に話す。やや苦労人気質。
妹のルルを溺愛するブラコンだが、同時に妹に強く出られない。
・教会のシスター達
皇国の女神教会で働くシスター達。炊き出しなどの慈善活動を行っている。
人々に分け隔て無く接し、この世から一つでも多くの貧困をなくそうとしている。
その姿を偽善者と呼ぶ者もいるが、彼女たちはそんな人にこう返す。
何もしない人間は、存在していないのと同じだと。
存在しているという声すら上げられず苦しむ人の為に、われわれはいるのだと。
・エリムスの三人の護衛(レイテ、プラトー、イリオ)
エリムスが寒国から王国に亡命する際に付き添った三人の若き護衛騎士の男達。
身分が下の相手でも分け隔てをせず愛嬌のあるエリムスに忠誠を誓っている。
亡命後もエリムスに付き従っているが、アマルとの恋愛は影から見守っていた。
寒国は美形が多く、この三人も美形なために後にイクシオンプロデュースの男性アイドルユニットとしてデビューすることになるのを彼らはまだ知らない。
・ギルド職員たち
王国の使者が視察に来ると聞いて通常業務をギリギリの人数まで減らして出迎えと講義を強行させられた職員達。
出迎えと見送りに駆り出されたヒラとやる気満々の上の人間との温度差が大きい。
しかもやっと終わったと思ったら大事件が発生して彼らは魔物と王国を呪ったという。
・ルートヴッィヒの仲間の冒険者たち
ルートヴィッヒがよく仕事に連れて行く後輩の冒険者達。
直接的な戦闘力は決して高くないが、サポート能力や知識を買われている。
・ルル
皇国スラム出身の三星冒険者の少女。
良くも悪くもあけすけな性格で、生意気かつ怖い物知らずだがどこか憎めない愛嬌がある。
同じ貧しい出身ながら七星冒険者まで出世したシアリーズのことを個人的に崇拝している。
バーナード・ミリオ・シュタットは幼なじみで、バーナードに恋しつつも素直になれなかった。
シアリーズ崇拝の影響もあり騎士嫌いだったため、後に彼とは余計に拗れてしまう。
バーナードが騎士団を抜けた後は素直に思いを告げて結ばれたが、今度は愛が強すぎてバーナードを困らせている模様。
・セフィール
皇国の冒険者の少女。槍を使う。ルル、マナの二人はチームメイトにして友人。
冒険者の中ではやや生真面目な方で、常識人。実家はそこそこ裕福。
ルルのことはよきライバルだと思っているが、あけすけな彼女のフォローに苦心することもある。
マナのことは妹のように感じているが、マナも満更ではないようだ。
・マナ
皇国の冒険者の少女。弓と短剣を使い分ける。
くせっ毛に小柄で見た目に気が弱そうなことから、年齢以上に幼く見える。
実際には好奇心旺盛で、意外と物怖じしない性格。記憶力も良い。
センスに癖があり、例え話の例えかたや『宵闇の剣鬼』をやけに気に入っている所などからその片鱗を垣間見ることができる。
・騎士道馬
皇国モルガーニ家がヴァルナに貸した馬。
オークの蛮行に義憤を抱き、ヴァルナと共に戦おうとした。
しかし市街地で馬は危ないというヴァルナの判断から共に戦うことは叶わなかった。
実は後にヴァルナと再会し、紆余曲折を経て十年後はイセガミ家で飼われている。
ヴァルナはヒヒンという名前を提案したが、マモリに即座に却下されてハヤテに決定した。
・カリム
スパルバクス二世と同一人物。バーナード達とも幼なじみ。
シュタットと特に親しく、初代スパルバクスの存在を彼にのみ伝えていた。
後に王国への恭順を条件に初代スパルバクス共々王国を影から支える役割を担う。
初代が助かったことは喜んでいるが、初代がアストラエに完全に敗北し、逆に彼を陶酔していることは複雑に思っている。
・ゴキブリたち
人類の近しき隣人、茶色の某。黒き閃光、増殖せし者。
スパルバクスに導かれて皇都『ジュボッコイーター』作戦に果敢にも挑み、散っていった儚き命。
一部の読者を恐怖のどん底に陥れたとかなんとか。
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