495話 死闘はまだ続きます
王宮は阿鼻叫喚だった。
テロリストによる占拠、及び戦闘による内外の破壊の上に、爆破を防ぐ為とはいえみゅんみゅんたちの合体魔法で水浸しにされた王宮内は、メイド視点では目眩がするほどの惨状と化している。男性の使用人はオークの死骸持ち出しに大忙しで、壁や床の修繕と庭園の修復に専属の職人達も必死だ。
嘗てない慌ただしさに包まれる王宮内を駆け回るメイド達の背中には、いつ終わって国賓達が出てくるかも分からない国際会議への焦燥が容赦なくのしかかる。それが来るのはもしかしたらもうすぐかもしれないのだから。
その最中にあって、次々に押し寄せるメイド達を全力で捌くのは王宮メイド長ロマニーである。
「駄目です、一階個室の一部カーペットもやられてます! ああ、クーレタリア製の最高級絨毯も!!」
「クーレタリア絨毯は洗い直せばなんとかなります! とにかく賓客が入る機会のない部屋は後回しにして廊下の修繕と水の痕跡の消去、破壊痕の修復に全力を注ぎなさい!!」
「メイド長! 廊下の調度品達の一部が地下で無事発見されました!」
「贋作とすり替えられていないか再度チェックし、一旦宝物庫前に運びなさい!!」
「水が流れ込んだ厨房の設備が壊滅です! 生鮮食品は腐敗の恐れが……!」
「日持ちしないものは優先的にまかないに使い、間に合わない分は非常食堂に回しなさい!! 腐らせるくらいなら全部利用するのよ!!」
自らも作業をしながら的確に指示を飛ばすロマニー。
執事長のセバス=チャンが負傷して動けない今、王宮を救えるのは彼女しかいない。中身は彼だがそれはさておき、王宮の現状修復の全権がロマニーの双肩にかかっている。王宮内の全使用人と執事を一時的に束ねる立場になった彼女に最初は「彼女に務まるのか」と周囲も不安そうな顔を見せたが、それらは杞憂に終わる。
「王国を救うための栄えある仕事!! ここが王国の最前線です!! 今こそ王宮を支え、維持するために培った全てのスキルを総動員するとき!! 王が会議を終えて戻ってきた際におしとかやに微笑み、何事もなかったのだと思わせれば我々の勝利です!!」
混乱の渦中でも徹底的に現場を見て的確な指示を下すロマニーの姿は一際輝いている。
これが王国の全メイドの頂点のあるべき姿だとばかりにカリスマ的な指導力を発揮するロマニーに、王宮メイドたちは恋に近い羨望を抱く。
「ああ、ロマニー様!! なんと気高く美しいの!!」
「メイド長にならわたし、抱かれても良いわ!」
「あの方が女性で本当に良かった! もし執事だったらわたし、もう仕事どころじゃない!!」
彼女の本当の性別を知らない熱烈なファンたちの士気が上昇していく中、妹メイドのノマと副メイド長のネフェルタンだけは素直にそのウェーブに乗れずに複雑な顔をしていた。
「ああ、またなんかお兄ちゃんがモテてる……」
「ロマは私が婿に貰うから渡すわけないでしょ……」
「えっ? ネフェルタンさ……えっ? 初耳なんですけどそんな話!?」
そんな恋の芽生えも、王宮の大混乱が収束しないことには進展のしようがない。
ここは王宮、メイドと執事たちの
王の顔に泥を塗らないため、メイドたちは休む間を惜しんで原状回復に没頭した。
◆ ◇
ある意味最も深刻な戦場――それは、医療現場だ。
王都内の宿泊施設をスクーディア家が無償提供して出来上がったそこでは、今まさに苦しむ人々を助けるための治療活動が行われていた。
「フィーレス先生、こっちの手当は最低限済んだわ!」
「おっけ! 本当に助かるわ、ジュドー先生!」
「嫌ねぇ、野暮なこと言わないでよ。こんな時に役に立つための治癒師でしょ?」
耐性のない人が見ればショックで症状が悪化しそうな筋骨隆々の女装治癒師、ジュドーの言葉に外対騎士団専属治癒師のフィーレスは嫌な顔一つせず頷く。
「素晴らしい志だと思います! それに比べてあっちのボンクラ共ときたら……」
フィーレスが騎士の骨折を治癒しながら仮設病院の一角を睨むと、王都に住んでいた金持ちお抱えの治癒師たちの方がびくりと震えた。彼女の助手達の視線も心なしか白んでいる。
無駄に良い服を着たこの治癒師たちは、騒ぎから逃れる為に大量の負傷者を放置して王都の外に逃げようとした商売治癒師たちである。治癒師は医者とはやや違うが、それでも大勢の負傷者を出したこの戦場では何人居ても足りない存在。それが、今回の仕事は重労働の割には金にならなそうだからと保身に走ってとっとと逃げようとしたのだ。
王都からかき集めたはずの治癒師の数がやけに少ないことに疑問を持ったフィーレスが書類仕事に忙殺されている筈のヤガラに確認を取り、彼が必死をこいて見つけ出したのがこっそり王都脱出の馬車を待っていた彼らだった。
フィーレスに詰められた彼らが「貧乏人の治療では懐が暖まらない」と開き直った瞬間、彼女の堪忍袋の緒が切れた。
『こちとら貴重な時間を割いてここまで来てるのにぃ……金とか、なんとか、ウダウダ下らないこと言ってないでとっとと怪我人の治癒しなさいよぉぉぉぉーーーーーッッ!!!』
過去最大級に激怒したフィーレスの叱咤は王都中に響き渡るほどだった。
更に、彼女と一緒に事態を聞きつけてやってきた治癒師ジュドーが追い打ちをかけた。
『お医者さんたちも看護師たちも、治癒の力もないのに必死に身を削って苦しむ人を助けてるのよ? 今こうして私たちが現場から離れている間にも熱に魘され痛みを堪える怪我人が何人もいるのよ? 貴方たちを止める気はないけど……本気で逃げる気なら、心底軽蔑するわ』
フィーレスの有無を言わさぬ迫力に加え、女装しているとはいえ筋骨隆々のジュドーから発される静かな怒気に気圧され、結局彼らは仮設病院で働いている。二人の真剣な治癒師たちの逆鱗に触れた彼らは、渋々ながら今まで一部の金持ちの為にしか使わなかった力を騎士や巻き込まれた平民の為に使っている。
彼らの拝金的思考の全てが過ちだとはフィーレスは思わない。
確かに、治癒師の仕事を安く買い叩かれることは問題がある。
能力に見合った待遇があるのが仕事の大原則だ。
だが、この緊急事態に保身のために逃げるのは、治癒師が社会に負う命の責任からの逃避を意味する。
「一人でも多く重傷状態から持ち直させる。そして私たちが対応出来ない部分は医者たちに任せる。騎士たちが頑張ってここまで堪えたんだから、いまさら私の元で誰も死なせるもんですか!!」
「フィーレス先生、次の患者なんですけど聖靴の若いのが指ちょっとすりむいたから治せって……」
「甘えたぼうやは尻でも蹴飛ばして追い返しなさい!! 重傷患者優先よ!!」
「はい! 怪我しない程度にスパーンってやっておきます!」
(真っ直ぐなコ。私が同じ年の頃以上に立派よ、フィーレスちゃん)
今もテロのせいで気分や体調が悪化した人、オーク襲撃のトラウマに悩まされる人、作業中に無茶が祟って運び込まれる人が絶えない仮設病院。そんな中で傷を癒やすことしか出来ない治癒師が担っている業務は全体のほんの一部に過ぎない。
しかし、その一部こそが人の生死を別つ。
ここもまた、終わらない戦いの最前線であった。
◇ ◆
パレードがあるということは、町並みを見られるということ。
当然、テロの破壊痕を悟られないように建築物や町並みの再建は急務だ。
「そこは骨組みだけでいい!! 倒壊だけはしないようにな!!」
「へい、アキナ姐さん!」
「ここの穴は修理が間に合わん! パレード用の垂れ幕で隠せ! 風に靡いて穴が見えないように細工忘れんなよ!!」
「はい、アキナ班長!!」
道具作成班のアキナを中心に、町の再建が進む。
流石に騎士と衛兵で建築物を修繕するのは無理があるので民間の大工などを一斉に呼び出しての総力戦だ。足りないものはスクーディア家が全力で提供してくれているが、特にギガントオークの戦いの痕跡が酷い。
そんな中、アキナ班長は効率の鬼と化して現場監督を務めていた。
同じ道具作成班のザトーはいつも通り彼女の補佐。
トロイヤ・リベリヤ・オスマン三兄弟は後輩のコーニアが駆け回って集めてくる現場情報を元に計画をリアルタイムで修正していく。建築物資の配分も彼らの差配だ。
「先輩方! アキナ班長から六丁目の崩落を全て垂れ幕で隠すのは美的視点から見て問題があると! あと二丁目三番地の建物の崩落について、瓦礫の撤去が間に合わないそうです!!」
「本部に連絡して応援呼ぼう~!」
「もういっそ日雇い労働を雇おう~!」
「さんせ~い!」
「騎道車が使えれば撤去も楽なのになぁ~」
「テロリストの拠点潰しに動かせるのは全部持って行かれちゃったもんね~」
リベリヤがため息交じりに指示書をガリガリと書いていく。
今現在、シェパーの部下から聞き出したオーク化施設制圧と『ニューワールド』の内通者の洗い出しに、聖盾騎士団と聖天騎士団のほぼ全てと聖靴騎士団の多くの騎士が駆り出されている。
なんせシェパーは王国全土を効率的にハイブリッド化するために施設を用意していたのだ。王都制圧に殆ど全兵力を投入したとはいえ、全国には計画を実行するための非戦闘員や予備兵力があっても不思議ではない。シェパーから計画成功及び失敗の連絡を受けて彼らが何らかの行動を起こす前に、全て叩く必要がある。
そんな訳で、騎道車はないしワイバーンも王都にはそれほど残っていない。
王都にそれほど来ていなかった聖艇騎士団も今頃大わらわだろう。
「帝国にはこういう状況で使える『重機』があるんだよね! 王国でも作りたいけど今それどころじゃないぃ~!」
「トマくんが特殊任務に駆り出されてるから書類書くの大変~!」
「でもでも他に適任がいないって言われたら現場に出られないよぉ~~!」
本来トロイヤ・リベリヤ・オスマン三兄弟は現場で動くタイプの人間だが、唯でさえ王都が大混乱の中で「すぐ直せるものと直せないものを分別する」、「最優先で絶対に修復する建築物を選定する」、「修繕する箇所と諦める箇所を見分けて具体的に指示を出す」といった高度な判断能力のある上役が騎士団内に外対騎士団道具作成班以外存在しなかったのが運の尽きだ。
彼らは即興で物を作ることやコストを削ってパフォーマンスを維持することに関しては王国一で、しかも建築物の知識や金策アイテム開発によって培われた『見栄え』の意識もある。というか、職人気質の大工達に言うことを素直に聞かせることが出来た理由が、指示を飛ばす道具作成班が『ある程度現場を理解している』と彼らが認めたからだ。
同じ事が出来るアキナとザトーは現場を統括していて忙しいし、いないと困る。
よって、三兄弟の代役が務まる人間は今のところいない。
普段は三人が他者を地獄に誘うが、今回は彼らが地獄に行く番だった。
「しんどいよう。おやつ食べたい~……」
「寝不足でお肌が荒れちゃう~……」
「腱鞘炎へのカウントダウンが~……」
「先輩たちってお肌とか気にするんですね……ちょっと意外です」
「するのはリベリヤだけだよ~」
「女の子だもんね、リベリヤは~」
「失礼しちゃうよね~」
「……………えっ?」
そしてどうしても破壊の痕跡を消しきれないと判断された場所では、最低限それ以上の崩落等を防ぐ処置を施した上で、ある決死の作戦が敢行されていた。トマも駆り出されているその計画は、ブッセ発案の計画だ。アキナ班長も計画内容を聞いたときは唖然としたほどの奇策である。
上手くいくかは実際にパレードの時にならなければ分からない。
それでも、とても一週間程度では直らない場所を覆い隠す策だ。
どんなに世界サミットが長引いたとしても、一週間も長引くことは恐らくない。
アキナは三日で全て取り繕うつもりで計画を進めていた。
「ほれ、結び目はこうするんだ!! 速ぇし壊れねぇ!!」
「あざっす、姐さん!!」
大工に技術を提供して現場の効率アップを図るアキナに、既に大工達は大幅な信頼を寄せている。アキナはそんな現場を更に鼓舞する。
「見てくれだけのハリボテでもいいが、絶対に安全性を確保して間に合わせろ!! 出来ねぇことは知恵を絞って工夫しろ!! 給料が気になるなら賃金交渉は後でオレがしてやらぁッ!!」
「アキナ班長のそれは自分の取り分確保したいだけでは?」
「給料でないとモチベ上がらねぇだろうがこの馬鹿野郎マークフォォォォーーーーッ!!」
「ベバブッ!? 本日四回目の八つ当たりッ!!」
泣き言は許されない。
時間が足りなくて間に合いませんでした、は外対騎士団では言い訳にならない。
現場に応えるだけのものを時間内に間に合わせる。
それがアキナ班長率いる道具作成班の仕事の流儀だ。
◆ ◇
王都の大混乱によって、今現在物流が大きく滞っている。
王都内のオークの死体処理と急ピッチで進む再建を前に、民は生活に困って満足に買い物も出来なかった。そんな中で最も困るのが食事だ。人は水と食べ物がなければ生きていけない。それを欠いた瞬間、従順な民衆は暴徒へと変貌する。
そんな彼らにささやかな幸せを提供するため、外対騎士団の外部協力者たる料理班は、思い切って朝昼晩の食事の無償提供を行う非常食堂を開設した。
「おい聞いたか、宮廷料理人が平民用に食堂を開いてるんだってよ!」
「俺、昨日行ったんだ! そりゃあ美味かったぜ! 今日の昼は父さんと母さんも誘うんだ!」
「平民が特権階級の食べるような食事に無料でありつけるなんて夢みたい!」
なんせ元宮廷料理人のタマエが、現宮廷料理人の弟子や知り合い、弟子たちをフルにかき集めて開設した食堂だ。これで不味い筈がないし、よしんば料理の素材が安物でも彼らの手にかかれば貴族も唸る美味な料理に早変わりだ。
評判は国からの通達を上回る口コミで爆発的に民に伝播し、翌日には凄まじい民が食を求めて押し寄せた。胃袋を温かく満たす非常食堂は、王都の惨状に未来が不安で仕方ない彼らの不安を大いに和らげ、しばし現実を忘れさせた。どんな偉大な魔法使いにも為し得ない食の大魔法である。
この食堂は民のためのエリアと復興労働従事者に分けられ、労働従事者には疲労回復効果を重点に置いた細やかな配慮のある食事を、民には一度に大量に料理できる煮込み料理を中心に栄養バランスも味も文句なしの食事を提供。
食材は王都の商人に加えて近隣の農村から直接買い寄せて、毎日違う味を提供する拘りも皆には有り難い。当然ながらその分だけ厨房は激しい戦場と化すが、今ここで踏ん張らずして何が料理人かと全員が奮起する。
巨大鍋をかき混ぜるタマエ料理長が檄を飛ばす。
「野菜の皮の一枚だって無駄にするんじゃないよ!! さりとて食えないものを出すのも許さない!! 極限まで無駄なく、美味しく、そして食いっぱぐれる可哀想な客がいないように大量に!! ここが料理人の腕の見せ所だよッ!!」
「「「おおー!!」」」
タマエの弟子たちが、彼女の方に視線すら逸らさず、しかし一体感のある力強い返答をする。彼らは知っているのだ、今ここで手を振り上げるとそれだけ調理が遅れることを。それこそがタマエの精神が彼らの中で息づいている証だった。
と、副料理長のスージーが息を切らせて駆け寄ってくる。
「タマエ料理長! ジャガイモの納入が夜までに間に合いません! 代わりにイセガミ商会が小麦粉と香辛料を提供してきました!」
「トギシに明日のレシピを考えさせな! いいかい、子供や老人だって来るんだから香辛料や歯ごたえを強くしすぎないよう言い含めるんだよ!」
「りょーかいですっ!!」
トギシはタマエの古い弟子の一人で、今ではタマエに並ぶ程の料理人だ。
タマエは彼に全幅の信頼を寄せている。
それが、副料理長のスージーには少しだけ面白くない。
(あの人、忠告を言い含めなくても大体タマエ料理長の懸念を理解したもの考案してくるんだよね……)
スージーの視線の先には、客の子供達がカリーというとろみのある香辛料の料理を楽しんでいた。カリーは人気の海外料理だが、辛みが苦手な者や辛くないと物足りない者のいる料理なのでスージーは当初反対したのだが、トギシは用意周到だった。
彼は、辛いものが欲しい人に提供するカリーの大鍋には追加スパイスを、逆に辛いのを嫌う人に提供するカリーには牛乳を所定量入れれば丁度いい塩梅になるように予め辛さを綿密に調整していたのだ。巨大鍋から分配された大鍋の単位で調整が出来るために無駄も手間も少なく、しかも後付け感のない味に仕上がった時、彼女は敗北感を覚えた。
「見てなさいよ。タマエ料理長の弟子にこの人ありって名前を轟かせてやるんだから!!」
幸い、ここは先輩料理人が連日山ほど料理をこなす最前線なのでテクニックは盗み放題である。スージーは舌なめずりして自分の担当に駆け戻った。
――誰もが、必死だ。
死に物狂いで運び、死に物狂いで修理し、死に物狂いで処理する。
肉体が悲鳴を上げようが、喉がひりつこうが、彼らは働き続ける。
束の間の休息も死なない程度のケアの域を超えず、思考能力の維持にさえ支障が出る。
それでも、戦いは続く。
もういっそサミットはよ終わって手遅れになれ、と願った騎士は一人や二人ではないだろう。
それでも、外対騎士団だけは諦めなかった。
彼らはこの国で誰よりも――『戦って勝ったらハイ終わりでは済まない現実』というものを思い知って働いてきたのだから。
「外対騎士団のやつら、まだヘバらないぞ……不死身か?」
「なんでこんなに現場を上手く回せるんだよ! 平民の寄せ集めなのに……」
「くそ、どの仕事でも外対が一番仕事が速くて確実でいやがる!!」
圧倒的な、現場で積み上げた経験の差。
それは、端から見る民でさえ分かるほどの隔絶したもの。
「民への配慮をしてくれるのは、やっぱ豚狩り騎士団ね」
「今回の事件も結局豚狩り騎士団中心で解決したんだろ?」
「それなんだけど、騎士連中は豚狩り騎士団のこと、外対って呼んでるのよね」
「知らないの? 王立外来危険種対策騎士団、略して外対だよ?」
「じゃあ今度からはぼくたちも外対って呼ぼうかな」
「外対騎士団はこの国で最も強くて頼れる最高の騎士団だ!!」
囃し立てる民の声など、外対騎士団には届いていない。
何故ならば、そう。
「ひーげっジジイっ絶対毟るっ!!」
「「「「オーオイ! オーオイ!」」」」
「ひげ髪財産ぜーんぶ毟るっ!!」
「「「「アーアイ! アーアイ!」」」」
「……ヴァルナ先輩、なんすかこれ」
「昨日の深夜に思いついた新しいかけ声らしい。このかけ声上げれば憎しみが湧き出て頑張れるそうだ。一体感が出るのはいいことだな」
「まかり間違っても民には聞かせられないっすケドね」
彼らもなんかいろいろ限界で外聞を気にしてる場合じゃなかった。むしろ外聞を気にしろ。
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