第227話 同じ空の下で戦います

 正直に言うと、飛び道具を持つ人間が最初に突撃という行動を選ぶのは予想外だった。しかし、同時に確信する。


 この男にとって飛び道具は、敵を倒す為の手段の一つに過ぎない。


「チェヤァァァァァッ!!」

「ふッ!!」


 銃の切っ先につけられた刃――銃剣の切っ先を銃身ごと薙ぎ払う為に俺は剣を振り抜き、寸での所で切っ先を変えたカイリーの一撃と激突する。


 カイリーは即座に銃を取り回し、剣の合間を縫って刃を接近させてくる。それを薙ぐと間髪入れずに銃底による殴打に切り替え一気に間合いを詰めてきた。


「ィヤアアアアッ!!」

「っとぉ!!」


 剣を逆手に拳を作り迎撃。俺の拳は銃に防がれ、銃で防ぐためにカイリーの攻撃は中断される。だが、次の瞬間カイリーは銃そのものを回転させて一気に刃をこちらの喉元に迫らせた。身を仰け反らすだけでは不十分と感じた俺はそのまま裏伝二の型・紙鳶しえんを応用したバク転で躱す。


 瞬間、カイリーが銃の先端をこちらに構えてトリガーに手をかけた。

 その行動の意味する所はすなわち、銃の真価の発揮。


「空中では身動きとれまいッ!!」


 間髪入れずトリガーを引くと同時、パァンッ!! と乾いた破裂音が響く。トリガーを引く瞬間に動いた俺は、銃口から恐ろしい速度で弾き出される弾丸を剣で弾き、そのまま着地する。


(あれが、銃と弾丸か。手が痺れそうだ……受け方を間違えたな)


 剣に影響はないが、腹で受けるより逸らした方が良さそうだ。

 弾いた際に剣に受けた衝撃は、なかなかのものだった。

 なるほど、情報を知らなければ一撃受けていたかもしれない。


(弓矢より速く直線で飛ぶ。つまり投擲武器や弓より着弾地点が分かりやすい。威力も弦を引き絞らなくていい。話だと弾丸を装填する必要があるらしいが――)


 カイリーは発砲が終了すると同時、銃に取り付けられたレバーを弄って細長い何かを銃に差し込んだ。一瞬の手遊びのような素早さで、どうやら弾丸は装填されたらしい。


(レバーを弄った際に小さい鉄の筒みたいなのが地面に落ちたな。弾丸を構成するパーツの一部か?)


 疑問も好奇心も尽きないが、もっと面白いのがカイリーだ。あれほどよどみなく銃に次の弾丸を装填して油断なく構えているのに、その表情は意外そうだった。


「前の戦いでは王国騎士は後半になると弾道を見切り始めたので、見切っても避けられない空中を狙ったのでアリマスが……これは母国に戻ったら対王国戦略の再検証が必要でアリマス」


 攻撃を防がれたことは予想外だったにも拘わらず、戦士としての動きに全く淀みがない。思考と体の動きが切り離されているというか、心が動揺しようと反復練習で体に染み込んだ戦士の動きがカバーしてしまっている。


 騎士も多かれ少なかれそういう所はあるが、帝国のそれはどこか違う。戦力の育成方法の差だろう。王国は当人が強い事が求められるが、帝国の兵士は恐らく弱卒でも一定の動きさえできればいいという風に割り切っているのだ。

 尤も、カイリーはその中でも才覚があったようだが。

 槍とも剣とも違う複雑な構造をした銃を、見事に接近戦の武器として取り回している。リーチを生かすかと思いきや突如接近戦に移行するのは、アストラエが見せた杖術とも通ずるところがあった。


 これが帝国最強の一般兵。

 戦った事のない職種との戦いに、あとどれほどの発見が秘められているのか。


「楽しい」


 自然とその言葉が漏れる。


「自分もでアリマス」


 カイリーは無邪気に頷いた。

 再度駆け出した俺たちは、再び激突した。




 ◇ ◆




「これは珍しい。あのカイリーという男、ヴァルナと同じ戦闘理念だ」


 VIP席から二人の衝突を観察していたアストラエがそう漏らす。

 同じく観戦しているセドナとフロレンティーナのうち、フロレンティーナの方が反応した。


「同じ? しかし、武器も間合いも全く違うように見えますが」

「見た目は確かにそうだね、フロル。しかしあの二人の戦闘スタイルっていうのは、シンプル過ぎて逆に難しいものなんだ」


 士官学校時代からの付き合いであるアストラエはすぐさま二人の戦いが似ていることに気付いた。セドナは何となく似ている事は感じていたが、言葉に変換しきれていない。


「説明してよ、アストラエくん! 私の為にも!」

「うむ。そもそもヴァルナという男はね、派手に動いているところが目立ちがちだが実際にはガッチガチの慎重派なのだよ」


 シアリーズが以前、ヴァルナのことを『石橋を叩いて壊して自分用に新しく作り直すタイプ』と称したことがある。ヴァルナが派手に動いているのは「いける」という確信、ないし早期解決の必要性があるから動くのであって、確信が得られない相手にはまず観察と揺さぶりから入る。


「ヴァルナは最小の行動で最大の利益を得る行動をひたすらに選ぶ。あいつの凄いところは、利益の大きさよりもリスクの少なさにこそ重きを置いていることだ。だから賭けはやらない」

「戦いってフツーそうじゃない?」

「理論上はそうさ。でも、相手の動きが鈍くて奥義一発叩き込んだら一気に逆転できそうってなると、人は今を見逃すまいとつい奥義を放っちゃうものだろ?」


 それは勝ちたいという欲との戦いだ。

 このまま安定行動をしていれば勝てるとしても、有効な行動があればついそればかりを使いたがる。自分も苦しいが相手も苦しい状況になると、理屈ではリスクを感じながらもついつい逸って勝負を仕掛けてしまいたくなる。


 しかし、相手がそういった心理を的確に突いてくるタイプの場合、その逸る気持ちが致命傷になる。


「ヴァルナは勝負に高揚はしても絶対に焦らない。ちまちま戦った方がリスクが少ないなら迷いなくちまちま戦うし、我慢比べが一番リスクが少ないと思えば迷いなく我慢する。確実に倒せる確信を得るまでね。相手する側としては厄介極まりないよ」

「確かに。ヴァルナくん集中力も凄いもんね」


 嘗て、ヴァルナをどうしても倒したかった士官学校の同級生が完全カウンター戦法でヴァルナに挑んだことがあった。時間制限なし、ひたすらヴァルナが攻撃するのを待ち、それにカウンターを叩き込むことだけ考えた戦法だ。


 これに対してヴァルナは、待ったのだ。

 僅かながらカウンターで負けるリスクがあると感じたヴァルナは、剣を構えたまま延々と、ひたすら待った。カウンターに全てを懸けた生徒が挑発を浴びせるも、一切耳を貸さずに待った。


 待って、待って、待ち続けて三時間。カウンターに全てを懸けるからこそ攻めに出られない対戦相手の集中力が陰りを見せ始めた時、当時ヴァルナを嫌っていた教官が助け舟のつもりでこう叫んだ。


『あと一分以内に決着が着かなければ、貴様ら一週間便所掃除だッ!!』


 ヴァルナが攻撃を仕掛けないのはカウンターで負けると思っているからだ、と教官は考えていた。だから否応なしに攻めさせる心の動機を作ったのだ。

 果たして、結果は一瞬だった。


 ヴァルナは一気に相手の間合いに接近し、一刀を振り翳した。

 ここしかない、と相手も剣を振り――しかし、ヴァルナは直前で一瞬だけ剣のタイミングをずらした。そのフェイントは対戦相手の剣を空振りさせ、そしてヴァルナの剣は何事もなかったかのように対戦相手の首筋に突きつけられた。


「僕は流石に最後の方しか見ていなかったんだけどね。その時にヴァルナに聞いたんだ。倒す算段があったなら何故早く決着をつけてやらなかったのか、と」


 対戦相手はカウンターなら勝ち目があると思ってこそ待つことが出来た。それが、蓋を開ければヴァルナにあっさりカウンターを見切られ全ては水の泡。その場で泣き崩れる彼が余りにも哀れに思え、少し強い口調で問い質した。


 対して、ヴァルナの返答は三時間に渉る勝負の決着をつけたとは思えないほどあっさりとしたものだった。


『本当にカウンターを極めていたなら今のフェイントは通じなかった可能性もある。あいつの努力がその極に達してるかどうかは、斬られるか斬るかのどちらかでしか判別できん。だから集中力が切れるまで待っただけだ』


 続けて、「俺の読みではあと三十分あれば確実だったんだがな……」と続けた。アストラエは生憎そこまで気が長くなれないので、もっと手っ取り早い戦法はあったんじゃないかと聞いてみた。


『そうだな。鞘投げて剣を振らせた隙に一撃は考えたが、弾いた瞬間に返す刀で斬られる可能性があった。こっちが挑発して乗せるのも考えたが、俺は口が上手くない。地面蹴り飛ばして砂で目潰しとか、こっちもカウンターの構えのまま摺り足で間合いまで入るとか、色々あったんだが……別に今日は急ぎでもなかったし、やっぱ集中力切れるまで待つのが確実かなと』

『うわぁ』


 そこで時間に余裕さえあれば三時間半待つという選択肢を真顔で選んでしまうのが、ヴァルナの戦闘理念である。それ以外の行動をせざるを得なくなると、次善の策で容赦なく敵を叩きのめした後に『不要なリスクだったか』と小声で顔を顰める。そしてもっと効率的に勝てる方法がなかったかを振り返り、次から低リスクの新戦術をモノにしてやってくる。


「ちなみに次に同じ試合をしたときは、鞘投げの後の反す刀に完全に対応できるようになってから挑んで一瞬で倒したよ。元から相手にそんな技量ないのにね」

「「うわぁ」」


 フロレンティーナとアマンダがゲテモノ料理を見せられたような顔をする。心が折れた同級生の心はセドナが励まして接着したが、彼はそれ以降二度とヴァルナに近寄ろうとしなかった。


「理論上勝てるなんて理屈では簡単な話さ。でも普通は心がどこかで邪魔をするから、折り合いをつけるために人は得意戦術や必殺技を編み出そうとする」

「で、いざかち合うと『え~出来ないなんて言ってないよ~?』って平気で相手倒しちゃうからね、ヴァルナくん。かっこいいよね!」

「……まぁ、セドナはああ言ってるが、僕としてはいたぶっているようで同意しかねるよ」


 目をキラキラさせて力説するセドナだが、彼女はこう見えて一度稽古を始めると勝とうが負けようが「もっとしたい!」と底なしの戦意を見せる厄介なタイプなので余り参考にはならない。

 アストラエとしては彼女の気質はいいことだと思うのだが、ヴァルナは内心ちょっとだけやめて欲しいと思っている辺り、この三人は絶妙なバランスで保たれている。


「……話が長くなったけど、そんなヴァルナとあのカイリーという男は同じタイプだ。格闘戦は出来るけど銃剣のリーチを生かした方がよりリスクが少ない。射撃はもっと出来るけど再装填の時間を計算に入れてリスクの最小になる瞬間しか発砲しない。この勝負、長引くぞ?」


 アストラエの読んだ通り、二人の戦いは拮抗し、勝負が動くまで更に十分もの時間を要すことになる。




 ◇ ◆




 切っ先と銃剣が幾度となく火花を散らし、隙間を縫うように拳や蹴りが飛び交い、僅か一回の接敵で複数回の思惑と攻撃がすれ違う。至近距離で行われるスピーディな応酬に会場も瞬きの出来ない展開が続いた。


 久しぶりに、こんなにも長く打ち合った。


 カイリーの戦術は恐ろしいまでにリスクを排除している。

 銃の発砲中の隙、銃剣の重量に振り回されるリスク、弾かれるリスク、先端の剣を折られるリスク、武器が邪魔して攻撃を避け損なうリスク、あらゆるリスクを考慮した機械的なまでに正確な動きと間合い。


 流石にここまで、しかも互いに全力で打ち合うと汗の一粒も落ちる。しかもその間にカイリーは俺の格闘術の間合いを見切り始め、発砲時にトリガーをフェイント気味に絞って時間差照準をしたり、俺を打倒するための戦術を練り続けている。

 しかし、今回ばかりはこれ以上時間をかけるのはまずい。


 その理由は、カイリーの勝利条件と俺の勝利条件が厳密には異なるからだ。


 カイリーは帝国代表として当然全力を尽くす所存だろうが、彼はあくまで一般兵である。彼の戦い方が看破されたとしても、一対一の戦いを前提とせず多くの新戦力を開発し続ける帝国にとって大した痛手にはならない。

 むしろカイリーはこの戦いで得た経験や他の選手との試合の見分をもとに更に戦術を改良し、敗北以上の利益を帝国に齎すだろう。カイリーはここで全力を絞り出してもお釣りが来るため、優勝が絶対の条件という訳ではない。


 しかし、俺は優勝賞金目当てであることもあり、負けられない。そしてカイリーとの戦いで時間をかければかける程、後の対戦相手に余計な情報を与えるリスクがある。色々な戦い方を習得しても、結局俺の剣術の基本は王国攻性抜剣術だからだ。

 まして相手の中にはシアリーズと同格である七星冒険者もいるのだ。あまり動きに目を慣れさせるのは良くない。ここは総合的に見て、勝負に出る必要がある。

 優勝を目指す人間は、勝ったら次がある。

 大会というシステムの難しいところだ。


 問題は――俺が勝負をかけてくれば、カイリーは必ずその隙を突こうとするだろう、ということだ。


 あいつの考えている事は手に取るように分かる。

 俺と同じ事を危惧し、俺と同じものを狙っているからだ。

 だから奴を倒すには、三手は先を読まなければならない。


(八咫烏を……いや、駄目だな。今は使えない)


 最も手の内を暴かれる可能性の低い技を考え、しかし止める。

 使える、という確信がないまま使えば、相手を殺しかねない。俺の知る限り、俺の習得した『八咫烏』という奥義はそういうものだ。だから使う訳にはいかない。


 武器の奪取――した瞬間にカイリーは格闘戦に移るだろう。

 格闘技は技量が拮抗している場合、体格が物を言う。俺の見立てでは激しい殴り合いになるだろう。ナイフも持っているし、銃剣相手より分が悪くなりかねない。


 銃剣の剣部分の破壊――単純に難しい。

 カイリーはあの先端が銃剣の最大の長所であることを熟知している。だから先端が捉えられるか折れる可能性があると判断したらすぐに刃を引いて間合いを取る。その判断力が抜群だ。


 投擲も考えたが、カイリーは対応してくるだろう。

 決定的な隙を作らなければ取り入れない。


 二刀流も同じだ。決定打にするには一手足りない。


 カイリーの予想を越える一手が必要だ――と、カイリーがまた僅かな隙を縫って発砲した。素早いステップで躱すと、足を狙ったらしい一撃は床に命中してバウンドした。


「……」


 銃弾は、跳ねる。

 そう考えた瞬間、一つのアイデアが浮かんだ。


(行動を変えるな。勘付かれるな。顔の下に隠せ。恐らくこれは帝国軍人にはない発想だ。次に同じ瞬間が訪れるまで悟られずに戦え)


 再度、接敵。銃を手足のように取り回し、時に足払いも仕掛けてくるカイリーの攻撃を捌き、先ほどと同じように一手先を読んだ新たな手を打ち、その手を読まれ、互いに距離を取る。


 この瞬間は、俺とカイリーとの戦いでは必ず生まれる息継ぎの瞬間だ。

 カイリーはこの隙にフェイントを交えながら銃を発砲する。


 奴が銃を完全に発砲すると確信したタイミングに、体勢を完成させなければならない。カイリーは時折発砲すると見せかけて再び接近戦に入ったり、弾丸を装填せずに照準だけ向けるフェイントに引っかからないかこちらを観察している。

 カイリーなりの必殺技を使う機会をずっと伺っているのだ。


 こちらの策が先か、相手の策が先か。

 手に汗握る駆け引きが、俺の集中力に拍車をかける。

 そして、カイリーの右手の人差し指は――完全にトリガーを引き絞った。


(今ッ!!)


 それを感じた瞬間、俺は裏伝の動きを総動員して身体をカイリーに対して横向きにし、両手で剣を構え――剣の刃ではなく、腹を全力で振りかぶった。


「――はっ!?」

「おりゃあああああああああああああッ!!!」


 パァンッ!! という破裂音と共に迫る弾丸を、俺はフルスイングした剣の腹で受け止め、考えうる限り最高のコースでカイリーに打ち返した。


「ぼ、防御ッ!!」


 カッキィィィィィィンッ!! と甲高い音を立てて自分に跳ね返ってきた弾丸に、カイリーはまずいと分かっていても咄嗟に銃で顔を庇った。


 顔は人体にとって思考や知覚を司るのに非常に大きなウエイトを占める器官だ。生物は顔を本能的に守ろうとするし、兵士として訓練されたカイリーには余計に弾丸が顔面に命中することのリスクを知っていた。


 たとえ今回使用している弾丸が非殺傷仕様だとしても、否、実弾を使うが故に、カイリーは顔を庇うしかなかった。訓練でもやはり、頭部を守る事は重要なことだった。


 その手は悪手とは言い難い。

 しかし、『そうならないよう立ち回れなかった』ことは、悪手だった。


「この勝負、俺の勝ちだ」

「……まさか、弾丸を跳ね返すとは。小職、完敗でアリマス」


 俺の刃は顔を庇ったカイリーの喉元に、斜め下から突きつけられた。

 現場を観察する三人の審判が一斉に赤い旗を上げ、それを確認した司会実況のマナベルがマイクに向けて咆哮する。


『勝者、ヴァルナぁぁぁぁぁぁーーーーーッ!! やはりッ!! やはりやらかしたこの男ッ!! 実戦の中で銃を避ける、弾くはまだいいものの、まさかまさかの打ち返しッ!! やられたクーベル選手もこれには苦笑いするしかありませんッ!! 十五分に亘る激戦を制した騎士ヴァルナ、二回戦進出決定ぇぇぇぇーーーーーーッ!!!』


 会場が一斉に沸き立つ中、俺は剣を下ろしてカイリーと握手する。


「これからどうする?」

「今後は大会終了まで会場の戦士たちの行動をつぶさに観察し、帝国の戦術に組み込めないか精査するでアリマス! それが将来の帝国兵の糧となります故!」

「だよな。分かってた」


 戦術も戦略も、後輩たちが受け継いで発展させることが出来るから意味がある。一代一人限りでしか行使できない力は、真に組織に貢献し、誰かを守ることが出来ない。


「いい勉強させて貰ったよ。願わくばまたいつか手合わせしよう」

「小職も是非ともお手合わせ願いたい。これは仕事としてだけではなく、一個人としてでもアリマスよ?」

「趣味が出来たな」

「同僚に言わせればきっと、『ロクデモナイ趣味』でアリマス」

「俺もたまにバトルジャンキーって言われる」

「まさしく小職もでアリマス」


 本当に、善い出会いだった。

 この上ない充足感を胸に、俺とカイリーはステージを後にした。


 いつか仕事が辛くなった時、俺達はあの広い空の下で、同じ思いをしているのは自分だけではないと思い出すことが出来るだろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る