第155話 素直で真面目ないい子です

 時は、士官学校時代に遡る。


「……あれ?」


 普段ならネメシアが突っかかってくる食堂に入った俺は、そこにネメシアがいないことに気づいた。その時はラッキー程度にしか思わずにいつも通りセドナとアストラエに挟まれる形で朝食をとった。


「ネメシア、いないね」

「平和でいいことだ」

「君、ときどきヒドイこと平気で言うよね」


 今になればアストラエの言葉には一理あるが、当時の俺は彼女の苛烈な口撃によって疲弊していたので、本当に安らぎの時間だった。

 ところが彼女は授業にも参加してない。

 昼も彼女の姿は見られなかった。

 最初はセドナも「とうとうヴァルナくんのことを認めざるを得なくなって後悔してるに違いないねっ!」などとテンションの高いことを言っていたのだが、翌日になっても来ないとなると怒りで麻痺していた良心が復活したのかソワソワし始め、誰も座っていないネメシアの席にちらちら視線を送っていた。


 このままいなくとも個人的には困らない、と当時は割とドライなことを考えていた俺だったが、彼女と親しい友人がひそひそと「今日も泣いてる」とか「ご飯もあまり食べない」とか言っているのを聞くと、思いのほかネメシアの負った傷が深いらしいことを察してしまう。


 これは元々はセドナが勝手に買った喧嘩なのでセドナが様子を見に行ったり和解を提案するかとも思ったのだが、そもそも人生で碌すっぽ喧嘩をしたことがないセドナはどうすればよいか分からないのか、彼女のことをものすごく気にしながらも行動に移せず右往左往していた。


 ここで見かねて声を上げたのはアストラエである。


「喧嘩を売った手前、自分が行けば余計に相手を傷つけるんじゃないかとセドナは恐れてるんだ。実際、傷口に塩を塗ることにもなりかねない。当事者同士は互いに会えないのならば、問題解決は間接的に関わっている唯一の人物に委ねられることとなる……という訳で行けヴァルナ。部屋に入れるまでは俺がどうにかする!」

「何が『というわけで』だ! 確証ない上に一番厄介な所が俺に押し付けられてんじゃねーか!!」


 しかし、このままセドナをもどかしい状態で放置するのも確かに躊躇われる。それに、勘違い込みとはいえ、結果的に試験結果によって必要以上にネメシアを追い詰めてしまったかもしれないという呵責が内心にあった。


 そして、とりあえずご機嫌を取ろうと俺はドーナツを買っていった。

 理由は俺のお財布事情と、セドナはドーナツを気に入っていたから。

 後になって思えばそんな安物を手土産にするなどお里が知れる迂闊な行為だったのだが、田舎者の俺に貴族向けの手土産など思いつきもしなければ買える筈もない。後になってアストラエに選ばせて買わせればよかったなどと思ったが、後の祭りだ。


 学校の寮、明らかに平民部屋より広く豪奢であることがドアから伝わる部屋の前。アストラエはそこで猫を撫でるより優しい声でドアにむかって話しかけていた。一歩間違えばダメンズ三人衆が一角の霊感先輩のご同輩にも見えなくはない光景だったが、もちろんアストラエは中にいるネメシアに話しかけていた。

 俺の存在に気付いたアストラエはちょいちょいとこちらに手招きし、ジェスチャーで扉を開けたらすぐ入るように指示した。直後、ドアの閂がスライドし、ドアに隙間ができる。


「これでいいですか……申し訳ございませんけど、今の私は本当に人には見せられない顔をしているのです。どうか覗き込まないで……」

「ああ、覗かないよ。僕はね」


 優しい声で囁きながら俺に手でゴーサインを送っているあたり、紛うことなき外道詐欺師の発言である。嫌な相手とはいえ嫌がる婦女子の部屋に強引に押し入るというのは如何なものなのだろう。場合によっては致命的な問題になるのではないかと思いつつ、俺はやけっぱち気味にドアを開けてすっと中に入った。


「きゃっ!? あ、えっ、な、何で……」


 ネメシアの顔は、確かに他人に見せたいようなものではなかった。両目は泣き腫らしたのか赤くなり、髪も手入れがされておらず乱れている。服もネグリジェだし、唇までもが荒れている。

 王子と話していた筈なのに突然忌み嫌う平民の男が入ってきて、彼女は状況についていけず狼狽えている。可哀そうに、まんまと話術巧みな詐欺師に騙されたようだ。


「まぁそういう訳で、ヴァルナにぶつけるものをぶつければいい。大丈夫、彼の責任は僕がとり、僕の責任は彼が取るさ。外で待ってるから終わったら声をかけてくれ給え」

「いや全部責任とれや、作戦立案担当!!」

「なに、君なら大丈夫大丈夫」


 アストラエは笑顔でドアをばたんと閉じた。今から開けて追いかけてやろうかとも思ったが、そうすると今度はネメシアの機嫌を損ねて二度と開けられないかもしれない。

 俺は罵倒されるのを覚悟でネメシアに向き合った。


「あー……二日ぶりだな」

「……なによ。王子を騙して部屋に押し入るの? 弱ってる隙を狙って。見下げ果てた屑ね」

「いやぁ、見下げ果てた屑は言い出しっぺの癖に説得を全部俺に押し付けたアストラエだと思うけど。なんて言ってドア開けさせたのあのドクズ?」

「ドクズってあなたッ……ふんっ、貴方に答える義理なんてありません」


 国王の息子をドクズ呼ばわりする俺に一瞬絶句したネメシアだったが、すぐにお高く留まったいつもの口調で拒絶する。だがその声さえも、いつもの覇気はない。半ばやけになったように自分の部屋のベッド――天蓋付きで、平民の部屋より天井さえ高い――に静かに腰かけた。


「それで、何をしに来たの。私をあざ笑いに? 今までの仕返しにちっぽけな嗜虐心を満足させに? それともみさおでもご所望かしら? そちら側に王子がいるというのなら、そういうことでしょう」

「どういうことだよ」

「剣術試験第一位の貴方に私が力で適う道理もないわ」

「いや、力で駄目なら法に訴えるとかあるだろ」

「もういいわ、話にならない。セドナに何か言う価値すらない女一人、勝手になさい……」


 陰のある顔でそう漏らし、そのままネメシアはベッドに仰向けに寝転がって腕で目を塞いだ。

 全く意思疎通が取れない。しかし、少ないながら分かったことがあった。

 どうやら今のネメシアは心底落ち込み切って、思考が何もかもネガティブな方に走っているようだ。むしろ自己嫌悪で勝手に自分の世界に沈んでいる気がする。その理由については想像しかできないが、勝手にしろと言うならば勝手に話を進めるしかない。

 

「じゃ、一緒にドーナツ食うか」


 俺は買ってきたドーナツの箱の蓋を開けた。食欲をそそる香ばしさと油の混じった香りが部屋に広まるが、女の子の部屋に揚げ物の匂いを充満させるのは今になって思えばなかなかの無神経さだ。


「……なにそれ」

「だから、ドーナツ」

「そういう事じゃない。何で私が貴方と一緒にその小麦色のパンもどきを食べなきゃならないのかって言ってるの」

「腹減ってるだろ。腹減ってるとイライラして考えが纏まらないことあるし、せっかくお前のために買ってきたんだし」

「……盛ってるの?」

「盛られてんのは砂糖だけだっつの。いらないなら俺が一人で食うぞ。あーうめー。ドーナツうめー」


 事実、無駄金を使えるほど金のない俺にとってドーナツはたまの贅沢の類だ。特別好きではないが、たまに食べるととても美味しく感じてしまう。一つ目を食べ終えると少し喉が渇いてくるな、と思っていると、のそりとネメシアが起き上がって部屋の隅へ歩き始めた。


 何をする気なのか、と思っていると、部屋の隅にある魔導湯沸かし器――海外製の非常に高価なものだ――を動かしながらティーカップを並べ始めた。こちらの視線に気付いたのか、ネメシアは毒づくように言う。


「客人にお茶を出すくらいはするわよ」

「え、お前が……? 相手が卑しい平民でも?」

「たとい卑しい平民でも、アストラエ王子が認めて連れてきたなら客は客。貴方みたいなのには分からない感覚でしょうけど、私は教養ある人間なの。貴方より礼節も重んじてるわ」

「……」


 その発言には全く説得力を感じなかったが、日常はともかく来客に際する礼節で言えば俺のそれは間違いなく落第レベルだったのは、後になってから知る事である。

 ただ、ネメシアが俺に差し出したお茶は、たぶんスプーン一杯の茶葉でも俺の持ってきたドーナツとは釣り合いが取れないほどの高級品であることは想像がついた。そもそも紅茶を嗜む特権階級が自らの手元に安物の茶葉など置く筈もないのだから。


「ありがと」

「……ふん」


 目も合わせずに自分の分の紅茶を口にするネメシアだったが、やがてちらちらとこちらを見ながら、さりげない風を装ってドーナツに手を伸ばす。包みの紙に挟まれたドーナツをまるで啄むように控えめに齧る様は、彼女の普段の苛烈なイメージとのギャップが可愛らしかった。


「おいしい?」

「……うるさい。本当ならこんな安物、窓から捨ててもいいくらいよ……でも、私はドーナツが好きだから今回だけ特別に許してあげる」

「寛大な処置に感謝するが、食べずに捨てるのはやめとけ。セドナが聞いたら、食べ物に罪はないとかなんとか言って煩いぞ」

「ふふ、如何にもあの子が言いそうな……」


 言いかけて、途中で自分が思わず笑ったことに気付いたネメシアは「ふんっ!!」と思いっきり顔を逸らした。どこまでも素直じゃないやつだが、どうやらドーナツとお茶で気が少しは晴れたのか声にもハリが出てきた。

 紅茶を用意したのは彼女自身なので、自爆である。


「どいつもこいつもお前が出席してないって心配してたぞ。俺はそんなにしてないけど」

「……どうだか。少なくともセドナは上機嫌だったんじゃない? 私の鼻を明かせたんだもの」

「いや、努力したの俺なんだけどね。それにセドナの機嫌がよかったのは最初の一日だけ。翌日からは心配でしょうがないみたいだけどな」

「嘘よ。あの子に酷いこと、私いっぱい言ったわ」


 紅茶に反射する自分の顔を覗き込んだネメシアは、絞り出すように呟く。


「特権階級と平民の間に友情なんて成立しない。最初は良くてもいつか必ず利権と金に目が眩む。恋だって、添い遂げたところで不幸ばかり。私はそんな人をたくさん見てきたから、貴方とセドナがどんな関係であれ親しい間柄になれば不幸しかないと思った」

「……うん」


 俺には入り込めない世界を語るネメシアに相槌を打つ。

 むしろセドナよりこちら側に不幸が思いっきり傾いている気もするのだが、ネメシアの言いたいことはそういう意味ではないだろう。


「あの子、無邪気でしょ。現実が見えてない、華やかな所しか見えないお子様なのよ。だからすぐ人に懐く。その人懐っこさは危険なことなの。それを彼女に分かってほしくて……」

「それで俺を貶したのか……別に責める訳じゃないが、とばっちりは勘弁だ」

「とばっちりじゃないわ。貴方、いつもそうよね。ぼーっと無気力そうに見える癖に変な所でサバサバしてて、他人が聞いたら顔を顰めるようなことも平気で王子や彼女に言うでしょ」

「あいつらに付きまとわれたら俺だって言いたくなるわ。あのマイペース共は俺のことを気にしているようで実は自分の気持ちしか優先してない節が……」

「そっくりそのまま貴方にお返しするわ。無関心そうな貴方は、いずれ平気で二人を切り捨てることも出来る」


 その言葉が、俺の腹の底にずしん、と響いた気がした。

 鬱陶しいと思ったことも迷惑だと思ったことも、山ほどある。

 それにうんざりしてぞんざいな扱いをしたことも、ないではない。


 しかし、その行いが周囲にどう見えているかまでは考えたことがなかった。

 そこに掛け替えのない価値までは、見出していなかった。

 少なくとも俺はその時まで、二人の友達というのを本気で重んじてはいなかったことに、気付かされた。


「無関心そうな顔して口だけ友達みたいに接して、貰うものだけ貰って、用が済んだら一人でとことこ行きたい場所に行って、振り返りもしない」

「そんなことは……」

「――そんな男だからやめろってつもりで、あんな無理難題出したのに……あなたにとっては無理難題じゃなかったってことを、私は奇麗に見落としちゃったのね」


 ネメシアは俺がその言葉に深く考え込んだことには気付かずに嘆息した。


「私は貴方なんて取るに足らない、偶然ほかの平民より少し出来がいいだけの男だと思っていた。だから、そんな男に夢中になっていつか現実に裏切られたら傷つくのは自分だって判らせたくてああ言ったのに……見る目がないのは自分で、事実は見落として、セドナには嫌われて、間違いだらけ」

「じ、自分で言うのもなんだけどな。正直奥義習得に関しては間に合ったのが不思議で……」

「私は間違っちゃいけないのに。クリスタリア家の人間として……」


 フォローのつもりで言った言葉も、再び沈んでしまったネメシアには届かない。

 彼女の頬を一筋の雫が伝い、手に落ちた。

 彼女の悩みは、名家と呼ばれる家特有のものだ。

 特権階級でも気位の高い人間は必ず持っている――何も背負うもののない俺には、呪いか何かに思える矜持。


 クリスタリア家の話は少しだけ聞いたことがある。

 『法規の番人クリスタリア』――。

 王国議会で代々議長を務めるクリスタリア家は、聖靴派が国賊と成り果てぬ為の規範の城壁であり、真実を見定める神の目でもある。言い方は大げさだが、今になって思えば聖靴派が国王に睨まれないでいたのは、超えてはならぬ私欲のラインをクリスタリア議長がってきたからなのだろう。

 しかし、その絶対的な判断力が間違いを犯した彼女の心を苦しめる。


 なんというか――気負い過ぎだろう、と思った。


 たまたま妹と似てるだか何だかで面倒見てた子に嫌われて、諦めさせようと策を講じたら失敗しました、というそれだけの状況で、よく涙を流すほど自責の念に駆られるものだ。そこは普通、自分が悪いと思うのではなく「セドナはどれだけ諦めが悪いんだ!」と逆に怒ってもいい場面だろう。


「よーし、補習をしよう!」

「……何よ?」

「何を間違ったのか整理しよう。間違いを犯しても人生は続く。真の罪とは同じ間違いを犯すことだ。そんなに正しくなきゃいけないなら、正しくなかったことはどれだったのか考えてみろよ」

「間違った事……もっと無理難題を押し付ければよかった」

「コラ」

「条件を一つ増やせばよかった?」

「それも違うだろ」


 彼女は真面目に言っているつもりらしいが、そもそもにおいて俺は一つ指摘したい間違いがある。


「お前らの争いなのに何で俺が試練を受けて、その成否で決着つけようとしてんの? だいたいそれで俺が試練に失敗したところでセドナが素直に諦めるタマか?」

「そんなの! そんなの……そんなの、よく考えたら素直に聞かないって可能性を見落としてた……」

「しかもお前、さっきの口ぶりからすると勝負がついた後も結果に納得してなかったろ。この勝負、最初から破綻してんだよ」


 酷いオチもあったものである。最初から互いに互いの意見を認める気がないくせに盛大に他人を巻き込み、関係がこじれ過ぎて二人とも自分を責め始める。


「言っとくがな、もしこの勝負で俺が負けたところで、俺もセドナと縁を切る気とかなかったぞ。お前だって多かれ少なかれそう思ってるんだろ? よしんばお前の選択が正しかったところで、聞かないやつはとことん聞かない。今回のセドナがそうだ。だからお前は……あー……」


 少しばかり言うことを躊躇われるセリフだったが、腹を決めて言う。


「今すぐ顔洗ってセドナのところに行って、『今回は負けたがこれで終わったと思うなよ! 私は諦めないぞ!』とか言ってまた喧嘩してこい」


 俺に火の粉が降りかかることは覚悟の上だが、それでもセドナには一人ぐらい喧嘩のできる隣人がいた方がいい。彼女が前に言った通り、セドナは人が好過ぎる。今回の件に狼狽えているのも、内心では仲直りしたい気持ちがあるからだ。


「セドナはお前の子供でも妹でもない赤の他人だ。自分が導く、なんて重苦しいこと言われてもセドナは嫌だろ。対等な関係でいてやれ。俺はセドナが泣くところもだが、お前が泣いてるのを見るのも、なんか調子狂う」

「……うん」


 少し茫然とした顔で、ネメシアは頷いた。

 それを確認して俺は彼女の部屋を出た。



 その日の夜、夕飯の前にネメシアはいつも通りの面倒なオーラを全開にしてやってきた。


「セドナ!! 今回の件は私も負けを認めるわ。しかし、やっぱりセドナはそこの男と仲良くすべきではないと思うから諦めないわよ!!」

「えぇーーーーッ!! あれをクリアしたらヴァルナ君をバカにしないって言ってたのにぃ!! 何日か姿が見えなくて心配してたのに、損したっ!! ものすごく損した気分だよっ!!」

「ふん、勝手に損をしていなさい! 平民とつるんでいる時点で損ですー!! それと――」


 ぐるり、と向きを変えて俺の方を真っすぐ睨んだネメシアは、しかし怒鳴るわけでもなく落ち着いた口調でこちらに言葉をかける。


「ヴァルナ。平民の分際でと貴方を過小に見誤っていたこと、それだけはお詫び申し上げます。貴方は聡明ではないけれど、強い男です。ですので……ん、オホン! セドナと縁を切ると誓うなら、私のそばに控えることを許してもよくってよ?」


 それはたぶん、彼女なりのジョークだったのだろう。

 俺が断ると知っていての、これから迷惑をかけまくるという宣言みたいなものだ。

 当然、答えは決まってる。


「セドナを泣かせたくないんでやめとくよ」

「……そうですか。いえ、分かっていましたとも。分かっていた結果です……では、明日からはいつもの私ですので、悪しからずッ!!」


 言いたいことだけを言い終え、すっきりしたとばかりに晴れやかな顔でつかつかと去っていくネメシアを見て、俺とセドナ、アストラエは顔を見合わせた。


「戻ってきたか。平和な日々は短かったな、ヴァルナ」

「言うな。これでいいんだ、これで……」

「良くな~い……でもちょっとだけヴァルナくんのことを認めてはくれたし、完全に無駄じゃなかったのかな……?」


 その宣言通り、翌日からセドナとネメシアの関係はだいたい元通りになった。


 ただ、少し変わったことといえば……心なしかネメシアの俺を見る目が侮蔑からもっと個人的な不満になったことと、俺をダシにした勝負がその後一度も起きなかったことぐらいだろう。

 傲慢なようでいて意外と律義というか、なんというか。セドナに放った台詞が殆ど俺の言ったまんまの内容だったことと言い、根は本当に素直で真面目な子なのである。


 余談だが、このころから俺は二人に引っ張られるがままではなく、たまには自分も引っ張るようにした。今になって思えば、あれは俺が二人により近く歩み寄るきっかけになったのかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る