第105話 カーニバルの始まりです
空気そのものが比重を増したような、重苦しい空気。
半円状の会場に並ぶ視線が一斉にノノカさんと俺に突き刺さる。
とりあえず彼らの事は野菜か何かだと思う事にしよう。議長はヒゲも顔も縦に長いのでコーン、前列に座ってるおっさんたちも何となく顔の形でジャガイモ、カブ、トマトみたいにいい加減な名前を付けていくことで緊張が和らぐ。こんなこと考えているのを知られたら不敬どころじゃないけど。
こほん、とノノカさんが可愛らしく咳払いすると、議会の空気が僅かに軽くなる。議会の人間は基本的に五十歳はとっくに過ぎたような人々で構成されているので、ノノカさんなど子供か孫くらいの年齢に見えるのだろう。ただ、そこには侮りが半分ほど含まれているが。
「王立魔法研究院、オーク研究室教授のノノカ・ノイシュタッテです。本日はワタシのような若輩者をこのような場にご招待いただき――」
まずは世辞の句、といった感じで簡単な挨拶をするノノカさん。一人称も微妙に言い慣れていないがワタシに変わっている。普段名乗りもしない苗字まで説明している様は、普段の彼女を知っている身からすると正直笑ってしまいそうである。が、ここはグッと堪える。
ちなみに俺は名乗らない。あくまで助手なので彼女の斜め後ろに控えているだけだ。
「今回、ワタシが議会の場に召集された理由は他でもありません。これまで何年も大きな変化がなかった王国内の外来オークたちに、これまでに見られない急速な変化が起きた事を報告させていただくためです。皆さん、手元の資料をご覧ください」
議員たちが手元に予め配られていた資料を配る。前席にいるジャガイモ議員は自分でめくるのが面倒なのか隣のカブ議員の資料を横目で見ている。カブ議員は「またかよ」といった渋い顔をしているけど。常習犯かよこの議員。
「始まりは、クリフィアに出現したオークを解剖した結果でした。このオークは表面上は普通のオークでしたが、実際に解剖してみると皮膚の内側に……王国内で発見された通常種にはない毛があったのです」
ナギたちと共に討伐した荒地での戦いの裏で、ノノカさんはコツコツと回収したオークを解剖していた。その結果、皮膚の内側に外見からは分からない毛が埋まっていたことが判明したのだと言う。
議員たちの大半がその報告を見て、聞いて、だから何だ? という面を構えて雁首を揃えている。トマト議員に関してはあからさまに鼻で笑い、手を挙げた。
「ノノカ教授。それは学術的には興味深い発見なのかもしれませんが、ここは研究院の発表会の場ではない。それの一体何が議会の人間を集める程の問題なのか、わたくしにはさっぱり理解が及びませんな」
「ご心配なく。理解が及ぶよう説明するのがワタシのお仕事です。続けますよ」
多分な慢心と嫌味を含んだトマト議員をいなし、ノノカさんは話を続ける。
「オークに毛が生える事は決して珍しくはありません。害虫の多い環境や荒れた環境に生息するオークはそういった特徴を備える事もままあります。しかし、これが王国内に於いて発生するのは極めて重大な意味を有しています」
ノノカさんの目配せに応じ、俺は彼女の用意した背後のボードに張られた一枚目の紙を剥がす。すると、その中から次の資料が出てきた。配布された資料の続きのページであるそれには、王国と近隣の地理が、大陸部も含めて描かれている。
「王国にやってきたオークというのは、大陸部と王国の間を流れる海流を上手く利用して流れ着いたものです。そしてこの種のオークは大陸の沿岸部に広く生息し、毛の生えたオークのような『亜種』は大陸の内側に押しやられています。つまり、これ以上オークが王国本土に入り込んだとして、それは大陸部に生息するオークでなければおかしい。毛の生えたオークは出現しないのです」
「しかし、生物は環境に適応するものです。王国に流れ着いたオークもそれなりに長くここに暮らしてる訳で、荒れ地のオークが荒地に適応することなど当たり前では?」
「残念ながら、そう楽観視する事は出来ません」
首を横に振るノノカさんに応じて新たな資料を提示する。しかしノノカさん、質問の内容を全部把握しているかのように用意がいいな。流石はデキる女だ。
この資料の内容は、オーク学習ではあまり重視されない部分だ。議員の一部は知っていたようだが、大半が頭にクエッションマークを浮かべている。
「オークの変異が発生するには大まかに分けて二つの条件があります。一つ、競争相手に敗北して通常の快適な環境から離れて僻地で暮らさざるを得なくなった場合。一つ、種として近い存在との交配によって群れの特徴が変わっていくこと……」
「馬鹿馬鹿しい、王国内に魔物などオークしかいない! 条件の二つ目など考慮する必要もないだろう! 答えは環境だ!!」
「あり得ません」
声を荒げた議員――とりあえずピーマン議員にしよう――の言葉をノノカさんは真っ向から竹割りした。言い返されたピーマン議員が何か言い返す暇もなく、ノノカさんの追撃が入る。
「そもそも、王国内にオークにとって都合の良い環境などいくらでもあります。そして王立外来危険種対策騎士団による群れの間引きが行われている現状、オーク同士のテリトリーが重なって争いになる確率は極めて低い。そもそもに於いて、あのオークたちがクリフィアで細々と生活していた事それ自体が異常なのです。目撃証言や被害報告からも、クリフィア周辺にオーク発見の事例は発生していなかった事が調べによって判明しました」
議会がざわめく。いよいよ話の展開が読めなくなってきたことで混乱している者もいれば、不穏なものを感じている者、はたまたざわめきに気付いて長い居眠りから目を覚ました者もそれなりにいる。寝ているだけで給金を貰っているのだから羨ましい話である。
というか寝ている議員って存在意義はあるのか?
無駄な人材に無駄な金を使っている事に気付いて色々と見直せ、王国。
しかし、議会というのは全員が無能ではない。
こんなのでも自分の立場が悪くなりそうな話題になれば一致団結……とそれはさておき、頭が回る方らしい議員が疑問を呈す。うーん、あの人はハクサイ議員にしよう。
「しかしノノカ教授。それでは二つとも条件に当て嵌まらないのではないかね? まさか、原因不明ですとでもいう訳ではあるまい。君は学者だろう?」
「この事実を確認した際、二つの仮定が発生しました。一つは単純に、オークの環境適応能力が異常に高まっていることです。しかし、それならば別の地域でも亜種のオークが発生して然るべき。根拠として余りにも弱いものでした。この時点でワタシは、結論を出せませんでした」
言い終えてふぅ、とほんの小さなため息を漏らしたノノカさんは、一つ大きく息を吸いこんだ。彼女からすれば、ここからが本番だ。
「しかし、次の亜種オークの確認によって状況は大きく変化しました」
「ああ、この毛むくじゃらの白いオークか……なんとも恐ろしい事だ」
カブ議員が深いため息と共に、資料に目を落とした。
隣のジャガイモ議員は全く話に付いていけておらず、何でや? という表情を浮かべている。寒冷地で生息可能なオークという恐ろしい話も、オークに対する造詣の深さの違いでここまで反応が変わるものだ。
「イスバーグで発見されたこのオークは、皮膚内の脂肪の層の厚さ然り、手足の表皮然り、体毛然り、全てが寒冷地に生息する生物としての特徴を有していました」
「何ですと? 確かオークと言う生物は寒さが苦手で寒冷地には生息していないのでは!?」
「はい。しかし解剖の結果、イスバーグで発見されたそれは間違いなく寒冷地に生息する事を前提としたオークでした。これは世界初の事例です」
これで大陸の会議か何かなら、今更雪山に一種魔物が増えたから何なんだという話になる。しかし王国でこの情報は余りにも重大な意味を持つ。すなわち、今まで安全領域だった場所と時期が安全領域ではなくなるという事だ。繁殖期である夏だけでなく冬まで繁殖可能な種が出てきて、それが人間が足を踏み入れにくい僻地で繁殖したとなれば、もはや現在の王立外来危険種対策騎士団では対応しきれない。
それはそれで重大な問題である。
しかし、それだけでは机の上で王国を動かしているつもりの議員に対しては少しばかりパンチが足りない。それが証拠にジャガイモ議員もトマト議員もそろそろ話が終わりそうだと気を緩め始めている。なので、もう一発の弾丸を叩きこんで事の重大性に気付いてもらう必要がある。
「これは国内の対オーク政策に一石を投じる重大な問題なのですが――ここで一つ疑問が浮かびます」
「疑問? ……ああ、そうか。この毛むくじゃらオークが一体どこから湧いて出たのか、という問題かな?」
「まさにその通りです」
察しの良いカブ議員の言葉にノノカさんが頷く。
何故かカブ議員の隣のジャガイモ議員も自分の手柄みたいに頷く。
カブ議員は「何でお前がえばってんだ」という迷惑そうな顔でジャガイモ議員を見ると、ジャガイモ議員は「や、なんとなく」といったテレ顔で自分の後頭部を撫でた。もしかして仲いいのかこの二人は。
「先程述べたように、このオークが王国内で自然発生する確率は限りなくゼロです。無論、流氷に乗って偶然オークと交配可能な雪山の魔物が大陸に訪れ、偶然にもオークの所に辿り着き、群れのボスを倒して自分の子孫を作って、それがイスバーグ村付近に偶然辿り着いたと考えることも不可能ではありませんが……」
学者として可能性を思いつく限り提示するノノカさんだが、議員もノノカさんも俺も「それはまずないだろう」という考えが頭に浮かんだ。わらしべ長者でもあるまいし、そこまで都合よく王国の敵が出来るのでは運命の女神に重大な遺憾の意を表する必要がある。
であるからして、それが神の手でないのならば、別の糸によって紡がれている訳で。
「状況から鑑みて、人為的に『品種改良』されたオークである可能性が高いでしょう」
議会に、不可視なる一陣の風が吹いた。
「そもそも、群れの構成からしてこのオークたちは極めて不自然でした。大人のオスオークはたった一匹に、大人のメスオークもたった一匹。すなわちこれはオークの本能が構成するオークコロニーではない『
「……ま、待て。待ちたまえノノカ教授! 君は一体何を言っているのか理解しておいでか!?」
「学者に求められるのは事実に基づく可能性の提示ですわ」
こうなると、もうノノカさんは止められない。
きっと現在世界一のオーク博士であろうノノカさんの怒涛の説明に議会は半ばパニック状態に陥りつつあったが、その中でも「人為的に発生させられたオーク」という不吉な事実だけがしっかりと伝播してゆく。もはやこの議会は議員ではなくノノカさんのタクトに従い演ぜられるノノカ劇場だ。
……ノノカ劇場ってなんか響きがのほほんとしてるなぁ。
「恐らく番いを連れ込んだ何者かにとって、外敵である熊によって群れが壊滅状態になるのは予想外の展開だったと思われます。通常のオークコロニーならたとえ大型の熊が相手でも数で太刀打ち出来た筈です。この脆弱性も、人為的に手が加わってこそ発生するものとワタシは考えます」
「そ、そんなものは想像だろう! 証拠を伴わぬ妄言だ!!」
「そうだそうだ! ノノカ教授は議会を侮辱している! 至急追い出せ!!」
「……静粛に! ノノカ教授の発表は未だ終わっておらぬ。退出は認められない」
急激に余裕を失った一部の議員たちからみっともない怒声のような反論が飛び出すが、コーン議長は困惑しつつもその意見を是とする事はなかった。公正な判断の出来る議長で有難いものである。確か議会の議長は代々クリスタリア家という家の長が行っていると聞いた気がする。
何故議員たちが焦っているのか、俺とノノカさんには理解出来る。彼らは世の事には鈍感だが、自分たちに向いた流れに関しては激しく敏感なのだ。本能的に、或いは話の脈絡から、彼らは恐るべき嗅覚で危機を嗅ぎつけ、戦慄している。
「議長の寛大なる措置に感謝を。それでは続けさせていただくとして、確かに偶然にしては出来過ぎていますが、人為的と断ずるには今一歩足りない推測ではあります。ですので、もう一つ判断材料となりうる情報を提示させていただきます」
もはや目配せも必要ない。
俺は背後のボードに張られた用済みの資料を外し、最後の資料を白日の下に晒した。議会の一部から呻き声が響き、ぎゃあぎゃあと騒いでいた議員が項垂れる。そこに描かれている情報は、俺たち騎士団の肝を盛大に冷やしたあのデッドホーネットに関する情報である。
「イスバーグの騒動の後に発生したもう一つの騒動……そう、聖盾騎士団も駆り出されたデッドホーネットの騒動です。事件の仔細は割愛させていただいて、ここで重要な事実は二つ」
まるで推理小説の探偵の如く人差し指を振りながら壇上を歩き始めたノリノリなノノカさんは可愛いが、その可愛らしい指が向く先は決して愉快ではない事実を指し示している。
「ひとぉつ。誰がデッドホーネットを国内に持ち込ませたのか? デッドホーネットは大陸の人間に依頼してまでわざわざ国内に持ち込まれていました。それも、聖艇騎士団のチェックを綺麗に掻い潜って。そのうえ前金として運び屋が受け取った額は、とてもその辺の商人程度がポンと出せる額でもなし……つまり、海外に行く機会と伝手がそれなりにあり、かつ騎士団についてある程度内情を探れ、とても裕福な立場にある人間がこれを実行できるのです」
「……!」
トマト議員の顔色が青くなる。
完熟だったのに青臭い未熟トマトに逆戻り、という冗談はさておき、つまるところノノカさんが言いたいのは、デッドホーネットを国内に持ち込めるのは「偉い人」――例えば権力の中枢たる王国議会の議員のような存在がこの騒動の裏にいるという事だ。
海外に行って魔物を仕入れるなどという御大層な真似をする商人など王国にはまずいない。言わずもがな、魔物被害が少ない事が自慢の王国ではほんの一握りの厳しいチェックを通ったテイムドの魔物しか国内に持ち込めない法律になっている。それを掻い潜るには、王国の海外からの物資持ち込み検査の体制や法整備、詳細なスケジュールなどを把握していなければならない。
しかも、今回の任務では前金から成功報酬まで、合計で王都に屋敷が一つ買える程の額が提示されていたという。極めつけは彼が仕事を受けた理由だ。
「何でも、時々同じような依頼があったとか……犯人がそのような事を話していたそうですねぇ。ヴァルナくん、説明を」
「えー、今回魔物を王国内に運び込んだ男モクサンによると、数年前からこの手の依頼はあったそうです。曰く、『楽で儲かる大当たりの宝くじのような仕事』で、数は少ないながら依頼とかち合えば大儲け。決まって運び先は王国で、提示する金額も大体似たり寄ったりだったことから同一人物、或いは同一の派閥や組織に属する人間が前々から王国内に魔物を持ち込んでいた事になります」
「はっ! いつから騎士団は盗人の偽情報に踊らされるダンサーになったのかね? これだから豚狩り騎士団など――」
「なお、この情報については聖盾騎士団と話し合ってほぼ裏が取れた極めて信憑性の高い情報ですね」
「……す、素晴らしいな、聖盾騎士団の情報網は! いやぁ、頼れるのはやはり聖騎士団だ! 豚狩り騎士団のような品のない連中とは一味も二味も――」
「ちなみにこのモクサンですが、身柄が我らが騎士団から聖盾騎士団に移った途端に取り調べにウンともスンとも言わなくなり、何故かこの私こと騎士ヴァルナが出張して取り調べに付き合うハメに陥りました。どうにかして欲しいものです」
マジ何なんだろうねあのおっさんの俺に対する義理堅さ。
俺が取り調べに同行した時は滅茶苦茶物分かりがいいんだけど、俺がいなくなった途端に途轍もなくふてぶてしい態度に変貌するそうだ。王立外来危険種対策騎士団に居た時に話に応じてたのも、主に俺の同僚だからという側面が強かったらしい。
まぁ、説得した末にとりあえずセドナが俺の親友であることは理解していただいたので、これから無駄な出張を控えられると信じたい。
「ぬぅ、先程から聞いておれば生意気な……」
「ではそろそろ二つ目の問題へと移らせていただきます」
とりあえず俺に色々とケチを付けようとしていたおっさん――カボチャ議員と名付けた――が何か言い返す前にノノカさんが遮った。流石ノノカさん、援護するタイミングが完璧である。
「これが最も重要な話なのですが、実はデッドホーネットという魔物は魔物研究者の間では有名な渾名があります。それは『フェロモン製造機』……デッドホーネットの女王蜂を上手く利用すれば、特定の生物を従順にさせるフェロモンを生成出来るというものです」
「特定の生物……まさか、魔物にも?」
「生捕りの難しい魔物故にあまり一般的ではありませんが、聖天騎士団の手懐けているワイバーンも最初はデッドホーネットに精製させたフェロモンで慣らしを始めます。それでもあくまで慣らし……人間でいえばアロマでリラックスさせる程度のものです。しかし、もっとフェロモンの影響を受けやすい生物だと効果が段違いに大きくなります」
ここまで来れば誰もが話を察するかと思いきや、ジャガイモ議員は「何? なんのこと?」と首を傾げ、カブ議員が「お前秘書がいないと本当にポンコツだよな……」と目尻を抑えて呻いている。多分古くからの付き合いなんだろうなぁと勝手な想像しつつ、緊張感のない二人を無視してノノカさんは人差し指をビシリ! と最後の資料に付きつけた。
「そう――この王国で猛威を振るう外来危険種、オークに対してデッドホーネットの精製したフェロモンは極めて有効なのです! それこそ、人為的に『品種改良』を行える程にッ!!」
その言葉が意味するところは一つ。
すなわち、犯人はこの中にいる!!
……というと言いすぎだが、かなり近い意味だ。ノノカさんがオークに対して立てた二つの仮説のうち、急速な環境適応の線は消えた。今こそ残る一つの仮定が火を吹く時だ。
「結論から言うと、今回の報告はこうです! 今現在、王国内でオークの品種改良を行っている特権階級の人間が存在し、それがイスバーグの寒冷地オークを誕生させた可能性が極めて高いのですッ!!」
バァン! と力強く講義台を叩いたノノカさんの渾身の叫びが、議会を揺るがした。
「クリフィアのオークは恐らく品種改良の失敗作を放逐したもので、本命はイスバーグ! しかも過去に別の魔物を国内に入れていたのならば別種の局地でも環境適応型のオークを作っている可能性があります! これは国際魔物取扱条約に違反する重大な犯罪行為なのですッ!! よってワタシはここに――対オーク政策の新草案を提言しますッ!!」
さぁ、始まった。
もう問題は王国内だけで収まらなくなってしまった以上、見て見ぬ振りも逃げる道も議員たちにはない。例え短期的に目を逸らそうとも必ず国王の耳に話は届き、議会は真面目に対策を取らざるを得なくなる。
なにせこれは、下手を打てば身内から大罪人が出て王国議会そのものの信頼を揺るがせる大スキャンダルなのだから。
そして、騒ぎに呼応して動き出す男が一人。
「ではではその草案について、不肖ながら王立外来危険種対策騎士団団長であるわし……ルガーから説明させてもらいますぞ?」
今まで沈黙を貫いていたあのヒゲが、時は来れりとばかりににこやかな作り笑いで立ち上がる。
ノノカ劇場を終えた役者諸君、喜びたまえ。次はヒゲカーニバルの開催である。
俺はノノカさんと一緒に先に帰るけど。
ジジイの話とか付き合ってらんねーもの。
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