時限爆弾ケーキ その一

 無事に? チャーハンも食べ終わり、夫婦そろっての団らん。食後のデザートの時間である。


 時計のない食堂では、時間を気にすることなく、白い長テーブルに全員ついたまま、料理が得意な夫から、食後のお茶が配られ始める。


「緑茶ふたつ」


 盆から手渡しではなく、茶器は姿をすっと消して、ふたりの夫の前にすぐに現れた。ひとりはニコニコの笑顔で、髪が腰まである夫。


「ありがとうございます〜」

「すまん」


 もうひとりは、対照的に、極力短く切られた短髪で、地鳴りのような低い声が響いた。鼻に少しかかる男の声が、次の飲み物を配る。


「水ふたつ」


 少し味気ないお茶だが、超不機嫌俺さまの夫が、それは意思表示なのかと聞き返したくなるようにうなずいた。


「ん」

「ありがとうございま〜す」


 唯一妻、いや紅一点の声が、イケメン天国でスキップするようにウキウキでお礼を言った。今のところわりと和テイストな明智家だったが、洋物が出てきた。


「紅茶」

「ありがとうございます」


 広いテーブルなのに、茶を配る夫が動くのではなく、茶器が動くという超常現象が起きていたが、いつものこと、いや当たり前のことなので、全員スルーしてゆく。


 だが、妻は次の茶の名前から、引っかかり出すのだった。


「ジャスミン茶」

「ありがとう」


 妻の視界から水は消え去り、漆黒の長い髪を持つ夫の手元をじっと見つめた。


「え? それって、食前茶じゃないの?」


 そうこうしているうちに、次の飲み物の名前が出てくる。


「フルーツジュース」


 ボブ髪の夫の前に、細長いグラスに入った黄緑色の飲み物が現れた。


「サンキュ〜」


 それ自体がデザートである。デザートを食するのに、デザート×デザートであり、どんだけデザートする気かと、妻は密かに思う。


「それ、お茶なの?」


 そうして、また夫から笑いの前振りみたいなのがやってくる。


「ジンショット」

「すまねぇな」


 しゃがれた夫の声が響いた。


「それは、酒だわ!」


 近くにあったナプキンを、やってられるか的に、テーブルにぴしゃんと投げつけた。だが、それはまだ序の口だった。鼻にかかる声でこんな長い茶の種類が告げられたのである。


「第三宇宙の第二十七星雲にある、私はどこ?ここは誰?それは記憶喪失じゃくて、ただ混乱してるんじゃないの?茶房の限定5袋の緑茶」

「待っていました。限定物のお茶」


 羽布団みたいな柔らかさがあり低い声の男が、にっこり微笑み、それは手で受け渡された。水の入ったグラスに口をつけ、妻は文句ダラダラ。


「どんな店の名前? っていうか、長すぎて覚えられないわ! インパクトもイマイチで、それじゃ、店の売り上げ半減どころの話じゃないわ!」


 料理が得意な夫は椅子に腰掛けながら、


「俺は麦茶」


 着いたと同時に、盆を手裏剣でも飛ばすように横向きでシュッと投げた。どこまでも飛んでゆく盆だったが、壁にぶつかる寸前で、すっと消え去り、どこかへ行ってしまった。


 まともな茶に戻ったのを前にして、妻がボソボソと言うと、グラスが息で白くくもった。


「オール季節で麦茶」


 夫婦十人で、それぞれのお茶? をすするの図が展開していたが、妻は目の前に置かれたカラの食器に視線を落とした。


「あれ? お茶だけ? フォークとお皿はあるのに」


 こんな日は今までなかった。デザートまで上手に作る夫がおり、幸せな夕食だった。それがないのである。ボブ髪の夫は、子供が膝を抱えるみたいにして、椅子の上に足を乗せた。


「今日、デザートどうしちゃったの?」


 全員の視線が向かってきたが、鼻声の夫なりにきちんと説明した。


「作らなくていいって言われたから、作らなかったんだが……」


 いつどこで誰がどうしてがない夫。いや、これはおそらく策略的に、情報を与えられていないようだ。最初に緑茶を受け取った、ニコニコの笑みをいつも絶やさない夫の声が響いた。それは、りんとして澄んでいて儚げで丸みがある女性的なもの。


「僕が出しますよ」


 言葉遣いも至極丁寧。


「何?」


 ナンパするような軽薄な様子で、ボブ髪の夫は聞き返した。すると、テーブルの下から白い正方形の箱が持ち出されたのだった。


「こちらです」


 それはよく、子供の誕生日とかで見るもので、他の夫婦九人が声をそろえた。


「ケーキ?」


 ニコニコのまぶたにいつも隠されているヴァイオレットの瞳は姿を現した。それは、見なかった方がいいと後悔するような目で、邪悪。そうとしか言いようがなかった。


「えぇ、そうです〜。ですが、ただのケーキではありません。底に時限爆弾のスイッチがついてるものです〜」


 平和な我が家に、危険物が持ち込まれていたのだった。


「えぇっ!?」


 十人いるのに、驚き声を上げたのは、二人だけ。明智家はいつもうこう。鼻声の夫と妻だけ。他は驚かない理由があるのだ。


 慌てて立ち上がると、麦茶がコップからチャプチャプと、白いテーブルクロスの上にこぼれ落ちた。


「何で、そんな危険なものを家に持ち込んだんだっ?!」


 彼とは正反対に、邪悪な夫はニコニコ笑顔に戻って、こんなことを言う。


「危険ではありませんよ〜。スイッチは入っていません」


 ジンのショットを飲んだ夫が、あきれ顔をした。


とか言いやがって。てめぇ、入れるつもりだろ?」

「おや? バレてしまいましたか〜」


 確信犯だった。爆発させる気である。この女性的な声を持つ夫はおどけたように言った。いやおどけていようが、爆弾は爆弾なのである。


 鼻声の夫は怖くなって、椅子に座れず、背もたれに指をかすかに引っ掛けながら、


「わざわざ買ってきたのか?」


 隣に座っていた夫は慌てるでもなく、落ち着いて座ったままだったが、話してくる言葉がすでに崩壊していた。


「いつものミラクル摩訶不思議怪奇現象が起きちゃったんです。ですから、僕が名探偵になって、事件解決しちゃいましょうか」


 人が消えたり、ものが消えたりするだけでも十分おかしいのに、まだこれを上回る出来事があるようだ。


「いやいや、過少表現です! ミラクルも摩訶不思議も怪奇現象も、それ全部入れても足りません! この事件の真相は……」


 過剰表現ではなく、少ないほう。妻が言った言葉は。ジャスミン茶の香りを堪能していた夫が、ずいぶん間延びして聞き返した。


「どうしちゃったの〜?」


 箱からケーキを取り出して、髪を縛っていたリボンをピンピンと横へ引っ張った。


「仕事帰りに歩いていたら、ぜひ僕にこちらを渡したいとおっしゃる方がいらっしゃったので、頂いてきました〜」


 紫の月影が指す路上での出来事が、邪悪な瞳の持ち主の脳裏に浮かび上がっていた。さっきまで黙って見ていた、紅茶を飲んでいた夫から当然の質問がやってきた。


「面識のある方なのですか?」


 ニコニコの笑みは少し困ったような顔をし、人差し指をこめかみに突き立て、


「それが、どちらでも会ったことがないんです〜」


 全員、盛大にため息をついた。


「お前また、知らない人から物もらってきて……」


 いつもそうなのだ。この凛として澄んだ儚げで丸みのある女性的な声を持つ夫は。知らない人から、金品をなぜかもらってくるのである


「うふふふっ。世の中、親切な方がいらっしゃいますね〜」


 身の毛もよだつ笑い声をもらした。こんな人物なのに、プレゼントしてくる人があとをたたないという特異体質だった。


 ひと段落した会話。だが、ケーキは中央に置かれたまま。きちんとしたところで作られてはいるようで、甘いバニラの香りが漂う。イチゴが生クリームと逢瀬おうせを重ねるショートケーキホール。


「どうすんの?」


 フルーツジュースを飲んだ夫は、選択肢をふたつに残したままの質問を投げかけた。おっかなびっくりで席に座った夫は、こぼれた麦茶を拭き取る。


「危険なことはしないで、そのまま食べればいいんじゃないのか?」


 ジンのショットを渋く飲んでいる夫が、気だるそうな声を出した。


「あぁ? 何びびってんだよ? こんなん少し音が鳴るくれぇだろ? 家が吹き飛ぶほどのシロモンじゃね――」


 ただの時限爆弾である。規模は極力小さい――箱の中から紙を一枚取り出し、ニコニコの笑顔で、こんなことを平然と言ってのける。


「説明書には、惑星ひとつが吹き飛ぶほどの威力があると書いてありますよ〜」


 この言葉を聞いて、妻は思いついてしまった。


(時限爆弾ケーキ……あっ! わかった!)


 隣に座っていた漆黒の髪を持つ夫が説明書を受け取る。


「見せて〜」


 妻はそれを遠くに聞きながら、


(とりあえず……)


「本当だぁ〜」


 ジャスミン茶の前で、納得の声が上がった。さっきまでナンパするような軽い口調だったのに、急に丁寧語になったボブ髪の夫にも手渡される紙。


「俺も見ちゃいます!」


 妻の視線はテーブルの上を行ったり来たり。


(言うタイミングを見計ろう!)


「そう」


 そこにどんな意味があるのかもわからない短いうなずき。そうして、さらに左隣にいる夫の、紅茶の前に説明書が渡された。


「私も確認させてください」


(自然を装って……)


 何かを企んでいる妻の斜め前で、


「そうですか」


 ただのうなずき。さっきから一度も話していない夫が、超不機嫌俺さまで奥行きがあり少し低い声を食卓に響き渡らせた。


「今すぐ、爆弾処理班を呼んで処分するなり、預けるなりしろ。俺は部屋に戻――」


 そうやって、ひとり抜けようとした。説明書を元に返した夫が、紅茶を自分へ引き寄せる。


「おや? 決まりは決まりです。忘れたのですか?」


 明智家の夫婦の家訓が全員で告げられた。


「食事は全員で食べる――」


 限定茶を飲んでいる夫から、ボケという名の言葉が放たれ、


「守れなかった時には、甘く歓喜な離婚が待っています」


 妻が即行ツッコミ。


「いやいや、そこは、悲しくも切なくです!」


 好きで、この結婚を選んだわけで。離婚する気などさらさらないわけで。超不機嫌俺さま夫は不服ながらも、腕組みをして、居残ることを決意した。


「…………」


 十人いる夫婦だが、お茶を飲むだけで参戦していない夫がいた。ボブ髪の男は、何重にもかけているペンダントヘッドを、手のひらですくい上げながら問いかけた。


「さっきから話してないけど、お前はどう思っちゃてんの?」

「ただ食うだ」


 簡潔に、地鳴りのような低い声が返ってきて、全員ため息をつく。


「決まらない……」


 爆破させたい人とさせたくない人がいる。おかしな明智家だった。危険である以上、爆破させないはずなのに、ボブ男から妻に話は振られた。


「じゃあ、我が家のお姫さま、決めちゃってください!」


 妻は心の中で、ガッツポーズを密かに取り、


(よし! 話振られた! 来たっ!)


 少しぎこちない言い方をして、話を情報収集へとさりげなく一気に持っていった。


「お姫さまは、妻の心をかすりもしないんで却下です! 要求だけ受けつけちゃいます!」


 ボブ髪の男は万歳をして、テーブルの上をだだをこねる子どもみたいに、クルクルと左に右に転がり出した。


「え〜? お前は俺のお姫さまなんだけど……」


 即行、他の夫たちからツッコミ。


「お前だけじゃない。全員のお姫さまだ」


 妻は何事もなかったように先に話を進め、


「はい、それじゃあ、こうします――」


 夫たち全員が玉砕した。


「自分たちの愛がスルーされた」


 どこかずれている妻から出てきた言葉は、ひどく狂気でありサディスティックだった。


「時限装置を起動して、ケーキを順番に回して、何かのお題に答えて行く!」


 いつも以上に暴走してしまっている妻を前にして、夫たちは盛大にため息をついた。


「うちの奥さんはバイオレンスだ。惑星消滅を率先してさせるなんて……」


 死なない世界だから、みんなかろうじて納得はするが、惑星消滅は本当に起こるのである。星一つ吹き飛ばしたら、陛下から懲罰を受けるだろう。


 だが、そんなことはどうでもいいのである。妻はとにかく前へ物事を半強制的に進ませてゆく。


「その前に、結婚した順に、私の左から並んでください」


 九人もいるのだ。バラバラに並ばれては、ずれている妻の頭では、データがごちゃ混ぜになりかねない。いい感じで進みそうだったが、だだこねをしていた夫がテーブルから上半身を起こして、


「何で?」


 強行突破が阻止されそうだったが、妻も負けていなかった。いつの間にか手にはムチが握られており、慣れないながらも、ぴしゃんと床を叩きつけた。だが、やはり慣れずに、ムチの先が少しだけ頬にかすった。


「痛っ!」


 しかし、ここで引くわけにはいかないのだ。夫たちの情報が手に入る機会を逃してなるものかと。どこぞの女王さまのように高飛車たかびしゃに言ってのけた。


「お黙りなさい! この家の女王さまの命令よ。痛い目にあいたいのかしら?」

「今日はいつもより、うちの妻が壊れている……」


 強引すぎて、次々と意見されるが始まる。紅茶を優雅に飲んでいた夫から、ここが追求された。


「なぜ、お姫さまはいけなくて、女王さまはよいのでしょう?」


 確かにそうである。理論のない妻ならではの大失敗。頬をさすりながら、妻さっと目を伏せ、気まずそうに顔をそむけた。


「…………」

「お前、誰の真似しちゃってんの?」


 フルーツジュースの前で、再び何重にもかけられたペンダントはチャラチャラと取り上げられ、ひとり間に挟んだ隣にいた漆黒の髪の夫は、爪を見る仕草をしながら、


「どうしてSMなの〜?」


 そうして、酒をあおっている夫が、扱い慣れていないムチをちらっと見た。


「――っつかうかよ、何で待ってやがんだ?」


 妻の思惑は失敗に終わりそうだった。だがしかし、九人もいれば違うのである。ケーキをもらってきた張本人は、学校の先生のように、手をパンパンと鳴らして、他の配偶者たちを注目させたのだった。


「はいっ、みなさーん! 彼女の言うことが聞けない時には、僕のお仕置きが待っています〜。ピンヒールで顔を、血しぶきが天まで届くほどの勢いでズブッと踏みましょうか?」


 妻と同じように、バイオレンス満載で、惑星爆発を進ませようとする夫がひとりいた。しかも、ニコニコの笑顔なのに、言っている内容は極悪非道この上ない。


「巧妙にドS担当がすり替わっている……。というか、なぜ、夫がハイヒールを履いている?」


 このドS夫ときたら、嘘偽りなく本気でやってくるのだ。みんなは従うしか手立てがなくなったのである。ガタガタと椅子が後ろへ引かれ、夫たちはそれぞれのお茶を手に、結婚した順に椅子に座った。


 全員着席したのを確認して、妻がしっかりと仕切り直す。


「それじゃあ、今さらながら、旦那さまたち、自己紹介をしてください!」


 結婚しているのに、こんなところから情報を収集する妻。夫たちはあきれたため息をついたのだった。


「全員、名前はお互いに知っている……うちの奥さんの頭はどうなっている?」


 気にせず、妻はケーキを引き寄せ、主導権をがっちりゲット。


「じゃあ、始めます! 私から時計回りで!」

「自分もするのか!」


 なぜか入っている妻の自己紹介。彼女は少しだけケーキを傾けて、時限爆弾のスイッチを、ドッキドキでオンにした。爆発までマジでカウントダウン開始である。


「はい、じゃあ。んんっ! 私から。明智 倫礼りんれいです。職業は……逆ハーレム中です」


 しょっぱな違うところに飛ばしてきた倫礼。ボブ髪の男がペンダントヘッドを下へ落としながら聞き返した。


「それって、どうなの?」

「職業〜?」


 人差し指を頭痛いみたいに突き当てている夫の隣で、爪を見ていた漆黒の髪の人がゆるっと語尾を伸ばす。自分の膝元から視線を上げた男は、優雅に妻に味方した。


「いいではありませんか」


 妻が知らないだけで、夫婦、いやあえていうなら、夫夫ふうふの関係性はそれぞれできているわけで。この男が妻に言う時は、一にも二もなく全員賛成なのだ。


「お前が言うならいい」

「じゃあ、次」


 妻はまず一周目を無事突破し、隣にいる夫にケーキ――いや爆弾を滑らし渡した。


 針のような輝きを持つ銀の髪。襟足は一本の乱れもなく、前髪は右目だけを隠すように落ちている。左の瞳はスミレ色だが、鋭利さ極まりなく、今はビーム光線でも出して、ケーキを切り刻みそうな勢いで見ていた。


「俺はれんだ。ミュージシャンだ」


 奥行きがあり少し低めの声が急いで言ったが、ボブ髪の男が即行待ったをかけた。


「お前、修飾語抜けすぎでしょ?」


 規模は大きくても、できるだけ自分のところでは爆発して欲しくないものである。それなのに、次々と話せと要求が突きつけられる。


「ボクもそう思うなぁ〜」

「てめぇ、ただのミュージシャンじゃねぇだろ」

「飛ぶ鳥を落としちゃうアーティストです」


 ボケが再び発生。鼻声の男が即行撃破。


「いやいや、わかりづらいだろう、それって」

「はい、蓮は追加して答えてください」


 妻に右隣から仕切られ、夫は吐き捨てるようにうなった。


「くそっ! んんっ! 人気絶頂中のR&Bのアーティストだ」


 有名人がさっそうと出てきたが、とにかく、爆発するケーキとはおさらばしたいのだ。これ以上突っ込んできてほしくないわけで、鋭利なスミレ色の瞳はガンを飛ばし、けん制した。


「ん」


 短い声とともに、左隣の夫へケーキは遠のいた。


 紺の髪は肩よりも少し長めで、瞳は冷静な水色。声色は、こんな言葉は存在しないが、これしか見当たらない。遊線ゆうせん。それが螺旋らせんを描くのに芯のある声が、丁寧な物腰で言った。


「私は、明智 光命ひかりのみことと申します。優雅な王子です」


 夫であり、明智の分家であり、婿養子であり、ここは城ではない。どうもおかしいが、それよりもここは帝国であって、いるとしたら皇子。しかも、明智家は皇帝陛下とは基本的に関係がない。


「お前、ボケてくんの?」

「珍しいな。ひかりがそういう冗談言うなんて」


 ボブ髪の夫と、お茶を配った夫からそれぞれ、違和感を誘う言葉が食卓に舞った。妻の倫礼は一抹の不安を抱いたのだった。


(あれ? 光さんが真面目に答えない? 何だかおかしいなぁ〜?)


 中性的な美しさを持つ光命から、もっともらしい理由が出てきた。


「いいではありませんか。自宅なのですから」

「じゃあ、次」


 倫礼は簡単に納得して、指示を出した。深緑の極力短い短髪。瞳は無感情、無動のはしばみ色。大地のように揺るぎのない夫。


 今が違うが、普段ははかま姿。それを着ているこの夫の和装の色気ときたら、倫礼をボッコボコに悩殺するのだ。このまま襲われてもいいと思うほどなのである。


「明智 夕霧命ゆうぎりのみことだ。武道家だ」


 地鳴りのような低い声が響き、真面目に回答。ケーキを次へ回したいところだが、職業がどうにも気になるもので、他の夫から当たり前のように追求がやってきた。


「何の?」


 左隣のボブ髪の夫から追加の質問だったが、


合気あいき無住心剣流むじゅうしんけんりゅうだ」


 まっすぐで正直な答えは、わからない話に一気に飛んでしまった。フルーツジュースの前でため息がもれる。


「あぁ〜、専門用語になっちゃったね」


 漆黒の髪を持つ夫は、自分の爪を眺めながら、


「その説明はするの〜?」


 時限爆弾を装った妻の思惑なのだ。武術の説明をされたら、最後の夫まで、情報収集できないのである。


「いやいや、長くなるので、それは後日でお願いします!」


 妻の言葉が合図で、ボブ髪の男の前にケーキはやってきた。天を突き抜けそうなスーパーハイテンションで、右手を斜め上に向かって持ち上げた。山吹色の髪の間には、宝石のように異様にキラキラと輝く黄緑色の瞳。それは一度見たら忘れられないような強烈な印象。


 声は言い表すのが非常に難しい。あえて言うなら、皇帝で天使で大人で子供で純真で猥褻わいせつで……とにかく、真逆の矛盾が潜む、まだら模様の響き。


「はい! じゃあ、言っちゃいます! 焉貴これたかです! 高校の数学教師で、セクハラ教えちゃいます!」


 まともに進みやしない。妻は飲もうとしていた水を慌ててテーブルに置いて、両手を頭の上で横に大きく振った。


「いやいや! それじゃ、もうクビになってます!」


 ジンのショットグラスがカツッとテーブルに置かれると、ふっと笑い声が上がった。


「セクハラじゃなくてよ。てめぇが歩く17禁なだけだろ」


 変な異名を思いっきりつけられている焉貴。だが、歩くのだ本当に。


「17ね、18じゃなくて……。ここはあってる」


 妻は小さな違和感を、正常に直してひとりで納得。銀河帝国は17なのだ。


 今は時限爆弾が作動中のために、この騒動を家に持ち込んだ夫が、隣から歩く17禁を軽く説明し始めた。


「君は仲良しというひとくくりで、大人の話まで同じように扱うので、そちらのようになっているだけではないですか」


 仲良く話をする。

 と、

 セッ◯◯。


 が同レベル。いくら初の、バイセクシャル複数婚をしている明智家でも、異例の夫。焉貴が話すと、二言目には17禁ワードが登場する始末。


「そう。俺何でも言っちゃうの。俺のペニ◯、手コ◯してボッ◯させて、とか言っちゃう」


 焉貴はいつもこうなのだ。しかし、エロ担当では決してない。色欲がそこに存在しないのだから。純真無垢で言ってくる。子供の心を持っている大人なのだ。ミラクル風雲児なのである。


 麦茶を飲んでいた夫が、高校の数学教師に言った。


「生徒の前では言わないだろう?」

「それやっちゃったら、教師じゃないでしょ」


 焉貴先生、きちんと仕事をしていた。だが、問題はそこではなかったのだ。倫礼がツッコミ。


「っていうか、聞こえないシステムになってるじゃないですか!」

「そう、この世界は、ガキにはどうやっても、大人の話は聞こえないの〜」


 聞かせたくないのなら、聞こえないシステムを開発してしまえ。が、銀河帝国の基本的な考え方で、子供は大人の話を知らないし、大人のそういう場面に出くわしても、何もないことになっているようだ。


 おそらく、カモフラージュされているものと思われる。子供に聞くわけにもいかないし、正確にはわからないが、気にした様子もしていないので、何も見えないのだろう。


 全員が、焉貴の純真無垢なR17にやられて、ため息をついた。


「じゃあ、セクハラいらない……」


 時間を伸ばしているっぽい感が漂っていたが、とにかく妻は全員の話を聞きたいのである。ささっと気持ちを入れ替えて、


「次、お願いします」


 ケーキがテーブルの上を横滑りした。


 ニコニコのまぶたに隠れていて見えない、ヴァイオレットの邪悪で誘迷ゆうめいな瞳。鮮やかで濃いピンク――マゼンダ色の髪は腰まであり、上品に首の後ろでリボンで結ばれている。凛とした澄んだ儚げで丸みのある女性的なのに、しっかり男性の声でゆるゆる〜っと話してきた。


「僕は月命るなすのみことと申します〜。職業はカエル女装です〜」


 進みやしない。時限爆弾を家に持ち込んだだけある、夫だった。どんな職業だと、妻が心の奥底で思っていると、焉貴からもさすがに待ったの声がかかった。


「ちょちょっ! お前、またわざと失敗してんだけど……」


 ――またわざと失敗。


 危険な香りが思いっきりする月命。そうなると、この時限爆弾ケーキは、破滅への序曲をやはり本当に踏んでいるようだ。明智家、いや首都のある惑星が吹っ飛ぶ。


 皇帝陛下から、明智家は全て処罰の対象になるであろう。それなのに、夕霧命は落ち着き払って、まっすぐ質問。


「それは何だ?」


 細いシルバーのブレスレットを、ニコニコしている夫の右隣で触っている夫が、のんびりと日向ぼっこみたいに言う。


るなすが変身しちゃったみたいだね」


 だが、ここで普通に対応しては、夫たちに負けなのである。倫礼は平常を装って、話をこっちへ持っていった。


「それはこう言うんじゃないんですか?」

「どのようにですか?」


 聞き返されて、妻は修正を加えた。


「女装ガエル……こっちの方がしっくりくる」

「じゃあ、それ採用しちゃいます!」


 焉貴がハイテンションで、右手をパッと上に向かって上げると、妻はこうしめくくった。


「じゃあ、女装ガエルさんの職業が、月命るなすのみことです!」


 巧妙に入れ替えられた言葉。誰も突っ込まず、先へ進もうとする。


「じゃあ、次だ」


 倫礼の右側、最後に結婚した夫が戸惑い気味に意見してきた。


「……逆だと思うんだが、これを誰も突っ込まないってことは、るなすの罠なのか?」


 とにかく、絶対に違うのだ、名前と職業が逆になっているのもそうだが、女装ガエルという職は、いくら帝国でもないのである。それなのに、爆発という恐怖心が先に進ませようとするのだ。


 ニコニコ微笑んでいるからこそ、怖さが増す含み笑いが聞こえてきた。


「うふふふっ」

「怖っ! い、今のはなかったことにしてくれ」


 鼻声の男は両手で肩をさすりながら、プルプルッと首を横に振った。逃げようとした。だができなかった。


 この人を人とも思わず、残虐な遊びに酔いしれる中世ヨーロッパの貴族――


 の異名を持つ夫が一気に殺すのではなく。言葉にするのもおぞましい数々の責め苦を味合わせた上で、下から火であぶり殺すように、地獄への招待状を送ってきた。


「見逃して差し上げますが、君は僕に、こちらで貸しが15回目です〜」

「あとで何されるか……か、考えるのも怖すぎる!」


 倫礼の隣でいつもの悲鳴が上がると、間延びした声が斜め向かいから聞こえてきた。


「ボクの番〜?」

「言っちゃってください!」


 焉貴のハイテンションなまだら模様の声が響くと、ケーキがさっと移動した。


 漆黒の長い髪は頭の高い位置で結い上げても、なお腰までまでの長さがある。凛々りりしい眉が、春の陽射しのような穏やかな雰囲気を引き締める。聡明な瑠璃紺色の瞳の持ち主は、こんなことを言ってきた。


孔明こうめい。職業は三国で争ってるうちの一国のエロエロな軍師だよ〜」

「お前もまた……」


 夫たちはあきれ顔をした。平和な帝国で、軍師などという職業はないのだ。妻は再び違和感を抱いて、首をかしげる。


(あれ? 孔明さんが答えないなんて、おかしいなぁ〜?)


 何かが起きているようだったが、


(でもまあ、ここは笑いを取って……)


 倫礼は決断した、スルーという笑いの前振りに。


「はい、じゃあ、次」


 進もうとする妻に、孔明から間延びしたおねだり。


「あれ〜? りんちゃん、拾ってくれないの〜?」

「拾うんですか?」

「そうしてほしんだけどなぁ〜」

「軍師は前の職業ですよね?」


 時限爆弾始動中のため、ここも後日へと説明は回されたが、孔明の言葉はおかしい限りだった。


「ふふっ。そうかも〜?」


 確定の念を押したのに、不確定を返してきた夫。妻は夫の手強さに気づかず、もうひとつの回答のおかしさに焦って飛んでしまった。


「しかも、エロエロじゃないですよね? 孔明さん」


 ここで即行、夫たちから待ったの声がかかった。


「倫、知らないのか!」

「え、どういうこと? みんな」


 椅子から立ち上がりはしないが、妻は身を乗り出して、夫たちを見渡した。


ひかりの次にエロなんだけど……」


 自分でも言っていたが、優雅な王子でも全然おかしくない、夫の冷静な水色の瞳をじっと見つめて、妻はガッツポーズを取った。


「なるほど、夫だけの秘密だったんですね。情報ゲットです!」

「なぜ、情報を収集している?」


 夫たちからの追求も、妻は無視して、夫婦関係に変化を加えた。


「はい。じゃあ、今日からひかりさんと同じで、孔明こうめいさんもスーパーエロに格上げです」

「上げなんだ……。うちの奥さんの好みがそれなんだな」


 数人の夫たちが妻の情報を手に入れたところで、一旦それぞれお茶飲みタイムに入った。


 光命ひかりのみことの神経質で細い指先は、あごに当てられる。それは彼の思考ポーズ。

 焉貴これたかの何重にもかけてあるペンダントをチャラチャラと鳴らされる。いつもの癖。

 月命るなすのみことは何かを考えているようで、彼の思考時のポーズ、人差し指をこめかみに突き立てる。

 孔明の爪は聡明な瑠璃紺色の瞳で見つめられる。これもいつもの癖。


 それぞれの茶器が置かれたのを見計らって、焉貴のハイテンションな声が仕切り直し。


「はい! じゃあ、次いっちゃってください!」

「オレか?」


 さっきからショットで一杯やっていた夫が、しゃがれた声で聞き返した。倫礼は小さくうなずく。


「はい、お願いします」


 その夫はガタイがよく、藤色の長めの短髪。鋭いアッシュグレーの眼光。どこからどうみても男の色気が漂う夫。言葉遣いはこの中では一番砕けていたが、義理人情に熱いところも見て取れた。


「これよ。名前ふたつあっ時はどうすんだ?」


 倫礼にとっては別に驚くこともなく、先を促した。


「じゃあ、両方答えてください」


 程よい厚みのある唇の端で、ふっと笑って、こう言ってきた。


「本名が明引呼あきひこで、役職名が孔雀大明王くじゃくだいみょうおうだ。仕事は、RPGゲームの攻撃系だ」


 笑いばっかり取ってきやがる夫どものお陰で、マジで進みやしない。役職名なのかと問いつめたいような名前だったが、職業に全員引っかかってしまった。


 倫礼と右隣に座っていた男がびっくりして、椅子から立ち上がった。


「えぇっ!?」


 焉貴は笑いもせず、それどころかアンドロイドみたいな無機質だった。


「二次元から三次元に出てきちゃった」

「どうなっている?」


 一番言葉数が少ない夕霧命が不思議そうな顔をしたが、倫礼は椅子に座り直して、時限爆弾という焦りが、彼女を急かすのだった。


「ファンタジーな人たちなので、いいです。もうそれで……」


 誰が拾ってやるものか。まだあとふたり残っているのだ。


「そこは突っ込まないんだ」


 夫たち全員のため息が終わると、カーキ色のくせ毛の短髪で、優しさの満ちあふれたブラウンの瞳を持つ夫が、羽布団みたいに柔らかで低めの声で明るさマックスで話し出してきた。


「僕の出番がやってきちゃいました」


 こほんとわざとらしく咳払いをして、油断も隙もないことを言う。


「本名は貴増参たかふみです。役職名は火炎不動明王かえんふどうみょうおうです。職業は放課後、体育館の裏にな! です」


 夫たちも手強てごわかった。同じネタだろうと、笑いを取りたいのは、取りたいのである。役職名よりもインパクト大の、放課後の呼び出しみたいなものに、みんなの意識は持っていかれた。


「それ、職業じゃないだろう!」


 めちゃくちゃなのである。最後の夫から派手にツッコミ。


「学校の何か見過ぎなんじゃないの?」


 高校教師からツッコミ。みんな仲良くの帝国でそんなことしたら、逮捕されてしまう。現実で起こり得ないことを言ってきたのだから、変なドラマでも見たのだろう。


「どこからそのセリフ出てきたんですか?」


 妻からの質問に、貴増参はたいそう満足げに微笑んだ。


「一度言ってみたかったんです」


 倫礼はとにかく、情報収集したくて、


「あぁ、そうですか。じゃあ、最後の人お願いします」


 やっと一周回り終わりそうだった。もしも叶うのなら、もう一ターンケーキをリレーさせて、他のことも聞きたいところである。


 ひまわり色のギザギザとした縁を持つ短髪。はつらつとして純粋な若草色の瞳。鼻にかかる高めの声が、こう言ってきた。


「お、俺は、明智 独健どっけんで……す?」


 即行、焉貴のまだら模様の声でツッコミ。


「何で、お前、自分のこと疑問形になってんの? それ、俺の特権なんだけど……」

「あははははっ……!」


 大爆笑が食卓を包んだ。明るい限りである、明智家は。だが、独健の間違った理由はごくごく当然のものだった。


「いや、だから、こういうの初めてだから……」


 焉貴はやはり笑いもせず、真顔で今度は皇帝みたいな威圧感で言ってくる。


「まあ、そうね。自分ちで自己紹介するなんてないね」


 独健も気の毒な限りで、妻の情報収集をするという思惑に左右されしまったのだから。


「だろう? だから、敬語かどうか迷った結果が、さっきのだったんだが……」


 しかし、妻も鬼ではない。独健の意思を汲んで道筋を示した。


「じゃあ、敬語で答えてください」

「そうか。独健です。職業は……????」


 順調に答えようとした夫だったが、苦渋の表情にすぐに変わった。妻は異変を見て取って、両手を胸の前で左右に振る。


「いやいや、何で考えるんですか?」


 真面目に答えてこない夫たち。それは、独健に多大な影響をもたらしていた。


「あ、あぁ。みんな笑いを取ってるから、俺も取らないといけないかと思って考えてたんだが、うまくいかなくて……」

「真面目に答えればいいんです」


 妻の助け舟に乗せられ、独健はさわやかに微笑んだ。


「そうだな。国の環境整備を担当してる躾隊しつけたいに所属してます」


 とりあえず、九人は回った。だが問題ありありで、倫礼は声を荒げたが、


「はい、終了。っていうか! 真面目に答えたの、九人中四人だけなんですけど!」


 テーブルの上にだらっともたれかかって、頬づえをついている焉貴から指摘がやってきた。


「それは、お前が最初に言わないからでしょ?」

「何をですか?」


 名前と職業を言うようにと言った。倫礼としては、きちんと言ったつもりだったが、夫たちには違う風に取られたのだ。光命が中性的な唇に、神経質な細い手の甲をつけてくすくす笑う。


「おかしな人ですね、あなたは」


 地獄への扉がギギーッと開くように、月命の含み笑いが聞こえてきた。


「うふふふっ。僕がお仕置きして、君の思考回路を直して差し上げましょうか〜?」


 倫礼はパッと椅子から立ち上がって、両手を頭の上で大きく横へ振りながら猛反発。


「いやいや、やめてください! その鎖でぐるぐる巻きにした上に、牢屋に監禁して、一気に殺すんじゃなくて、細い針でチクチク刺すから始まって、火で下から炙りジワジワといたぶり殺すような、目をするのは……! るなすさんは本気でしてきます!」


 月命という夫は、人の弱点は絶対に見逃さないのである。滅多に姿を現さない邪悪なヴァイオレットの瞳は鋭く妻を捉えた。


「すぐに思いつくということは、そちらを望んでいるということでしょうか〜?」


 陛下から懲罰を受けようと、逮捕されようと、そんなのはどうでもいいのである。月命にとっては、実験をしてみたいのだ。


 死なない世界だからこそ、人が死ぬことを純粋に知りたいのだ。死ぬとは殺すとは、どんなものなのかと、常に想いを馳せている。


 通常と違う価値観を持っている夫を前にして、倫礼は首を横にプルプルと振る。


「いやいや! 違います! 死は望んでません!」


 死がある妻としては、怖いばかりである。


 のんびりと爪を見ていた孔明が、間延びした陽だまりみたいな穏やかな声で聞いた。


「倫ちゃん、失敗しちゃった〜?」

「ん?」


 原因は自分にあるようだった。どこかずれている妻の頭では、何を指摘されているのかさっぱり。


 遊線が螺旋を描く優雅で芯のある、光命の声がなぜ全員答えてこなかったのかの理由を告げた。


「真面目に答えてくださいと言っていませんでしたよ」


 言ってくださいとしか言わなければ、相手はどうとでも解釈するだろう。倫礼は頭を抱えて、以心伝心ではない夫婦の絆というリングに沈められたのだった。


(あぁ〜。やってしまった。名前はとりあえず、全員あってた。ただ、みんなの職業がわからない〜! よし、こうしよう!)


 今も刻々と時を刻んでいる、時限爆弾ケーキを手元に置いて、妻は再度決意を固めるのだった――――

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