第12話 館の主

「悪魔だったの!?」


 見覚えのある尻尾と羽を見て確信した。


「かきゅうのね。ゆうわくのあくま、めふぃすとふぇれすさまのぶかなの」


「メフィスト、フェレス……? 誘惑って、この『願い事の館』は皆を騙すために建てたの!?」


「ぴんぽーん! 『あくまになったのはしょうがくせいのしょうじょ』っていうじょうほうをもらったからね」


 に、逃げなきゃ。


「冬ちゃん起きて!起きてってば!」


 冬ちゃんを起こしているけど全然起きない。


「おきないよーだ」


「そ、そんなっ!」


 そうだ、冬ちゃんを置いていくことになっちゃうけど助けを呼びいこう。


 私は急いで入り口のドアを開けようとしたけどガタガタいうだけで開かない!


「あははっ、あくわけないじゃーん。あんたはあくまだけどまだにんげんにちかいからかなわないんだよーだっ」


「そ、そんな……」


 私達、閉じ込められたの?


 このまま捕まったままなの?


 ずっと……このまま……。


「じゃーねーひすいみんと。あんたはしぬけどあんたのちからはしゃろうのなかでえいえんにいきつづけるから」


 シャロウが右の人差し指で私を指してきた。


 バタンっ


 天井の方から何かが開いた音がした。


「俺の目を盗むとはいい度胸だったじゃねーか。えぇ?」


「ミントちゃん大丈夫ですか!?」


「ライト! ルルアさん!」


「な、なによあんたたちぃ!?」


 開いたのは天井近くの窓でそこには翼を生やしたライトとルルアさんがいた。

 

「下級悪魔の分際で手出すとはいい度胸だな」


 ライトがルルアさんと一緒に窓から私の目の前に向かって飛び降りた。


「あくまをふたりもなかまにしているだてんしにいわれたくないんですけどー」


「仲間? そんな生温い関係じゃねーよ。俺達は」


 えっ、じゃあ何なの?


 あ、家族……。



「こいつらは……俺の獲物と下女だ」



「はいライト様。私は貴方の召使いです」


 ということは私が獲物か。

 

 まぁ、そうなるよね。


「どっちでもいいよーだ。で、これからどうするわけ?」


「こうするんだよ」


 シャロウが聞くとライトはいきなり両手を合わせたと思ったら引き離した。


 すると両手の平の間から金色に光る棒のようなものが出てきた。


「へー。だてんしってまだみかごがあるんだ」


「これでも半分以下に減ったけどな。まぁお前を倒すには丁度いいだろう」


「えらそうなこといって……えいっ!」


 シャロウが右手の人差し指から赤紫の光線を私達に向かって放った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る