第8話 夜のコンビニ 下

「ねぇ父さん。俺達に何か話したい事でもあるんじゃないの?」 


「えっ!?」


 お父さんとライトと一緒にコンビニを出て真っ直ぐ家に向かって歩いていると突然ライトが聞き出してきた。


「最初に『コンビニに行きたい』って言った時に母さんが『明日にしよう』って言ってきただろ。でも『今すぐ行きたい』って俺達も誘った。父さんは大人の男だから飲み物の一つくらい一人で買いに行ってもいいハズだ。だがあの時の話し方からして俺達をまるで無理やりにでも誘うかのように誘い出した。もしかして母さんに聞かれたくない事を話したいんじゃないのか?」


 言われてみると何だかそんあ感じがしてきた。


 そうなのお父さん?


「……まいったな。バレていたなんて」


「やっぱりな」


 スゴイ! 当たっていた。


 ってことはライトに隠し事は通じないって事?


 嫌だなぁ。


「って何なの、話したい事って!?」


 すごく気になる。


「……二人共」


 お父さんが真剣な顔で私とライトを見つめた。



「『函館ここを離れて札幌に来て』と言われたら、嫌だ?」



「えっ……」


 離れる? 札幌?


「どういう事?」


 私は恐る恐る聞いた。


「今すぐにって訳じゃないんだけどね。最近仕事の帰りが遅くなり始めてね、最初はたいした時間じゃなかったんだけど、最近は前よりも数時間遅く帰るようになったんだ。さらには数年後に会社の移転が決まってね。実家からだと今よりも通勤時間が長くなるんだよ」


「それが何で俺達がここを離れる話に繋がるんだ?」


 ライトが聞いてきた。


「今僕はおばあちゃんと一緒に暮らしているだろ。僕がいない時間は家にはおばあちゃん一人。つまり何かあった時に見てくれる人が一人もいないことになるんだ。今までは良かったけど、これから先が心配でね。他に見てくれる人で頼めるのがミントちゃんとライト君だけなんだ」


「そっか。お母さんはお母さんの方のおじいちゃんおばあちゃんの面倒を見なくちゃいけないからね」


 それで私達に頼んできたんだ。


 札幌か。


 おばあちゃん家に行った時に行ってるけどすごくいい街だった。


 でも引越すとここには気軽に来られなくなるからあまり考えたくない。


「ごめん……お父さん」


「いいよ、急な話だったからね。他に何か方法がないか考えるよ」


 良かった、他に方法が無い訳じゃないんだね。


「他の方法、見つかるといいな」


「そうだね」


 しゃべりながら歩いているともう家の前まで来ていた。

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