第4話 家族でオードブル

 ガチャ


 昼食の準備が整い終わると玄関の扉が開いた音が聞こえた。


「ただいま~」


 電話越しじゃない一年振りのお父さんの声。


「おかえりなさい」


「おかえり! お父さん」


 お母さんと私がリビングに入ってきたお父さんを迎えた。


「……おかえり」


 堕天使は私とお母さんの後ろで静かに迎えた。


「ただいま、みんな」


 『みんな』か。


 去年は『二人共』や名前で呼んでいたのに今年は三人になったから?


 そうだよね。私以外の人は皆ライトをずっと前から知っている記憶になっているからね。


「……何だかライト君に会うのは母さんとミントちゃんより久しぶりな気がするな」


「えっ?」


 意外な言葉に思わず声を出した。


「嫌だな父さん。去年もこうしてお迎えしたじゃないか」


「そうだよね。ゴメンゴメン」


「はいはい、続きはゆっくり食べながら話しましょう」


「そうだね。皆待ってて」


 お父さんは脱いだ上着と荷物を扉の近くに置いて手を洗うために洗面所へ向かった。


 その間に私達はテーブルと一緒に置いてあるイスの指定席に座って待っていた。


 目の前にあるから揚げの匂いが私の食欲がそそられる。


「姉さん、つまみぐいするんじゃないよ」


 しまった。ジロジロ見ているように見られたか。


「しないよ! アンタに取られないように見張っているだけ」


「大丈夫よ二人共。お母さんが見張っているから」


「おまたせ。さぁ食べよう」


 お父さんが洗面所から出てきて指定のイスに座った。


「「「「いただきまーす」」」」


 私は言い終わるとすぐにから揚げとエビフライを3つずつ取った。


 野菜炒めが入っているタッパーからも少し取って取り皿に置いた後にご飯をエビフライと一緒に食べた。


 ソースをつけなくても十分においしい。


 でもソースをかけて食べたくなったのでご飯に二本目のエビフライをのせてソースをかけて食べた。


 どっちもおいしい~。


 野菜炒めも忘れずに少しずつ食べていく。


 四人でどんどん取っていくのでたくさんあったオードブルの食べ物がどんどん減っていく。


 揚げ物以外の食べ物も食べたいので出し巻き卵と枝豆とミニトマトを二つずつ取った。


 出し巻き卵はやわらかくて口の中がお菓子とは違う甘い食感でいっぱいになる。


 枝豆は豆を取り出す時に落とさないようにしないといけない。


 さやを押して豆を飛び出させて口の中に入れて噛むと枝豆の味と一緒に塩の風味が効いた味がする。


 ミニトマトはヘタを取って口の中に入れて噛むとトマト独特の酸っぱい味が口の中に広まっていく。


 好きな食べ物を多く食べている時ってとても幸せな気持ちになる。


「このオードブルいいね。高かったんじゃないの?」


「貴方を歓迎する値段としては安いくらいよ」


「こういう豪華な料理もいいけどせっかく帰ってきたんだからみどりの手料理も食べてみたいな」


「じゃあ夜は軽くおにぎりでも食べる?」


「そうだね。碧がつくるおにぎりはいつ食べてもおいしいから」


「ありがとう灰白かいはくさん」


 お父さんとお母さんはかなり仲がいい。


 私はこれが普通だと思っていたけどずっと前に冬ちゃんに話したら『かなり仲がいいんだね』と言われたので、私もそう思うようになった。


 ライトも少し驚いているのか二人のことを箸を持ったままじっと見ていた。

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