第27話 エピローグ 報酬はエマ
シューラ魔導学園を舞台として起こった事件の話は事実と事実でないもの、さまざまな噂が国内外に一気に広がっていった。
サクヤはシューラ魔導学園を守った功労者として表彰されることになった。
2日目の休養日は事後処理で関係者は大忙しとなった。
ただし、空き教室の天井に空いた大穴や、割れた窓ガラスなどの戦闘の跡の修繕が間に合わなかったため週初めの学習日である今日は臨時休校となった。
そして今日にサクヤの表彰が行われることとなった。
リアムとエマは表彰式に招待された。
しかし、リアムもエマも表彰式には出席しない事にした。
理由は単純に本来、
エマ自身もそのことを理解していたのかすぐに受け入れてくれた。
ただ、返事をした時の様子が心ここに在らずといった感じなので少し気になっていた。
リアムがエマに何を話しかけてもよそよそしい反応を見せるだけだった。
リアムはエマが無理矢理にでも表彰式のことを忘れようとしてそうなっていると解釈して過干渉にならないようにした。
夜になってからエマのそわそわが増し、落ち着かない様子で家中をうろうろしていた。
リアムが心配して話しかけても「だ、大丈夫ですっ!」と言って走って視界から外れるだけだった。
リアムはその様子を心配に思いながらも逃げられるのでは理由の知りようがないと今日のところは寝ることにした。
当然ではあるがリアムとエマはそれぞれ個別にある部屋で寝ている。
疲れが溜まっていたのかベットに体を横たえてすぐに眠りに入った。
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リアムが眠りについてから数分後に突然、リアムの扉が開いた。
寝込みを襲われないように訓練を受けているリアムは意識が夢から現実に引き戻され寝ぼけ眼で扉に視線を向けた。
次の瞬間、家の中だからと油断していたリアムの思考が停止した。
灯り用の魔導にほのかに紅く照らされるそれは思考を止めるほど衝撃的なものだった。
そこに立っていたのは上着はワイシャツだけ、下はズボンなどを穿いておらずチラチラとピンクの
シャツのボタンのは下三つしか閉まっておらず胸元が大きく開かれている。
胸先のあたりを見てもにはブラジャーらしきものが確認できないのでおそらく下着を着けていないのかもしれない。
エマのモデルのような体、透き通った髪、シルクのごとくきめ細やかで透明感のある肌、ワイシャツの隙間から覗く谷間を生み出す美乳、すらりと伸びる細く綺麗な脚、つまりエマの全てがリアムの自制心を削ぎ落としにかかってくる。
自制心を保つためにエマから視線を逸らそうとするがそれすらも不可能なほど彼女は魅力に溢れていた。
「あ、あの…兄さん?」
エマがただ自分を見つめて黙っている
エマ自身もこの格好は恥ずかしいらしく顔を赤らめている。
その様子すら芸術的であり、扇情的でもありリアムのSAN値をごっそり削り去った。
精神力のないものがエマのこの姿を見れば十中八九欲情し彼女を襲いかねない。
エマが魅力的なことは重々理解していた。
問題はどうして
「エマ、どうしてそんな格好をしているんだ?」
リアムはなんとか言葉を捻り出した。
「…もしかして、この格好はお気に召さなかったでしょうか…」
エマが少ししょんぼりしながら尋ね返す。
「いや、むしろ魅力的すぎるよ。そんな聞きたいのはそんなほとんど裸みたいなこと格好をしている理由だ」
リアムがそう尋ねるとエマの顔がさらに紅く染まった。
「…理由は、その……あの…兄さんの頑張りに対する報酬…が私だから」
とエマは答えることに羞恥心を覚え言葉を詰まらせながら答えた。
リアムはまたも一瞬、思考停止してしまった。
回復する思考力をフル回転させて理由を考えるがわからない。
たしかにエマが無事でいてくれることが報酬だと言ったがそれと今の状況に繋がりは感じられない。
リアムは首を傾げてしまう。
エマはリアムが理解できていないことを察して慌て始める。
数秒の間が生じる。
そういうプレイなのだと悟ったエマは覚悟を決めた。
「兄さんが報酬は私だって言ったから…そのか、身体で支払うってことだったんでしょ?」
それを聞いたリアムは本日三度目の思考停止に陥った。
あの格好、身体で支払うという言葉、その二つを合わせて考えると一つの答えにたどり着いた。
とどのつまりエッチなことをするという事だ。
「待て待て、たしかにエマが報酬みたいなことを言ったが…そういう意味じゃないぞ」
全て理解したリアムは焦りながら言葉を返した。
「え?…で、でも…私が報酬だって」
「そうだよ、でも言葉が足りなかったな。言いたかったのは元気なエマの姿が見れればそれ以上望まないってことだ」
「わ、私の勘違いってこと?…はぁ〜」
と緊張から解き放たれたエマはその場にへなへなと座り込んでしまった。
「こういう行為って好きな人とやるべきだと思うんだ、自分の身体を粗末にするな」
「ごめんなさい、でも兄さんは…\\\」
と言い終わると同時にエマは火が吹き出したかのように顔面を真っ赤に染めた
「ん?最後の方が聞き取れなかったんだが?」
と声が小さく聞き取れなかったリアムが聞き返した。
「ううん、なんでもない。…おやすみ、兄さん」
と言ってエマは部屋をスタスタと出ていった。
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