第19話 襲撃前のお話
時は学園襲撃前まで遡る
用事を終えたリアムは学園外から使い魔を介して支援をしているカグヤと会話していた。
「…こちらからは以上です」
「なるほど、やっぱり校内を自由に探索できるのは大きわね。使い魔からの情報はどうしても限定的になっちゃうわ」
とカグヤが苦々しげに言う。
声だけでも歯がゆく思っているのが伝わってくるほどだ。
「こっちは見た限り異常はなかったわ。…ただ、一つ気になったのは警備がいつもより緩い気がしたことね」
「なるほど…魔導学術学会があるからとも考えられなくはないが…」
「あや…い…わ…ちょっ…リア…く…?声…乱れ…」
突如、カグヤの声がノイズまみれで聞き取れなくなる。
「ホロウ、何があったかわかるか?」
とリアムはずっと自身の感知範囲を広げるために集中していたホロウに話しかけた。
『ああ、魔力の流れが変わった。押し込められているようだ。確認するから少し待ってくれ』
ホロウはまた黙って集中する。
数秒の沈黙ののち
『わかった。かなり強力な魔導結界が中央校舎を覆うように展開されている。通信の阻害というより物理的な阻害が目的らしい』
とホロウが報告する。
「校舎を覆うサイズだと複数人の
リアムは受けた情報を分析して呟く。
『こんなでかい結界…維持に術者を使うとすれば展開前に大規模な魔力の揺らぎが生じるだろうしそもそもリソースが足りない。補助具を使っているのが妥当だな』
「だとすれば
『情報処理可能量的には問題はないが…この校舎をカバーする索敵とエマの護衛機に加えて解析機を使うとなれば戦闘に使える
「大丈夫だろう、いざとなれば戻してリフレッシュする時間を稼げばいい話だ」
武器や盾その他諸々として使われたホロウは魔力が外気と反応してしまうために即座に再利用することができない。
外気の影響を解除するリフレッシュという行為が必要になってくる。
形や外に出ていた時間など状況によって反応の内容が変わってくるので本来ならば魔力の消耗量を無視して新しく作るか、
そもそも
しかし、ホロウはその処理を代行して余りある処理能力を持っている。
それに頼ることでリアムは戦闘に集中できるのだが戦闘に利用できる絶対量が少ないとリフレッシュの間何もできない状況が生まれやすくなってしまう。
リフレッシュも数秒とかで終わるものではなく数十分は必要になってくるため戦闘中に
ホロウはそのことを心配していた。
『楽観的すぎるがまあいい、ある程度は残るからな節約しろよ』
そう言い終わるとペンダントから液体が滲み出るようにして球と円錐を組み合わせたような
見た目だけだとそれほど
『…っ!リアムっ、まずいぞエマがっ!』
ホロウが突如吠えた。
エマの髪飾りにはホロウの分身が仕込まれているため彼女に何かあればホロウ伝いでリアムに即座に伝えることができるのだ。
そのためリアムはその短い言葉で大事な
と言った感じの話をリアムは超要約してエマに伝えた後
「そのあとはサクヤさんに貰った魔石を触媒にして天井貫いてここに来たってわけだ」
と付け加えるように言った。
「あの火力高い魔導はそういうことだったんだ」
エマが納得したように頷く。
「俺はほかの襲撃者を捕らえに行く。エマは全部終わるまで隠れていてくれ」
「この人はどうするの?」
エマがロープでぐるぐる巻きにされてぐったりと気絶しているジャンを指差し尋ねる。
「あー、無力化しておいたから害はないし放置だな。…情報を聞いても答えないだろ」
とどうでもいいような様子で答える。
『俺は少し待ったほうがいいと思うぜ。さっきの戦闘で残りの
とホロウはエマにも聞こえないようにしながら提案する。
「相手がいくつプランを持っているかわからない…なるべく敵を潰すべきだ。…それにエマの前で弱い兄の姿は見せたくない」
と意思に満ちた声でホロウに告げた。
『わかった、
と少し諦めの感情の混じった声を発した。
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