第3話 みすずとの通話

『いいよー、話そう』


 僕はみすずに返事をした。

 すぐに通話がかかってきた。僕は通話に出た。


「まさよしと初めて通話するね!」

 彼女の声はとても明るい。


「初めてだね。これからもよろしくね。」


「えっ?イケボやん!すげ(笑)」


「そんなことないよ。イケボだなんて大袈裟すぎよ!」

 イケボだなんてリアルの世界で言われたことがない。

 イケボとは”イケメンボイス”のことである。

「っていうか聞いてよ。さっきね、声とも、っていうアプリで通話してたらね、中一の女の子に告白されたんやけど(笑)30分ぐらい通話したんやけどね。それだけでよ?!」

 途端に彼女は急に泣き出した。

「嫌だよ。なんでよ…。そんな、まさよし、取られたくない…」


「えっ?大丈夫って。OKなんてしてないよ?」


「ほんと?」


「うん。」

 僕は優しい声で答えた。


「ねぇ。私、実はDMで話してから政義のことをもっと知りたいと思ったの。」

 彼女は言葉を続ける。

「だから、その、付き合って。好きです。」

 彼女は本当に僕のことを好きなのか。付き合ってもいいのか。ネット恋愛って長く続くとどこかで聞いたことがある。彼女を信用していいのか。この一か月間、彼女とDMで話して、確かに僕も、彼女のことをもっと知りたいと思った。付き合ってみてもいいのかな。


「うん。いいよ。ごめんね。つらい思いさせちゃって。」

 泣いている女の子に対してどう声をかけて良いか分からなかった。


「ううん。今は幸せだよ。だって、まさよしと付き合うことが出来たんだもの。」

 画面の向こうの彼女は嬉しそうに泣きながら言った。


 こうして、みすずと付き合うことになった。


「親にタブレット返さないといけないからもう通話、切ろ?また、明日ね!」

 彼女の声は最初に通話した時よりも、明るい声で元気になった。


 これから、どんな生活になるのだろうか。僕は少しわくわくしてきた。

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