寡黙のスプーン

 寡黙のスプーン、というものがある。18世紀、瑛国に子供の肉を食う狼男がいた。警察が住処を訪れた時には部屋の家具はなく、彼一人と柔らかい干し肉達、そのスプーンのみだった。

 このスプーンが現在どこにあるかは謎だ。黒魔術の供物に、警察官の一人が捨てた等多くの説がある。だが、狼男はこんなことを言ったらしい。

「このスプーンで食べた物は臭いが無くなる。俺の鼻がおかしいのではない、切り離した死体ごと臭いが消えるんだ」と。

 余談だが、最近街中で犬猫の鳴き声がしない。隣人が急に消えるのも、よくある話だった。

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