礼拝と黒点

かつて救世主の肉片を保管していたとされるサン・マフェスニ教会では、祭日の日にのみアプスの天井から水滴が滴る。祭日に祭司が雫を紙の上に垂らせば空の色が映し出され、その色の刻を礼拝の時間と定めていた。

とうの昔に教会は取り壊されたが、こんな噂がある。その雫を紙に零せば空の色と共に、黒い点が滲んだらしい。

それも毎年毎年、黒点はどんどん広がり更にはいびつな形が生えたという。ある人はヤギの角、またある人は蛇の双尾だという。だが取り壊された今では真相は確かめようがない。

余談だが、学会の見解ではマフェスニ教会が祭った肉片は祭司の子供だと発表されている。彼らは何を祭っていたのだろうか。

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