異界異聞 #四字物語

縺ｿ縺溘ロ?

「オブジェクト」の出現が確認されました。

　以前までの出現傾向と統合、対人識別筐体による確認の結果、「■■■■■■……電波障害発生、外部プロトコルの接続を一時遮断。三秒後に修復完了を予定。有線回路からの接続を確認、エミュレーター「縺ｿ縺溘ロ?」での閲覧を許可致しますか? 対象エミュレーターは制御外にある為有害なソフトウェアの起動、予期せぬトラブルを引き起こす恐れがあります。

　──「オブジェクト」は「東京」地区、指定局所区域「奥多摩」0月0日午前3時11分に出現。同地域、同時間帯、規則的活動、大気中のプレジオプス含有量10%超過。

　この環境的要因に於いて出現する為「オブジェクト」は当地域に指定されているモノとして可能性が高い。当機に内蔵された識別データに留まらず、「東京」の保有する共有情報保有期とのマイニング成功。同一者である可能性は極めて高いです。

「オブジェクト」は一見先天性白皮症の罹患者でありますが、従来の患者とは異なり地域内での活動をしています。瞳が深緑であること、「オブジェクト」と接触した人間からのDNA採取から彼が亜細亜系の人間であると判明しています。

　彼そのものの「指数」及び大脳の活性化反応は検出される前に予期せぬトラブルにより未検出。彼に接した住民は自傷行為、汚言行為、性行為等の異常行動を来たします。鎮静完了した住民に聴取を伺うと、「オブジェクト」との接触の記憶や所在が掴めない、虚偽性の極めて薄い結果が出されています。

「オブジェクト」は感心筐体に検知されているにも関わらず、その数値は平均的です。しかし彼に接触した住民はみな「感心値」の「興奮」「警戒」「抵抗」「殺意」のどれかに当てはまり、定義上の「反抗者」に該当する行動を見せます。これは以前の住民が個々に反社会的行動を行ったかどうかの関連性はありません。

「オブジェクト」の観測後、速やかに識別筐体以外の機器を停止させ、監視員に報告を促して下さ【感心識別体により「オブジェクト」の思考の言語解析完了。閲覧致しますか? はい いいえ】

『……縺ｿ縺溘ロ?』

【以降、エミュレーター「Ｋ」の停止を確認。】

【監視員識別番号■■■■■■■がエミュレーターを起動。0月0日午前3時11分の情報を確認】

【判定:区域内異常なし】