月をトロワと呼ぶ遊牧民族がいるらしい
大昔、月をトロワと呼ぶ遊牧民族がいたらしい。彼らは満月の日にはその名で呼びながら、月からしぼった雫を酒にして飲む風習がある。しかし同時に、一年間はその土地に月が出ない呪いをかけてしまう。人々は彼らを恐れて、ある晩の日で皆殺しにした。
前年の2181年2月31日。冒険家のハワード・ヒェンが砂漠に建つあるあばら家へ寝泊まりした。するとその日なかったはずの月が赤い満月として上空に現れた。
その際外から聞こえてきたらしい、トロワ、トロワと。それ以来、彼の見る月はみな赤く染まっているらしい。
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