舞踏姫のエレーナはその日、番であるサラマンドラの体を清めていた

 舞踏姫のエレーナはその日、番であるサラマンドラの体を清めていた。そのための火汲みをしていた昼のことだった。桶いっぱいに入った火が緑色に変わり、丁度影になっていた木に燃え移った。

 だがすべて燃えず、それどころか木の葉へと姿を変えて桶の火を使い切った。桶にあるのは、いつの間にか「永遠あらんことを」と字が刻まれた葉っぱ一枚だけだった。

 仕方なく帰路に着き番に事情を話した。彼は快く許してくれたが、腕には苔のような何かが生えていたという。

 その数年後、彼は目の前にある赤い紅葉の大樹になったらしい。

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