第12話 主要登場人物の男女構成比から見た類型化

 これは異世界転生のものに限らず、一般に世にある作品全般についてにもいえますが


主要登場人物の男女構成比という観点から見て以下のような 1.~5. の類型を上げることができると思います。

 そのうち 1.および 2.の 2つのパターンが 最近の人気のある作品の多くに見受けられると思います。

(母集団に偏りあるかもですが一応それは考慮せず)



1. 主要登場人物が主人公を含め、全て女子

     芳文社きらら系のいわゆる”日常系”作品が多くこれに該当 

     軽音部の女子高生

     戦車に乗る女子高生

     軍艦の擬人化

     高校艦隊

     空飛んで正体不明の敵と戦うやつ

     スライム300年狩った話など

     



2. 主要登場人物のうち男子が1人(それが主人公)で、その他が 全員もしくはほとんど女子

     多くの異世界転生ものが該当



3. 主要登場人物が男女共に複数いる

     グリムガル

     なると

     FEシリーズ ベルウィックサーガ(ゲーム)

     



4. 主要登場人物のうち女子が1人で その他が全員もしくはほとんど男子

     ヒーロー戦隊もの

     009

     あるとすれば少女漫画?読んだことがないのでわかりません

     猫型ロボット

     イスカンダル行く宇宙戦艦



5. 主要登場人物が全て男子

     BL(読んだことがありませんがたぶんそんな感じがする)

     往年のジャンプ作品 

      世紀末拳法 奇妙な冒険 男塾 筋肉




 

 異世界転生のものは基本的にはこの 2.が多いと思いますが 2.と 3.との区別も難しいものがあるような感じもします。どこまでを主要登場人物と捉えるかでも変わってくるとも思いますし。


 2.の男子1人が主人公というパターンは周囲の女子キャラクターはほぼ主人公に対し好意を寄せているというものも特徴としてあげられるかと思います。


 ネットで検索して見てもこの1.2.のパターンは一種のテンプレとして捉えられているようです。


 


 1.の全て女子、は けっこう最近の作品で多いと思います。このパターンでは女子同士はたいてい仲の良い間柄で、いわゆるゆるーく日常を綴っただけのような展開の話も多いです。実際「日常系」という名称がジャンルとしても定着しています。

 現実には人間が複数集まれば、対立や派閥の発生、表面上は仲の良いように装っててても裏では駆け引きや裏切りもあるようなことは世の常ですが、これらのジャンルにはほぼそのような描写は出てきません。そういう意味ではあまり「日常」的とも言えないような気もしないでもないですが、波風が立たず平穏な日々が続く物語としての日常、との意味合いだと思います。


 これらは男性の目線から見た理想的な女子のグループのあり方、というような願望が入っているような感じもします。実際にこれらの作品内に描写されるような ”みんな仲良し”、的な関係もあるかとは思いますが、現実には仲間内での対立やら陰口やらドロドロした関係やら、そんなものも多いはずです。

 しかし、そんなものは見たくない、もっときれいで純粋な理想世界を見ていたい、という願望を満たしてくれるものが 1.にあるような作品であり、そういった願望が それらの作品の人気に結びついていると思ったのです。

 まあ、現実世界の日常で人間関係でしんどい思いして、創作物の中でも同じような内容のものに触れるのもイヤだとは思いますし。気にならない人もいるかもですが、純粋な理想化された世界を見たいと感じる人の割合の方が相対的に多いのだと思います。


 そして 第8話の 異世界転生という偉大なるテンプレ の所でですが、人間というものはどこか理想的な世界を追い求める所があり、そういう欲求を満たしてくれるものが 異世界転生もの だと述べました。

 これは そのままジャンルは違えど 「日常系」も含む 1.にも当てはまるものだと思いました。


 「日常系」も含む 1.のパターンのものは一定の人気があって、多くの作品があり、アニメーション化されているものもたくさんあります。


 異世界転生ものも日常系が人気のあるのも ”見たいものを 見せてくれるもの” という根の部分で同じではないかと考えます。

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