第2話 なぜ転生するのか

 「転生」は本人の死亡などによるものや原因不明に突然なってしまうこともあります。

 よくよく考えてみると、いきなり右も左も分からない、ここがどこかも分からないし人がいても言葉も通じない(通じてるけど)、その現地のお金も持っていなければその日どこで寝ればいいのかも見当もつかない。現実に 例えばいきなり日本から遠く離れた外国などに連れていかれてそこに一人置き去りにされたりしたら大変な状態になってしまうと思うのです。多くの人がそんな状態に放り込まれたらパニックになるかと思われます。転生とはそれくらいのものではないでしょうか。死亡した後に神様に色々説明受けて転生したとしても相当なカルチャーショックありそうな。一般的には、神様に生まれ変わらせてもらえるなら普通に現代日本にさせてくれ、ってお願いしそうです。


そう考えると転生もので一番リアルにあり得そうな物語は、


タイトル

「異世界に転生したら言葉も通じずお金もなくパニックになって数日で野垂れ死にしました」


これが最も現実的なものではないでしょうか。(そもそも転生自体が全然現実的な話じゃないですが)しかしこれが物語として面白いかどうかは全く別問題です。こんなの読みたい人などいるわけないし。


 転生は大変なことですが、物語の主人公はそんなことには一切動じず転生した異世界を受け入れます。文化や風習、歴史などが全く異なるであろう世界に対してです。今まで生きてきた全ての人間関係などがリセットされてでもです。死亡したりしてしまえばやむを得ないというのはあるのかもしれませんが。

 すんなり新世界に入り込める大きな要因はその世界において異常に優れた能力を持っていることもあるのだとは思います。また生まれ変わりによって新生児からスタートするというパターンもあります。これはまだ順応しやすいものではないでしょうか。



 そしてその世界でなぜか親切な人と巡り会い、しかも本人も超越した能力を持っているのでどんどんその世界で活躍する存在になっていきます。

 そういう状況は いまひとつ違和感みたいなものを感じて共感できない人などもいるのではないでしょうか?いやいたとしても少ないから こんなにも人気のあるジャンルになっているのでしょうか。

 ある異世界転生作品には、主人公が 家族も恋人もいないような元の世界に帰っても意味はない、というようなセリフを出す描写があります。今現状の世界は自分にとって望ましい世界ではなく、これを全て無にして、また一から新しい場所でやり直せば、素晴らしい世界がそこには待っている、いった期待や願望というのはどこか、今の現状に満足できない人にとっては魅力的なシチュエーションには感じられます。

 現状打破という願望の象徴が転生なのかもしれません。

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