第3話 Why is my mother happy??


やってきた父親はおそるおそる俺に聞いた。


「お、お前、吉継なのか?」


「そうだよ。親父」


「いや、まだ信じられないから質問していいか?」


「分かった。」


「生年月日」


「2002年7月17日」


「好きな食べ物は?」


「納豆、それと餃子。」


俺は父親の質問に淡々と答えていく。


「俺の年齢は?」


「53歳」


「俺が風呂に入る時どこから洗う?」


「それは股間だ」


なんでそんな質問をするんだ!?とも思ったが、父親と一緒に風呂に入っていたのは俺ぐらいなので、この質問で確信したらしい。


父は真顔で俺に指をさして安藤先生に言った。


「間違いない...俺の息子だ。」


父はがっくりと膝を落とした。

無理もない、自分と同じ性を受けた息子が、いなくなったのだから。


すると、母親が遅れて入ってきた。


母親は駆け寄ってくる。


「まさかこの金髪美少女が吉継なの!?」


普通もっと信じられないような顔をするのに、母はどこか嬉しそうな顔をしているのはなぜなんだろう。


「そうだよ、母さん」


俺はここまで男として立派に育ててきてくれた母さんを親父どうよう悲しませるんじゃないかととても心配だった。


「やぁ〜ん嬉しぃ〜♡丁度娘が欲しかったの、よ♡しかもこんなに可愛くてボインボインってかんぺきじゃなぁ〜い♡」


心配して損だった。そう言えばこの人は昔からこんな感じだ。うん。(棒)


「じゃ、お買い物行かなくっちゃね〜」


「え、なんでよ!?」


「あなたが完璧な女の子になるための、資材集めよ♡」


すると落胆した父親がおもむろにこっちを振り向いた。


「義人さんはついて来ちゃだぁーめ!女の子だけの買い物なんだから!それとも、吉継の下着でも選んでくれるのぉ〜?」


義人さんとは俺の親父の下の名前である。


そうか、確かに下着は買わなきゃいけないかもしれないな...って言うことはブラジャーやパンティーを買うのか...?俺。いつも目も向けられなかったあのような聖域に入るのか...?


うん。はいってみたい。行こう。


一瞬で決心し母親に帰宅を促すことにした。


「母さん。そうと決まれば家に帰って準備しよう。」


「じゃ、そういうことなので、安藤先生今日はありがとうございました。」


と言うと母親はまだ落胆している父親を引きずりながらドアから出て行った。


「車で待ってるわよ!」


さぁ、行くか


俺もゆっくり腰を上げて言う。


「じゃ、行きますね先生、この状況をさばける人がいて助かりました。」


「また明日な、ブラジャー選び、楽しんでこいよ!」


俺の魂胆は筒抜けかよ....


俺は母親の待つ駐車場の自家用車に向かった。










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