第28羽 新メンバーは、女王?
朝、目を覚ますと、何やら外がガチャガチャと、うるさかったので、窓から外をチラッと覗く。
こんな朝早く(朝の6時)なのにせっせっせと、何かみんなで準備していた。あの毎日お酒に溺れている、ゲロリさんまで、手伝っているしまつだ……てか、ゲロリさんがゲロ吐かないで、ちゃんと仕事してるの見るの、これが初めてだ。あの人ちゃんと仕事出来たんだな。
よく見ると、孤児院の人たちも、イースターさんが着れそうな大きさで、何故かソニカたちと同じ柄の布を、額に汗かきながら編んでいた。その中には、武器屋のおっちゃんもいるのだから、装備なのだろう?もしくは、なんかの装飾に使うのだろう。
こんだけ知っているメンツが揃っているのだから、ほかにも居そうな気が……
「おらおらおら!豚ども!その筋肉は、見せかけかぁ!少しは、かっこいいところ見せ上がれ!飛べない豚は、ただの豚なんだからな!」
「ブヒィ!ありがとうございまぁーす!!」
何処かで見たことのあるS嬢に、鞭で叩かれる屈強な戦士たち。この4年間で慣れたつもりだったが、何度見ても凄まじいものだ。
「【ムキ!】さあ、みんなあと少しだ!俺の筋肉を見て、仕事頑張ってくれたまえ!ガーハッハッハー!!」
「お主が1番力持ちなんじゃから、手伝えや!!」
「?」
リロリさんのサイドキックが、マッスルさんの膝裏に炸裂する。がしかし、マッスルさんはポーズを取ったままで、逆にリロリさんが脛を押さえて転げ回っていた。
「ゔぎゃーーーーーーーー!!!」
「リロよ、どうして怒っているのだ?俺の筋肉でも見て落ち着くといい!さぁ!」
「お主のせいじゃろうが!」
見られてるとも知らずに、仲のいい2人のことだ。あ、そうそう。あの2人結婚したんだよ。リロリさん、結構面倒見いいからさ、それにマッスルさんは、力はあるけどバカだからね。バカと面倒見のいい姉みたいな夫婦だよ。見た目逆たげど……
「今日でこの街から旅立つのか」
少しさみしいような、新しい冒険にワクワクしてるような、僕の心の中は矛盾で満ち溢れていた。そんなことを思いながら外を見ていると、後ろからゴソゴソと音がした、振り返るとみんなが目を覚ましたみたいだ。きっちり6時30分に起きる3人、1分1秒の狂いもないから驚きだ。
「おはよおー、みんな顔洗いに行くよぉ〜」
「きゅう〜」
「は〜いぃ〜」
「りょうかぁ〜い」
家の裏手の方に向かうと、何か香ばしい匂いがして来たので、早歩きで向かう。扉を開けた先には、あの奴隷商人がタキシードにエプロンと言う、なんとも言い難い格好で焼き鳥を焼いていた。
「おぉ〜これは、これは、皆さまお揃いで、本日は、日頃当店をご利用下さいっているお客様である、あなたがたへの旅立ちをお祝いして、こちらの特上コカトリスの串焼きと、様々な野菜をご堪能くださいませ」
と、奴隷商人は、僕たちに向けて一礼をする。後ろでは、丸刈りの屈強な男たちが、せっせっせとお肉をひっくり返していた。その後ろに設置されたテント中では、
彼女の捌く姿は美しく、それでいてそこらの冒険者が、束でかかっても勝てなそうな強者のようなオーラを、その包丁さばきから感じた。彼女に見とれていると、案の定奴隷商人がぐふふと、笑いながら近づいてくる。
「流石司徒様でございます。あの奴隷に目をつけるとは」
ふと、確かあの奴隷商人は、魔物専門だったはずなのだが……
「おい、彼女はどう見ても亜人なのだが」
「ああ、はい。あの奴隷は、特別なのですよ。聞きたいですかぁ?聞きたいですよねぇ。…ぐふふ、そんな軽蔑の眼差しで見つめられると、ぐふ、ぐふふ…わたくしゾクゾクして来ちゃいましたよ」
奴隷商人は体を反らせながら、悶える。サッ!と僕とイースターさんは、ソニカの前に壁を作る。そして黒兎が、目を塞ぐ。
「みえなぃよぉ〜(≧∇≦)」
「ぐふ…さておき、彼女はですね。北の龍国の女王なのですよ。どうやら、聖国に在らぬ濡れ衣を掛けられてしまいまして、そのためわたくしが匿ったのですよね。わたくし優しいぃ〜今は、仮契約中なのですよ」
「仮契約か、そんな方法もあるんだな」
「それでですねぇ〜司徒様。この仮奴隷と、仮契約を致しませんか?」
僕がその子と仮契約だと、こいつは何を言ってるんだ?流石に人型と契約するのは、気がひけるのだが……しかし、あの包丁捌きと、俊敏さは欲しくない訳では無い。
こっちを見るなり、つかつかと歩いてくる。
「その大きさ、その丸み、久しぶりやんな!!」
「きゅう?」
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