第17羽 娘と世界の真実?
跳び出してきたのは、イースターさんとは違った毛色の小さな兎だった。瞳は白かった。でも、イースターさん似で、ウサミミはとても長かった。でもサイズは小さかった。僕の腕におさまるくらいの、サイズだった。
「ソニカ?」
僕はその小さく可愛いピンク色のウサギに、僕がつけた名前で呼びかける。
「パァー(๑╹ω╹๑ )」
喋ったぁ!
「きゅ?」
「マァー(๑╹ω╹๑ )」
【きゅん♡】
イースターさんがもじもじと体をくねらせ、ほっぺたをふにふにしていた。嬉しそうだ。そんなことを思っていると、ソニカのお腹からクゥ〜と、可愛らしい音が聞こえて来た。
「ソニカお腹すいたの?」
「す、いたヾ(๑╹◡╹)ノ"」
ソニカは明るい顔で自分の意思を、片言で僕たちに伝えてきた。それを聞いたイースターさんが、ソニカを僕の手から抱き寄せ母乳をあげていた。ソニカは、ちゅ〜ちゅ〜と、必死に母乳を吸っていた。それを僕が見ていると…
「きゅう♡」
あなたも吸いますか♡と、到達にイースターさんが言って来たので、一瞬思考が止まった。
【ボンッ】
僕の頭じゃなくて、イースターさんの頭から煙が出ていた。どうやらイースターさんの方が先に我に返ったらしい。僕もイースターさんも、木の下に座ってあの木ノ実に噛り付いていた。リスのように…
「寝ちゃったね。」
「きゅz Z」
ふふふ、イースターさんも寝ちゃったみたい。親子だなぁ〜、今日もいい天気だ。うん〜と立ち上がり、体を伸ばしイースターさんの隣に座るり、メガネをかけてソニカのステータスを鑑定する。
ネーム 香月
レベル 1
種族 イマニィ・ラビット
称号 なし
HP200/200
MP-200/-200
攻撃力300
防御力250
素早さ50
スキル マイナス レベル-1
効果。MPがマイナスになる。プラスのMPの動きを、音として聞き分けることが出来る。触れた場所をマイナスにすることが出来る。
スキル 声色変化・人 レベル1
効果。発声する声が人の言葉になる。
??…声色変化はそのまんまだとして、マイナスって何だ?プラスのMPの動きが分かる?アナウンスさんに聞いてみるか。この頃、アナウンスさんの声聞いて無いし。
「アナウンスさん。」
『どうかなさいましたか?』
「娘が変なスキルを持ったのですが、意味が分からなくて。」
少しの間があった後に、アナウンスさんの声が聞こえてきた。
『それではまず、この世界のMPについてからお話し致しましょう。まずこの世界の全てに、マイナスが存在します。人や違う世界からやって来た生き物には、プラスの魔力。またの名を、マジックポイント。そうMPです。この世界の魔物や魔人には、マイナスの魔力が流れています。陽の気という、プラスの気を使う者たちもこの世界にいます。逆にマイナスの陰の気を使う者たちも、この世界にいます。その2つの力は、反発します。それはこの世界の人たちには、知られていません。ですが、人は魔物や魔人を嫌い。魔人や魔物が人を嫌うのは、魔力の違いが原因です。』
「どうしてそんなことを?」
『この世界は、創造神様が面白可笑しく作りました。ですが、一度人神の呪いで、プラスもマイナスも無い世界になりました。その死んだ人神は、元々人と魔人のハーフでした。この世界で生まれました。人である母は、人神を産んだ代償に、死んでしまいました。魔人である父は、5年後に激怒した母の家族たちに、殺されました。その光景を目の当たりにし、プラスとマイナス、陰と陽の魔力が暴走し、ゼロの魔力を手に入れました。この世界の全てを恨み、世界の半分を破壊して周りました。』
「世界の半分を壊したのは、初代魔王じゃないの?」
僕はあの図鑑に載っていた、魔剣マリナスグレイドの説明文を思い出していた。
『いえ、その時の魔王は2代目魔王です。そしてその魔王が壊したのは、世界の8分の2の土地です。初代魔王の人神が、この世界の半分を破壊しました。そしてこの世界を作った創造神様は、面白いことが好きで、何があっても見ているだけでした。しかし全ての人や魔人を殺されるのは、面白く無いとその人神様を封じ、地面を奥深くに埋めました。この時代の記憶は、生き残った魔人や人の脳から、綺麗さっぱり無くなりました。冒頭でも言ったように、その人神の呪いでプラスもマイナスも無くなった結果、次は2代目魔王が生まれてしまいました。陰の気に対抗出来る力、それが陽の気でしたが、それが無くなった結果。魔力の高いものがこの世界を支配し、小さきものは蹂躙され、奴隷とされて来ました。そのトップが2代目魔王です。創造神様は、それが面白くありませんでした。なので、勇者を別の世界から呼び、魔王を討伐させた瞬間に、この世界を初期設定に書き換えました。これがこの世界の真実です。』
「分かった、ありがとうアナウンスさん。」
『…』
返ってくる言葉は無かった。
てことは、この世界はその創造神とやらの手のひらの上ってことか。まぁいいかな、それでも。僕は、この世界が創造神の手のひらの上だって構わない。だって、この世界に来なければ、僕はイースターさんとも、ソニカともほかのみんなとも、会うことは無かったのだから。
僕はこのとき、そんな幸せに満ちた未来が待っていると、そんな甘いことを思っていたのだ。このとき
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