第16羽 遠回りもたまにはいいよね?
僕たちは朝鳥という雀のような魔物の、鳴き声で目を覚ました。朝鳥は日差しが当たると、活動を開始する鳥だ。夜は物陰に隠れて眠りについてると、この前行商人から買った、魔物図鑑1にそう書いてあった。他にもその図鑑には、様々な魔物が書いてあった。例えばこの、スケルトンだ。
〔スケルトンとは、人の死体に悪霊が取り付き、動く骨の兵士のことである。防御力は低いが、頭の骨を粉砕させないかぎり動き続ける。光属性の魔法が有効。逆に闇属性の魔法は、骨が強化され硬くなる。〕
まぁ、こんな感じだよ。この図鑑の中でも、1番好きなのが、初代勇者が持っていた聖剣に、魔王の魂が乗り移った魔剣。その名を魔剣マリナスグレイド。この魔剣マリナスグレイドは、何処かの洞窟の奥底に封印されており、その封印が解かれるときその時代の怨念たちと共に、死を招くと言われている。
ちなみにあの物語に登場する魔王よりも、前の魔王らしい。もしその魔王が戦ったらどっちが強いのか?と言う、議論が何故か繰り広げられたらしいけど、結果的に短期決戦なら2代目の魔王、長期決戦に持ち込めば初代魔王のほうが強いという、結論に至ったらしい。どちらにしても、魔王は化け物ってことだ。だって1人で、この世界の半分の土地を破壊したのだから。いやぁ〜それを聞いたときは、背筋がゾッとしたよね。
なんてことを考えながら、実は1人朝風呂を堪能していた。イノくんが泳いで、僕の元へやってきた。男水入らずで語り合おうってか、いいよぉ〜語り明かそうじゃないか!
「フゴッ」
「うん。この温泉、凄く気に入ったよ!」
「フゴ、フゴ。」
良かった、良かったって、イノくんって何だかおじいちゃんって感じだよね。
「そういえばイノくんに言ってなかったけど、僕男だよ。」
「フゴッ!?」
やっぱり、気づいてなかったのか。なんでだろう、日本にいたときは、ここまで女の子と間違えられることは、子供の時くらいだったのに。まぁ、女の子に間違えられて困ることって言ったら、ギルドのトイレくらいかな。何時も男性用に入ろうとすると、リロリさんに女性用のトイレに引っ張り込まれるんだよな。まぁ、女の子と間違えられて困ることなんてこれくらいで、女の子に間違えられてるほうが得なこともあるんだよ。それはね、屋台とかで2つ買うと、「お嬢ちゃんは、可愛いからオマケだっ」って、もう1つくれるんだよね。
てか、そう思うと。この世界の男ってロリコンなのかな?だって、僕の見た目って完全に女子小学生だもん。ついでに言うと、僕は昔からサッカーとかより、人形とかが好きだったから、昔はなんで僕は女の子じゃないんだろうって、何回も考えてたもん。
「フゴッ?」
僕が男だって信じられないみたいだから、僕はワンピースの裾を軽く持ち上げていると…
「うりくん見ちゃダメ!」
「フゴッ!!」
【チーン】
イノくんがイノ娘に脳天かち割りチョップを食らったと思ったら、温泉にプカプカと浮くイノくん。試しにちょんちょんと、頭を突いてみるが、ピクリともしないイノくん。
イノ娘は顔を青ざめさせながら、イノくんを温泉から引き上げようとしていたから、僕も手伝った。岸に打ち上げられたトドのようだった。てか、イノくんは完全に目を回していた。御愁傷様ですと、僕は手を合わせて拝んでおいた。
「フゴッ(怒り)」
あ、目を覚ましたみたいだけど、なんでそんなに地団駄を踏んでるんだろう?僕何かしたかな?なんか僕のせいで叩かれた!って、怒ってるみたいだった。イースターさんの考えてることは、丸わかりなんだけど。イノくんの考えてることは、なんとなくしかわからないからなぁ。
のぼせてきたし、あとはイノ娘に任せて部屋に戻ろう。一応帰り側にイノくんのフォローをしてから、部屋に戻った。
部屋に戻ると、イースターさんはまだぐっすりと寝ていた。
寝顔も可愛いなぁ〜なんて思って、ほっぺにキスしようとしたとき、イースターさんの目がパチっと開き、プチュ〜♡とキスをされた。僕は顔を真っ赤にしながら抱きついた。そのあと数時間がたったあと、村を旅立った。
そのまま街に帰るのではなく、僕たちはあの森に向かった。何故かというと、イースターさんが毎食のようにあの木ノ実を食べるので、もうあと数十個しか残っていないのだ。
「イースターさん久しぶりだね。」
「きゅう♡」
僕たちはあの木の下で座って、一緒に木ノ実を食べていた。
そういえばこの森でイースターさんと初めて出会って、この木の下で婚約したんだよな。これからもイースターさんと、それとソニカと一緒にこの世界を旅したいと思います。
【ピキッ】
決意を新たにした時、ソニカの卵の殻が音を立てて割れた。そしてその中から、ピンク色の丸い何かが跳び出してきた…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます