第12羽 卵?
朝は珍しく、イースターさんが先に目を覚ましたようだ。
「きゅ、きゅ、きゅうーーきゅ、きゅ、きゅーーー」
僕が起きると、イースターさんが横でふっくらしたお腹を抑えながら、腹式呼吸をしていた。僕は慌てながらイースターさんに近寄り、お腹を優しく撫でていると、イースターさんの表情が一層苦しそうにしていた。
「大丈夫?」
僕は生活魔法で、水を少し飲ませてイースターさんの右前足を軽く握ると、イースターさんはうっとお腹に力を入れた。
【ポンっ!!】と、音を立てて兎証の入った卵が、イースターさんの股の間から出てきて、僕たちは一瞬固まった。
「え?」
「きゅ?」
イースターさんは卵の元へ向かおうとしているが、腰に力が入らず動けないようだったので、僕が代わりに卵を近くにあった毛布に包んで、イースターさんに渡した。
すると、卵を優しく抱きしめ、我が子のように優しく撫でていたイースターさんを見て、はっと僕は気がついた。
「イースターさん、もしかして、いや、もしかしなくても、その卵は、僕とイースターさんの子供?」
「きゅう♡」
そうよってことは、やっぱり僕の、いや僕たちの子供なんだ。そう思うと、なぜか涙が出てきた。僕とイースターさんは、愛し合っている。だがしかし、超えられない壁があった。それは、種族の壁だ。僕は一応人族、そしてイースターさんは種族名だとビック・ラビット。そうイースターさんは、根本的には魔物だった。
愛の営みくらいは、種族の壁なんてものがあっても出来る。周りが僕たちのことをどう見ても、僕とイースターさんはするのだろう。
イースターさんと出会ったあの日、イースターさんは寝ぼけながら、子供が欲しいと呟いていた。僕と、イースターさんの違いはまだある。生きられる年数だ。日本人は、せいぜい生きられても100年が限界だ。多少魔力のおかげで、生きたとしても、いつかは魔力が付き、結果僕は、イースターさんよりも先に死んでしまう。だって、イースターさんは死ぬことが許されないのだから、僕は昨日のあの物語を読んでそう思った。黒き魔王を倒すには、12匹の白い獣と12人の司徒が必要だ。
だから、その白い獣が死んでは困るのだ、だから僕はイースターさんには、寿命が無いのだと思う。
僕が死んだらまた1人になって、次の司徒が現れるのを待つのだろう、たった1人で。僕はイースターさんに、そんな寂しい気持ちになって欲しくなかった、僕げ死んだ後も、元気に暮らして欲しいと、心から思った。だから昨日、初めてイースターさんと、夜の営みをした。
その思いが神に通じ、イースターさんとの間に、子を成すことを許して下さったのだと、僕は思う。この世界を作った神様。ありがとうございます。と、深く深く天に向かって、お辞儀をした。
もし本当に神様がいらっしゃるのであれば、どうか僕たち家族を見守ってください。
「きゅうーー」
「イースターさん今いくよぉ〜」
子供(卵)が生まれてから、数日が過ぎ子供の名前は、イースターさんは、イースターの日から取ったのだから、イースターの日は、四月の十二日。その十二日にあて字で香月
ソニカは、イースターさんがカンガルーのお腹の袋のような物を、聖女さんが編んでくれたので、その袋を首にかけて、その袋の中に卵を大事に閉まっていた。
何時も嬉しそうに卵を撫で撫でしていると、時々中から反応が返ってくる。それが嬉しいのか、尻尾を高速に左右に振りながら、子守唄を歌うイースターさん、僕はみんなの手伝いをしながら、イースターさんとソニカに寄り添った生活をしていた。
また時は流れ、夏を通り越して秋がやってきた。街もだいぶ建物ができて、交易が開始したころ、僕たちはギルドから、産休を貰い。孤児院の人たちと一緒に暮らしていた。孤児院の建て替え費用や、これまでの食費の費用などは、マッサルさんや、マッスルさんが工面して下さり、今では毎日のように、暖かい食事が食べられている。そのおかげか、あの病弱だったミクもこの頃は、近所の子供たちや、ほかの孤児院の子供たちと、外で遊ぶようになって悩みが減ったけど、その代わりに心配ごとが増えてしまった。
そうそう話しは変わるんだけど、あの出産以来イースターさんのスキルが、ぜんぶみえるようになったんだ。あと、少しだけ変化した部分もあったり。
ネーム イースター 性別 メス
レベル 777→1,400
種族 ビックラビット→ビック・ルビー・ラビット
婚約者 香月莉緒
称号 世界樹の森の王者 十二神聖獣の4番目
スキル 威圧 レベル10
自分より下位のものに対し、常時発動する。効果は、自ら切る事もできるが、これを人にやると失神するので注意。
スキル 脚力超強化 レベル9
脚の筋肉が4.8倍になる。素早さも少し上る。
スキル 索敵 レベル7
自分に対して、殺意を持ったものが近づくと、頭に警報➕場所特定
スキル 超回復 ストック167
スキル 温暖化 レベル6
自分の周りを少し暖かくする。
スキル 地獄耳 レベル10
前方の音を全て聞き取り、自分の言語に変換する。
スキル 逃走術 レベル10
敵から逃げる時のスピードが2倍になる。
対象の傷を肩代わりすることが出来る。心の傷は肩代わり出来ない。命に関わる傷も肩代わりすることが出来るが、即死は肩代わり出来ない。
スキル 隠密 レベル6
周りから自分の気配を、ほぼ消すことが出来る。
装備『兎証ウサギジルシの婚約腕輪』
婚約相手と意思が疎通できる。素早さが少し上がる。
装備『兎証の卵袋』
卵を入れて置くための袋。
こんな感じになりました。この世界の理屈だと、生まれたときに2つスキルを持って生まれたのかな?そういえば、イースターさんがこの物語の登場人物ならば、イースターさんの歳は…1万歳をゆうに超えていることになる。あまりイースターの歳について、考えているとイースターさんに殴られちゃうから、年齢についてはこのくらいにしよう。あ、あとあれ以来、イースターさんのレベルが上がらなくなった。レベルが上がらないのでは無く、必要な経験値が増えたのかもしれない。だって1,400がレベルの上限だったら、なんか中途半端じゃない?
まぁ、確認しようにも、先ず人族のなかにそんなレベルに達した人は、どこの伝承にも無い。あの物語の登場人物にも、そんなレベルの人は誰もいなかったらしい。←イースターさん情報。
まぁ、成るように成るの精神だよね。僕のステータスは、未だにこっちの世界に来てからレベルしか上がって無い気がする。力の数値とか、はっきり見ることは出来ないけど、何となく分かるんだよね。たまに、子供たちと力くらべで、腕相撲とかするけど、レベル7の子供といい勝負なんだよね。
結局レベルって何だんだろうね。ま、いっか。早く自分のステータスを見て見たいな、この世界には鑑定というスキルがあるらしいから、早く会ってみたい。
「きゅう〜z Z」
ふふ、イースターさんも寝ちゃったみたいだし。僕も寝るとするの。
「イースターさん、ソニカお休み。」
僕はイースターさんに寄り添うように眠りにつくのであった。
ーーーーーーーーーーー?の中ーーーーーーーーーー
「あったかい。このやさしいぬくもりは、なに?あたしは…それがしりたい。はやく、はやくここから、このくらやみから、でたい。」
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