第11羽 12司徒と12の白獣の物語?

 その日の夜、昼間マッサルから貰った絵本を、読んでみようと挑戦した。だがしかし、やはり文字が読めない。僕が悩んでいると、イースターさんが僕の後ろに座った。そしてこの絵本を見つめていた。


「?」


 イースターさんから、この物語の内容が伝わってきた。どうやらイースターさんは、魔物でありながらこの世界の字が読めるようだ。


 ーーーーーー12司徒と12の白獣の物語ーーーーーーー


 昔、昔この世界には、人種と魔人種が居ました。魔人種の中に、魔を統括した化け物が、この世界に突如として現れた。その者のことを、人種は恐れ慄きこう呼んだ。黒き魔王と…。


 黒き魔王は、世界を破壊し。人種は諦めていた、だがそんな中でも、1人の聖女が神に祈ったとき、天界から12の白い獣と、その白い獣に乗った12人の子供が現れた。


 その者たちにより、黒き魔王は倒され、世界は崩壊の危機から救われた。それから数十年、世界は平和だった。だがしかし、12の司徒は寿命を迎え、12の白獣たちを残して死んでいった。


 残された獣たちは、司徒に子孫がいる場合は、その子孫の守り神として、子孫がいない場合は、各々が次の主人が見つかるまで、各地で眠りにつくのであった。


 そして次に彼らが目覚めるとき、それ即ち魔王が復活する予兆であり、現在魔物が多発している事件が、増えている。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 っと、そんな物語だった。ファンタジーもので良くある話だが、先程僕たちのことを、司徒様と呼んでいたことから、その12人の1人なのでは?と思われているのだろう。そんな訳ないじゃんねぇ〜ねぇ〜イースターさん。


「きゅ?」


 その1匹だよって、へぇ〜そうなんだっ?えっ!?いや、そんなはずはだって、確かにイースターさんは強いし、言葉も通じるけど、僕を見てみなよ。レベルが高いけど、能力が定着してないみたいな、中途半端な人だよ!そんな司徒だなんて、ある訳がないよね?


「イースターさんが本当にその12匹の1匹なら、他にはどんな動物がいたの?」


「きゅう〜?」


 え、昔のことだから忘れたって?自分がその12匹の1匹ってことは、覚えてるのに何でなんだろう?なんか嫌なことでもあったのかな?


「きゅ〜…きゅ!」


 1人思い出したって。何の動物なんだろう?わくわく、ドキドキ。


「きゅい。」


 白猫?猫かぁ〜どんな毛並みなんだろう?一度でいいかとら、触ってみたい。…この背筋が凍るような、冷たい視線は…


「きゅい!!」


「ぎゃふん!」


 イースターさん!僕は浮気なんてしないよ!!僕の妻は、一生イースターさんだけだよ。


「きゅん♡」


「ふぅ、わかってくれたんだね♡」


「きゅう〜♡きゅ♡、きゅ♡!」


 僕たちがイチャイチャしていると、何かテントの入り口の方から視線を感じたので、顔を向けると1つどころか4つの目があった。そうそれは、孤児院の人たちだった。テントの入り口に近づくと、4人とも慌てたのか、僕がその入り口を開けてみると、ツイスターゲームのように絡まっていた。


「何してるの?」


「ちょっとお散歩を、おほほ〜お邪魔しましたぁ〜みんな、帰るわよ〜」


「「「はぁ〜い!」」」


「良い夜を」


「おいこら!まてぇ!!」


「きゃぁ〜逃げろぉー」


 四方八方へと走って行った。もう、なんで聖女さんまで、あんたは見本じゃないと、駄目なんじゃないか?はぁ〜、僕はため息をつきながら、テントに戻るとイースターさんが、カモーンと言わんばかりに、仰向けに寝っ転がっていた。


 僕は少し顔を赤くしながら、外を1回確認した。良し、誰もいない。僕は一糸まとわぬ姿になり、イースターさんに飛びついた。その日は2人で、愛の時間を過ごしたのであった。

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