第10羽 ムーンナイト帝国のお姫様?
魔人と死戦を繰り広げたその日の夜、まだ街は瓦礫の山で埋めつかされていた。取り敢えず整地魔法などを扱える人が、ある程度の範囲を魔法で埋め立て、その中心にギルドを設置した。
まぁ、四方を布で囲っただけの、簡易ギルドなのだが、無いよりはマシだろう。
あのあと直ぐに、商業を営んでいる商人さんが、この街に来てくれたため、5日分の食料は確保出来た。お金は、何処から出たのかというと、ギルドは地下にお金や、素材を保存しているため、お金は大丈夫だった。
夜ご飯をみんなで作っていると、この国の領主とその娘、あと何か見覚えのある女性が、ギルドに訪れた。
「おい!マッスルは無事か!」
「おう!俺はここだ!」
その領主らしき男の顔は、マッスルさんと瓜二つだった。兄弟なのだろうか?
「ん?おう、リオたちは初めて会うんだったな。此奴は、俺の兄貴であり、このムーンナイト帝国の王ムーンナイト・マッサル17世だ。」
「僕は、コウヅキリオ。このウサギさんは、僕の妻イースターさんです。」
「おぉ〜君たちが、魔人の自爆から民を守ってくれたあの、イースターさんたちでしたか!この度は本当に助かりました。」
顔はマッスルさんなのに、なんて礼儀正しいんだ。イースターさんもそう思うよね。
「きゅい。」
「兄貴よ、何故か2人から冷たい眼差しで、見られているような気がするのだが?」
「マッスルよ、自分の胸に聞いてみろ。」
「俺の胸筋に聞けと。」
うんうんって、マッスルさん本当に胸筋と会話してるよ。流石にひくんだけど…
「お父様!わたくしも紹介してほしいのですの!」
「お嬢様!お待ちください!」
「「…っあ!」」
マッサルさんの次に入ってきたのは、マッサルさんの娘には全く見えない可愛い女の子が出てきた。金髪でゆるふわツインテという、例えて言うならタイニープードルの子供のような感じだ。
その後ろから出てきたのは、自意識過剰なあの女だった。
「やぁ、自意識過
「私の何処が、自意識過
「ふっあなた、コウヅキさんでしたっけ、良いネーミングセンスですの。」
イースターさん以外に、僕のネーミングセンスが受け入れられたのは初めてだった。この人とは、仲良くやって行きそうだ。
「こら!2人とも、自己紹介をしてからにしなさい!」
「はい、お父様。申し遅れました、わたくしはムーンナイト・タイニー18世です。気軽にタイちゃんと、お呼び下さいませ。」
「わかりました。なら僕のことも、リオとお呼び下さいませ。」
「お嬢様!不用意に、男に近づいてはなりません!男は、狼なのです!獣なのです!絶対に私がお嬢様の、純潔は守り抜いて見せます!…ふぎゃ?!お嬢様何を??」
タイちゃんは、不機嫌そうに眉をひそめながら、自意識過嬢さんに対して、チョップをくらわせていた。自意識過嬢さんは、頭を抑えながら蹲っていた。
あの細腕の何処に、そんな力があるのだろうか?と、率直な疑問を浮かべてみたり。あの親にして、この娘なんだなと思った。
「シルちゃん!コウヅキ様たちに、何て失礼を!ほら、頭を下げて!」
「すまなかった。」
ふっw
「おい!今鼻で笑ったな!コウヅキてめぇ!表に出やがれ!」
「ジーシル!何をしてらっしゃるの!その剣を振るう相手は、考えて選びなさい!そうじゃないと、私自ら、ジーシルあなたを罰則に処し、そして私もこの勲章を、陛下にお返しすることになるわよ。私に娘を罰則に処させないで頂戴。」
「母上!」
その自意識過嬢さんの母と名乗る女性は、銀色の甲冑を見に纏い、自意識過嬢さんと同じ桜のような色の髪を左右に揺らしながら、登場した。
「ウチの娘が大変失礼を…」
「良いんですよ、自意識過嬢さんの母君には、何の罪も無いのですから。」
「おぉ、ありがたきお言葉。流石12人の司徒様の中でも、もっとも優しいと言われる、4番目の司徒様でございます。」
何だそれは?僕が4番目の司徒?なんの司徒だ?
「先程は大変失礼した…だが、司徒様。もし、お嬢様に手を出したら、地獄の果てまで追いかけて、首を切り落とさせて頂きからね。」
目が怖かった。虚空を覗くような、そんな目だった。僕は彼女に、魔人以上の恐怖を覚えてしまったのは、ここだけの秘密。
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