第5羽 ギルドの変な人たち?

 僕とイースターさんは、無事に街に入ることが出来、マッスルさんの後ろを、とぼとぼと歩いていた。みんなが、僕とイースターさんを注目してくる。僕はあまり人の視線が好きでは無いので、イースターさんのもふもふに顔を埋めていた。


「きゅ、きゅ、きゅ〜♪」


 イースターさんは、あまり気にしないタイプのようだった。鼻歌を歌いながら、初めてみる沢山の人や、建物を目を輝かせながら見ている。


「到着したぞ!ここがムーンナイト帝国ギルド支部だ!そして私がここのマッスル署長だ!!これから宜しくな!さぁさぁ中に入ってくれ!」


「行くよ、イースターさん。」


「きゅい!」


 先ずは最初が肝心だよね、僕たちが西部劇風の扉を通って中に入ると…。


「この豚が!!もっと良い声で鳴きやがれ!」


「は、はい!おねぇ様!あぁ〜ん♡」


「誰が人の言葉を喋っていいと言ったぁ?あぁん?豚は、豚らしくブーブーって、鳴いてればいいんだよ!」


「ブヒィン!♡」


 何だこれは、SMくらぶか何かなのか?いやその前にイースターさんの視界を塞がないと、無垢なイースターさんにあれは、刺激が強すぎる。


「きゅう?」


「リーゼ!そこら辺にして、新しく仲間になる此奴らの、登録頼む。」


「あらマッスル署長じゃない、そちらのお嬢ちゃんも、Mなのかしら?」


 今なんか背中がゾクッとしたんだけど、それに寒気が…このギルドヤバい気がする。だから、あのときハゲ眼鏡さんが、僕たちに憐れみの視線を向けていたのか。


「いえ、僕はMではないので…」


「そうだぞ。それよりも早く登録させてやれ、私には時間無いんだから。」


「どうせ筋トレでしょ、あたしだってこの豚の面倒を見ないと行けないんだから、忙しいのよ。」


「登録作業してくれないと、昔の恥ずかしいあ…れを、ギルドの壁にデカデカと飾っちゃうけど、いいんだな。」


「や、やらないとは、言ってないでしょ!!ほら、今日のお仕置きは、これで終わりよ!」


「ブヒィー♡ありがとうございました♡」


 お尻を思いっきり蹴られたのに、何であんなに幸せそうなんだろう。Mの気持ちは、一生分からないだろうな…だって痛いのいやだも。


 ーーーーーーーーーーー3分後ーーーーーーーーーーー


 何か凄く可愛らしい、メイドさんがやって来た。あれ?なんかでも、さっきも会ったような?まさかね、さっきのSM嬢じゃないよね。


「リーゼそう言えば、今この町にいるA級冒険者って、誰が居たっけ?」


「はぁ、それぐらい覚えてて下さいよ。ホントもう、猫の手も借りたいくらい、忙しいってのに(調教)、なんであたしが、今この街に居る冒険者まで、覚えなきゃ行けないのよ。……あぁ〜確か1人だけ居ますよ、あのくそチビロリババァが。」


 露骨にテンション下がったなこの人。


「誰がくそちびロリババァだってぇ?」


 僕たちの後ろから、杖をついた幼女が現れた。なんだろうこの違和感、僕より歳下に見えるのに、何でこんなに熟年者のようなオーラを感じるのだろう?


「あらいらしたのね、リロさん。小さくて視界に入りませんでしたわ。」


「いつも思うのじゃが、もう少し年配者を敬う気持ちというものを、持ったらどうなのじゃ?」


「はぁ?誰が年配者だってぇ?そんな人どこにもいらっしゃらないじゃないですか?居るのは女の子とバカと、ロリババァとその白いのと、あたし、そしてゴロツキたちでしょ?何処に敬う人がいらっしゃるのか、教えてくれませんか?」


 僕には亀と蛇が見えるよ。


 ーーーーーーーーーー5分後ーーーーーーーーーーー


「はいこちらが貴方のギルドカード、そしてこっちの名札が貴方のペットの分。」


 ん?誰が僕のペットだってぇ?まさかイースターさんのことじゃないよね?


「おい!イースターさんを、今ペットと呼んだな。」


「はい。そう言いましたが、そんなことがどうしたのですか?魔物なんて、ペットか討伐の対象でしょ?あなたそんな常識もないのですか?」


 もう黙ってられない…


「イースターさんは、僕のお嫁さんなの!!」


「きゅい!」


『対象リーゼ・エィスが、敵認定されました。イースターさんのスキル威圧が発動されます。』


「ひぃ!」


「どうしたリーゼ?!そんなに怯えてどうした?」


「怖い、怖い、化け物、化け物、化け物!いや、来ないで!助けて!……」


「おいどうしたしっかりしろ!医療班!リーゼが倒れた!」


「何?!あの鬼のリーゼさんが、倒れただって!そんなバカな、あの新人は何なんだ?」


『対象リーゼ・エィスの気絶を確認しました。スキル威圧が、解除されます。』


 ざまぁみろです。僕のお嫁さんをペット呼ばりするのが、悪いんです。ねぇ〜イースターさん。


「きゅーい。」


「今のはお前らがやったのか?」


「そうだよ!あの人が、イースターさんのことをペット呼ばりするから、少しだけ懲らしめてあげたの。」


「おい、お前さんがたあのギルドの嬢王様に使ったのは、威圧じゃな。お前さんたちのレベルは、なんぼなんじゃ?」


 よく分かったな、イースターさんが使ったスキルが威圧だってことを、あの数十秒で見抜くとは、流石冒険者だ。


「分からないのであれば、ギルドカードに触れば表示されるぞ。」


 いや、分かるんだけど…ま、いっか喋るの面倒だし。ギルドカードに触ると、浮き出るように名前と冒険者のランク。そして性別と、レベルが表示された。


「ん〜と、どれどれレベルはっと、コウヅキさんのほうが、117…117?!儂より高いじゃと!さっきの威圧を使ったのは、コウヅキさんじゃったのか。」


 へぇ〜そんなに上がってたんだぁ、へぇ〜


「いや僕じゃないですよ、それを使ったのは僕じゃなくて、妻のイースターさんですよ。」


 僕はイースターさんの名札を、リロさんたちに手渡した。


「1,365…」


「大丈夫か!」


「あのギルドの大魔女様が、倒れたぞ!!どうなってんだあの新人は!」


 大丈夫かな?レベルが千を超えてるなんて普通だよね。だってイースターさんだもん(謎理論)


「きゅい?」


 暇だしイースターさんに甘えてよう、もっふもっふ…


「医療班!もう1人倒れた!!」


 もふもふ、もふもふ…


「何どうしたんだよ?そんなに気絶するほどだったのか?」


 横から割って入ってきた男が、名札に浮き出ていた数字を見て失神した。


 もふもふ♡、もふもふ♡…


「医療班!次は、失神しちまった!…てか、そんなに驚くようなレベルだったのか?…1,365…何だってぇー!!」


「マッスル署長が倒れたぁー!!」


 もふもふ♡、きゅい♡、もふもふ♡、きゅい♡…


 後日、その名札を見たものは死ぬという、噂が広がったとか、広がらなかったとか…ってか、僕とイースターさんがイチャイチャしてる間に、何があったらこの地獄絵図みたいな状況になるのだろうか?


 どうせほっといたら、起きるでしょう。


「起こすのもめんどくさいから、ご飯食べに行こうイースターさん。」


「きゅい。」


 僕たちは、無事?にギルドに登録することが、出来たのであったとさ。

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