05話 ステータスカード

「さてと、あのおっちゃんに言われた建物に入ったが、思ったより多くの人がいるものだな。」


 そこには、様々な格好をした人たちがいた。魔法使いらしき服装、剣士みたいな格好の人などだ。

 おぉー!まさしくファンタジーだな!

 ゲームの世界に入ってきたみたいで興奮するなぁ。

 まぁ、異世界転生してきましたけど…。

 とと、今は情報収集が先だった。

 僕は受付らしき場所があったのでそこにいくことにした。


 受付に着くと、そこには一人の女性がいた。どうやらその人が受付をしているらしい。

 それにしても可愛らしいな。


「ようこそ。今日はどのようなご用件ですか?」

「えーと、あの、その…。」

 やばいやばい!女性の免疫がなさ過ぎてうまく話せねぇ!

 ええと、女神と話した時はどうしてたっけ。

 その時を思い出す…が、やめた。

 思い出すとイライラしてしまうな、あれは。

 じゃあ、今まで話してた女性を思い出して…

 はは!母ちゃんしかいねぇや!

 よし、この人にはすまないが、女として見ないことにしよう。この人はそう、男だ!

「えーと、聞きたいことがあって…。」

「はい、なんでしょうか?」

 その女性はニコッと笑顔で答えた。

 か、かわいい⁉︎

 やめてくれー、話せなくなるー!

 落ち着け、落ち着くんだっ!

「あの、ギルドについて知りたいんですが。」

 もう、目を逸らして話すことにした。

 これが限界です。

「?ギルドですか?」

「…遠くからきたので、よく分からなくて。」

「そうでしたか、そういう事なら分かりました。ギルドについてご説明しましょう。」


 そこからギルドについての説明が長々と30分続いた。正直、無駄話が多かったな。あの女性見かけによらずよく話すな。とにかく、長過ぎたのでまとめよう。

 ギルドというのは、様々な職業ジョブの人が集まり、作られた組織みたいなものらしい。

 ギルドは魔物退治を主な活動としている。依頼掲示板に掲示されている依頼を受け、その依頼をこなすと報酬が貰える仕組みになっているようだ。また、強いギルドになればなるほど、国などから直接依頼を受ける事もあるという。そのときの報酬は言うまでもなくすごい。

『国直属ギルド』。これは国から雇われたギルドである。他のギルドよりも圧倒的な強さを持ったギルドであり、事実上、その国の強さを示す象徴みたいなものになっているそうだ。そしてその国直属ギルドだが、どの国にでもあるものではないらしい。『五大国』のような広い領土、財政、兵力を持った国だけにあるらしい。

 とまぁ、こんな感じだな!


「他にお聞きしたいことはありますか?」

 あるにはあるが、また説明長くなりそうだなぁ。

 うーん。仕方ないな…。

「ギルドって自分でつくれるのですか?」

「はい。申請し、条件を満たしていれば作ることは可能です。」

 簡単にできるんだな、じゃあ、作ってみようかな!

「なら、ギルドつくりたいです!」

「でしたらステータスカードの提示をお願いします。」

 ステータスカード?なにそれ?

「あの、ステータスカードって…。」

「あぁ、お持ちで無かったのですね。ステータスカードというのは、文字どうりご自身のステータスが記載されているカードです。職業ジョブやスキルの確認が出来るもので、これがないとギルドを作ることは出来ないのです。なにせ、ギルドは戦闘をする事が多いゆえ、危険なんです。戦えるという証拠がなければ…。」

 なるほど、免許みたいなものか。無免許では運転出来ないのと同じだな。

「ステータスカードは作れますか?」

「はい。今ここでお作りすることは可能です。」

 まじか!すぐつくれるのかい!

「じゃあ、お願いします。」

「かしこまりました。でしたら、この水晶に手をかざして下さい。」

 ん?これか?無色の水晶だな。顔くらいの大きさはある。

 僕はその水晶に触れる。

 触れた瞬間、水晶は紫に輝きだした。そして、5秒ほど輝くと水晶の中から一枚のカードが出てきた。

 それを手に取る。

「あの、これは?」

 カードをみてもなにも書かれていない。真っ白だ。

「これがご自身のステータスカードとなります。お名前を入力するとステータスが表示されます。お名前はなんですか?」

「…山田健斗です。」


 ボウっ!

 名前を言った直後、ステータスカードが光った。

 すると、ゆっくりと文字が浮き出てきた。

 光りが無くなると、ステータスカードには僕の職業ジョブとスキルが浮き出てきた。



 名前:ケント=ヤマダ(15)

 職業ジョブ:賢者

 スキル:なし

 パッシブスキル:光の加護



 なるほどなるほど。賢者ですか。

 なんですか?これは僕が童貞だからですか?

 バカにしてんのかっ!

 しかも15って。本当に中学生の頃なのな。

 どうせあの女神のせいだな。あいつ…。

 まぁ、でも賢者はおそらく強いのだろう。

 仕方ないから許してやろう。


 よし!何はともあれ、ステータスカードはできたぞ!あとは、ギルドを作るだけだな。

 いやー、トントン拍子で進んでいいねー!


「これで、ギルドができるんですよね?」

「はい。…ですがヤマダ様は条件を満たしておらず、作ることができないようです…。」

「え?何でですか?」

「ギルドに加入できるのは16歳からとなっていまして…。」

「…16?」

「はい。ヤマダ様は現在15歳ですので、来年から加入できる事になります。」

 な、なんだと⁉︎

 16から?本当は僕23歳なんですけど⁉︎

 そんなー、いきなり躓くなんて…。

 誰だよ!トントン拍子で進んでるとか言った奴!

「来年、ヤマダ様のご来場を楽しみにしてますね!あと、ギルドを作る際は3名以上登録されてないと作るとかが出来ないので、気をつけて下さいね!」




 ……………3名以上って、部活の申請ですか⁇

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