02話 転生後の姿

 ヒュン‼︎ ヒュン‼︎ ヒュン‼︎

 何かが森の木々の中をで移動しているものがいる。

 山田健斗である。

 あれほどの速度で動いているものを、とらえられることはそう簡単にできるものではないだろう。


 では、山田の視点から見てみよう。

 彼は森の中を歩いていた。

 ただゆっくりと、散歩でもしているかのように。

 山田の身体の周りには白い光が纏っている。


 ふむふむ。なるほど。

 この謎の力がだんだんと分かってきたぞ!

 あの狼吹き飛ばし事件(?)から約二時間。

 僕は色々と試行錯誤し、この力を使っていた。

 そして、分かってきた事が4つある。


 分かってきた事1つ目!

 この身体に纏っている光はダメージを無効化できるらしい。

 これは物理攻撃だけでなく、魔法攻撃も当てはまる。

 僕はあの狼を吹き飛ばしてから、さらに2匹の魔物に出会った。

 1匹目は大きな鳥だ。その鳥は口から炎を吐いてきた。まさしく炎の鳥ファイヤーバードだ。

 光を纏った状態でその炎を受けてみた。

 やはりダメージはなかった。また、熱さも感じなかった。

 2匹目はまたあの狼だ。先程吹き飛ばしたやつとは違うみたいだったが。

 そして、またあの技をくらってみた。

 思った通りダメージはない。

 だが吹き飛んだ。

 ダメージは無効化できるようだが、衝撃はくるようだ。

 もちろん?吹き飛んだとて痛みはない。だけど吹き飛ばされるのは好きではない。

 今度からちゃんと避けよう…。


 分かってきた事2つ目!

 白い光を纏っている間は、見ているもの全てがスローモーションになる。

 いや、違う。おそらくだが、僕が。速すぎる故、周りが遅く見えるのだ。

 その速さはおそらく【光】のそれと同じだろう。

 僕を吹き飛ばしたあの狼の技。光を纏っていないときは、あれは目で追うことが出来なかった。が止まったように見えるのだ、光の速さと言ってもおかしくは無い。


 分かってきた事3つ目!

 超人的なパワーを持つことだ!

 あ、もちろん光纏っている時だけだよ?

 あの狼を吹き飛ばしたのも、僕があれに触れたからだ。

 森の木だって簡単に折れた。

 だけどこのパワーは敵対してくるやつのみに使わないとな!

 とてもじゃないが危険すぎる。


 そして、4つ目!

 この白い光の出し方だ。

 まずは無意識に出る時。これは自分が身の危険、つまり何かからの攻撃をうけ、身体的ダメージを受けると認識されたときに発動するようだ。

 次に意識的に出すとき。

 これは正直曖昧だが、頭の中で光を放つイメージを持ち、少し身体に力を入れると発動した。

 しかしこれがなかなか難しい!

 何回も挑戦していたが、今のところ成功率は60%と言ったところだろうか。

 まだまだ慣れが必要みたいだな!


 とまぁ、今のところこの3つが分かってきた。

 これからどんな力が新たに使えるようになるのか、これからの楽しみである!




 などど色々やっているうちに喉が渇いてきた。

 水が欲しい…。

 そう言えば、転生される前まで僕は走っていたな。

 異世界にきたことで興奮し、喉が渇いていたことを忘れていたようだ。

 どこかに湖でも無いだろうか。探す事にしよう。

 僕はまた森の中を歩き始めた。

 ーもちろん、あの光を纏ってね!


 森を10分くらい歩いただろうか、ようやく水のある場所へ辿り着くことが出来た。

 そこは湖だった。

 湖の水が上からの太陽の光を反射して、キラキラた輝いている。

 あぁ、やっと水が飲める…。

 僕は水面に顔を近づけ、水を飲もうとする。


「………。」

「……………。」

「…………………は?」


 僕は驚きすぎて固まってしまった。

 水面に映っている

 そこには自分の顔が映っているのは確かだった。たが、僕ではない。

 明らかに幼い顔をしている。これは中学生くらいであろうか、肌は白く、髭も生えていない。

 え?若返ったってこと?

 …なんで気づかなかったのだろう。

 今の服装を見てみると、スーツを着ていた。

 転生前がスーツ姿だったからな!

 中学生くらいの頃にもどったなら、このスーツのサイズは大きいはずだが…。

 いや、確か僕は…。

 中学で成長止まってました。

 はい。そうでした。もともと小柄でみんなからチビとか言われてました。

 あぁ、なんか切ない記憶が…。

  まぁ、ともかく!23歳から15歳?に戻れたんだ。これは良いことに捉えよう。


 と、そんな事より水だ、水。

 僕はゴクゴクと湖の水を飲んだ。

 なんとこれが驚くほど美味しい。

 夢中になって飲み続け、ようやく喉の渇きが治った。

 あー、生き返ったー。

 空を見上げる。

 相変わらずの快晴だ。

 爽やかな風も心地よい。

 ホッと一息つく。さてと、これからどうすー


 ガオォォォン‼︎‼︎


 突然どこからか魔物が吠える声がする。

 その声は森の木々を揺らし、鳥のような小動物が空へと逃げていく。

 あんなに快晴だった青空もいつのまにか真っ黒い雲に覆われている。

 これは只者ではないな。

 僕の身体に白い光が纏っている。これは意識的に出したものではない。この身体が身の危険を察知して出したのだろう。

 まだ二種類の魔物にしか出会ってないが、こんなことは初めてだ。

 前方の奥の方の木々が次々となぎ倒されているのがわかる。おそらくこちらに向かってきているのだろう。

 姿はまだ見えないが、やばい敵なのは間違いない。

 僕は身構え、戦闘態勢に入る。


 そして、は姿を現した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る