第13話 ニッコリ笑顔と爽やか笑顔…
雨が降っていた…
私は、午前中の打合せが早く終わったので、近くのショッピングモールを目指して、雨の中、車で走っていた…
ショッピングモールに着くと私は、三階の駐車場に車を止めた。私が、車外に出ると少しの風も吹いていなかった…
私は、エスカレーターで一階まで降りて、フードコートに向かった。
フードコートは、まだ少し早い時間だったからなのか、雨が降っているからなのか、結構空いていた。
私は、ずっと迷っていた…食べたい物が2つあったからである。
フードコートに着いても、まだ決められないでいた…その2つとは、たまに食べたくなる昔からある魚介とんこつラーメンか、カレーライスかである。
ラーメンの場合は、昔からある低価格ラーメンの店。カレーの場合は、そのフードコートのカレー屋が潰れているので、讃岐うどん屋のカレーライスを注文するしかない。
そして、やっと決めた…私は、昔からある魚介とんこつラーメンにした。月に一度ぐらいのペースで急に食べたくなるのである。
その店の名は、「スガキヤ」
私は、スガキヤのレジに行き、そこにあるメニューを見ながらラーメンの種類とセットを決めようと思った…幸い空いていたので、ゆっくり決めれそうであった…
私が、レジに行くとやや長身の少しぽっちゃりした30代後半の女性店員が、ニッコリ笑顔で迎えてくれた。
そして、メニューを見ながらどれにしようか考えていると、その女性店員のニッコリ笑顔がやや引きつって来ているように感じられた…私は早く決めなければ!とちょっと焦った。
どうやらその女性店員は、まだ経験が浅いのか?笑顔が長時間持続出来ないようである。
その時、私はメニューにある物を見つけた…
私は、すぐに笑顔が引きつりかけた店員に言った。
「玉子入りラーメンとこのカレーサラダセット!」
私は、知らなかった。スガキヤにカレーライスがあることを…
私が注文すると女性店員は、もう一度笑顔を作り直してから、注文を繰り返して会計した後、
「出来上がりましたら、このベルでお知らせしますので、席にお座りになってお待ち下さい。」とマニュアル通りの台詞を言ってから、ベルを私に渡した。
私は、ベルを受け取るとカウンターに置いてあった空のコップを取って、店の前のテーブル席にベルを置いてから、フードコートの給水機で水を入れて席に座った。
数分後、ベルが鳴った…
私は、鳴っているベルを持ってスガキヤのカウンターに行って、ベルを先程のニッコリ笑顔の店員に渡した。
店員は、
「お待たせしました。ごゆっくりお召し上がり下さい。こちらから、ご入り用の物をお使い下さい。」
とまたしてもマニュアル通りの台詞を言ってから、カウンターの上にある調味料や食器などが置いてあるコーナーを指差した。
私は、まず胡椒を取り、ラーメンに振りかけてから、ラーメンスプーンと箸を取って、注文した物がのったトレーにのせた…そして、最後に爪楊枝の容器を取り、爪楊枝を一本取ろうとした。
だか、爪楊枝のケースは空であった…
私は、ニッコリ笑顔の30代後半のやや長身の少しぽっちゃりした女性店員に向かって言った。
「すいません…これ空なんだけど…」
ニッコリ笑顔の店員から、笑顔が消えた…
すると厨房にいた20代の小柄だけど割とスラッとした女性店員が走って来て、
「申し訳ございません。どうぞお取り下さい。」と言って、別の爪楊枝ケースを持って来て、フタを開けながら、満面の笑顔で私に言った。
かなり爽やかな笑顔であった…
私は、爪楊枝を一本取ると
「ありがとう!」
と言ってから、トレーを持って席に戻った。
そして、まず私はラーメンスプーンでラーメンのスープを掬い、口に運んだ…
口の中に魚介と豚骨の懐かしい旨味が広がった…やっぱり、昔から変わらない癖になる味であった。
次に初めて食べるスガキヤのカレーライスを一口食べた…なんの問題もない普通のカレーであった…
とにかく、私は一気にラーメンとカレーライスとサラダを食べた。
凄く満足であった…
私は、最後にコップの水をゆっくり飲んでから、席を立ち返却口にトレーを運んだ。
すると、ニッコリ笑顔の店員と爽やか笑顔の店員が声を揃えて私に言った。
「ありがとうございました!」
非常に気持ちのいい笑顔と声であった…
私は、
「ご馳走さま!」
と言ってフードコートを後にした。
フードコートを出た私の身体にパワーが漲って来るのが感じられた…
「午後も頑張ろう!」と私は心で叫んでいた…
だが、風は吹いていなかった…建物内なので…
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