第12話 呪いの魔法…
私は、かなりの強風の中、北に向かって歩いていた…
風は強かったが、雨は止んでいた…
雨が降ると思っていたので、止んでくれてラッキーであった。
私は、大きな公園を過ぎる時に携帯の時計を見た。9時21分であった。
「少し早めに着くな…」と私は思った。
それからすぐに私が前を見ると、50メートル程先に一人の爽やかそうな男が立っていた…
その男は、ディーンフジオカみたいな男であった。
ディーンフジオカみたいな男は、
「おはようございます!」と言って、爽やかな笑顔を見せた。
私は、
「おはよう!頑固オヤジは、居ないの?」と聞いた。
何故なら、ディーンフジオカみたいな男が、その店の前に立っていたからである。
その店とは、頑固オヤジのたこ焼き屋「くろ潮まる」の事である。
ディーンフジオカみたいな男は、答えた。
「中にいると思います。」
「じゃ、入ろう!」と私は言って、店内に入った。
店内に入ると頑固オヤジがカウンターの中にいた。
私は、すぐに
「おはようございます。今日もよろしくお願いします。」と言って頭を深々と下げてから、カウンター席の端の席に座った。
ディーンフジオカみたいな男も同じようにして、私の隣に座った。
頑固オヤジは、言った。
「おう!来たか!もう一人はどうした?」
「もう来ると思います。彼は、バスで来ます。」
まもなく、その男はやって来た。
その男とは、次山という男である。
次山という男は、私とディーンフジオカみたいな男の間に座った。
すると頑固オヤジが私達の前に缶ビールを置いた。
私には、「お前は、一番搾り」
次山という男には、「お前はスーパードライ」
ディーンフジオカみたいな男には、「お前もスーパードライ」
私は、初めて知った…頑固オヤジが、人を見てビールの銘柄まで決めていることを…
私達3人は、今日のツアーのスタートを記念して、乾杯した。
それから、私達の前に雪塩たこ焼きが出された…
私は、1つ爪楊枝で刺して、口に運んだ…そして、すかさず一番搾りを流し込んだ。
たこ焼きのタコが雪塩によって旨みが際立ち、そこに少し苦味のある一番搾りが流し込まれ絶妙なハーモニーを奏でた…
「旨い!旨過ぎる!」
私達が一本目のビールを飲み干すと頑固オヤジは、私達の前に飲み物を置いた…
私には、レモンチューハイ…
次山という男には、一番搾り…
ディーンフジオカみたいな男には、スーパードライ…
私は、初めて知った…この店では、缶チューハイが出て来ることもある事を…
「なんで俺だけチューハイなんだろう?」私は心の中で思ったが、怖くて頑固オヤジには聞けなかった…
やがて、一人の男が店にやって来た。
その男は、マスターと呼ばれる男 池ちゃんであった。
私は、池ちゃんに言った。
「店の準備に呼ばれてるんじゃないの?」
「ちょっとだけ時間があるんで…」
と言って、池ちゃんは店頭のオープンテラス席に座った。
すぐにもう一人、男がやって来た。
心臓が止まった男 井上隊員である。
私は言った。
「今日、警察の取り調べあるんじゃないの?」
「9時からだったんで、1時間程で終わりました。」
と言って、井上隊員は池ちゃんと同じオープンテラス席に座った。
そして、私達5人は井上隊員の取り調べが無事終わった事を祝って乾杯した。
11時前に凄い雨が降って来た。
だが、頑固オヤジは言った。
「もう時間だ!早く次に行け!」
「でも、凄い雨が降ってますよ…」
「走って行けばいいだろう!早く行け!」
私と次山という男とディーンフジオカみたいな男の3人は、雨の中走った。
そして、着いた。
そこは、「ジョニーのからあげ 尼崎塚口店」であった。
時間は、10時58分であった…
店に入ろうとドアに手をかけたが、鍵がかかっていた…
私は、窓から店内を覗き込んだ…
すると、女性的な眼差しのマスターと目が合った…マスターは、満面の笑顔で鍵を開け、迎え入れてくれた。
私達は、まず飲み物を注文した。
「水3つ下さい。」
女性的な眼差しのマスターが、元気な声で
「はいよ!」と返事した。
しばらくして、凛とした感じの背の低い美人店員が生ビールを3つ持って来た。
この店は、どんな飲み物を注文しても生ビールが出てくるシステムの店である…
私達は、生ビールで乾杯した。
次山という男が言った。
「あの女の人、歳が2億才でしたっけ⁉︎」
「違うよ!8000才だよ!そんなに歳を間違えたら、怒られるぞ!」と私は言って、女性店員を見た。
女性店員は、笑顔でこっちを見ていたが、明らかに目は笑っていなかった…鋭い眼光で次山という男を見ていた…
私は、思った。
次山という男は、きっとあの魔女に呪いの魔法をかけられると…
それから、私達は「おでんの3種盛り」を注文した。
だが、出て来たのは、「ポテトサラダ」「鳥の唐揚げ」「牛肉とピーマンの炒め物」であった。
ピーマンが最高に旨かったので、私達は大いに盛り上がり乾杯した。
そして、時計を見ると12時になっていた…
私達は、急いで会計を済ませ店を出た。
女性的な眼差しのマスターが
「行ってらっしゃいませ。」と満面の笑顔で言ってくれた…その横にいる8000才の美人魔女店員も笑顔だった。だが、その目は怪しい光を放っていた…私は、改めて思った。次山という男は、絶対呪いの魔法をかけられると…
外に出ると雨は止んでいた…
私達は、ジョニーの店の前の信号を渡り、次の店にたどり着いた。
その店の名は、「ホルモンかず」
私達が信号を渡ると店の前で皆んなが出迎えてくれた。
出迎えてくれたのは、ホルモンかずの店主ちゃーちゃん、マスターと呼ばれる男 池ちゃん、心臓が止まった男 井上隊員、ペラペラ女まどかであった。
私達は、店の前で記念撮影してから、店内で乾杯した。
この店のチューハイは旨い。だが、店内の客でホルモンを食べる人は、ほぼいないという珍しい店である。ホルモンが不味い訳ではない。ここのホルモンは、最高に旨いのであるが、ホルモンを食べないというのが、1つのステータスとなっている…
次山という男は、この店に初めて来たのであった。だから、もちろんこの店のホルモンを食べたことが無かった。
仕方ないので、彼だけはホルモンを食べることを私は許可した。
ホルモンを食べた彼は、「旨いです!」と言った。だが、彼がこの店でホルモンを食べるのは、これが最後である…「ホルモンを食べない店 ホルモンかず」である。
私は、つくねと茄子のおひたしを食べた…絶品であった…チューハイとよく合う惣菜である。
この店は、「惣菜の旨い店ホルモンかず」であった…
私達は、その後楽しい乾杯をして大いに盛り上がった。
そして、私は壁にかかっている時計を見た…13時20分であった。
私は、言った。
「それでは、そろそろ時間となりましたので、ラスト乾杯をさせて頂きます。
カンパーイ!」
私と次山という男とディーンフジオカみたいな男は、店を出た。
空は、気持ちのいい青空であった…
私達は、それから最後の店に向かった。
だが、最後の店は持ち込み専用の店なので途中にあるスーパーで買い物をしてから、向かった…
スーパーを出ると3分ほど歩いた所にその店はあった。
その店は、看板もない店であった…私達は、店の入り口の鍵を開けて店内に入った。
店内は、照明も消えていたので、私はスイッチを入れて、照明を点けた。
私達は、持ち込んだ物をテーブルに並べてから、乾杯した。
そして、最後の反省会が始まった…
だが、何故か?私は意識が無くなっていくのを感じた…
私は薄れていく意識の中で気づいた…2軒目に行ったジョニーのからあげで8000才の美人魔女店員が呪いの魔法をかけた相手が、次山という男ではなく私だったことを…
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