第7話 別居前の外食…

 私は、妻にメールを送った…


「晩ご飯、どうする?」

 私は、その日夕方に打合せを終えてから、妻にメールしたのだ…

 その日、私は事務所に戻らず直帰する事にしていた。


 妻から、かなりの時間が経ってから返信があった…

「どうしたの?」

 私は、更にメールで返信した。

「イタリアンでも、食べに行かないか?」

「いいけど…」

 私たちは、待ち合わせしてから、あるイタリアンレストランに行った…


 そのレストランは、駅前のビルの3階にあった…看板には、「サイゼリヤ」と書いてあった。


 店に入ると、降っている雨の所為か…ほとんど客が入っていなかった…

 50才前後の中肉中背の女性店員が、すぐに出て来て、

「2名様でしょうか?」と聞いた。

 私は、「はい!」と答えると

 女性店員は、奥の方のテーブル席に案内して

「こちらの席でお願い出来ますでしょうか?」と言った。

 私は、

「こっちの席でもいいですか?」と違うテーブル席を指差した。

 女性店員は、

「大丈夫です…」と言ってから

「ご注文がお決まりになりましたらベルでお知らせ下さい。」とマニュアル通りの台詞を言ってから立ち去った。

 その50才前後の中肉中背の女性店員は、かなりスタイルが良かった…

 たぶん、若い頃まあまあモテたんだろうなぁ〜と私は思った…顔は、別にして…


 私は、メニューを見ながら妻に言った。

「飲物は、ドリンクバーでいいよな?」

 妻は、答えた。

「水でいい…」

「なんで?」

「そんなに飲めないよ…」

「そうなんだ…」


 しばらくして、メニューを見ていた妻が言った…

「このセットドリンクバーって何?料理と一緒に頼むと190円なの?」

 私は、返事した。

「そうだよ…知らなかったの?今まで何十回もここで注文してただろう?」

 妻は言う…

「こんなに安かったんだ…」

 私は、心で呟いた…「やっぱり、天然だ…」


 私は、ベルを押して店員を呼んだ…

 するとすぐに先程の50才前後のスタイルのいい女性店員がやって来た。

「注文をお伺い致します。」

 私は注文した。

「辛味チキン、野菜とキノコのピザ、キャベツとアンチョビのソテー、アスパラガスのオーブン焼き、ドリンクバー1つ、生ビールジョッキ、以上」

 女性店員は、無表情で注文を繰り返し去って行った…

 私は、改めて思った…スタイルはいい…顔は別にして…


 料理が出て来るのを待っている間に妻が言った…

「今日は、なんで外食なの?」

 私は、答えた…

「明日、仕事で帰りが遅くなるんだ…たぶん、10時頃になるかもしれない。」

「そうなんだ…」

「明後日から、別居だから今日外食しようと思った…」


 私達は、明後日からしばらく別居することになっていた…


 やがて、注文したものが20才代の男性店員によって運ばれて来た。


 そして、私達は乾杯した…


 私は、ピザを切ってから、一切れ口に運ぶ…キノコとチーズの旨みが、口の中で広がった。私は、すかさずビールを流し込み、唸った。

「う〜!旨い‼️」

 それから、辛味チキンにかぶりつき、ビールを飲む…幸せであった…


 私は、ビールを飲み干すとベルを押して店員を呼んだ。

 すると、20才代の女性店員がやって来た…私は、デカンタ500赤ワインを注文した。


 この店のワインは、かなり安い…だから、この店ではワインを飲む事にしている…


 私は、料理とワインを楽しんで、妻もドリンクバーでソフトドリンクを4杯お替わりしていた…


 そして、私達は締めの料理を注文した。

 妻は、カプチーノケーキ…私は、イタリアンサラダとアーリオオーリオ…


 アーリオオーリオは、ベーシックなスパゲティでいろんなものと混ぜて食べると自分流のスパゲティを楽しめるのだ…

 私は、まず唐辛子フレークと粉チーズをいっぱい振りかけて食べてみる…

「旨い!」私は呟いた…

 そして、今度はイタリアンサラダと混ぜて更に唐辛子フレークと粉チーズを追加で振りかけて、食べる…

「旨い!旨すぎる‼️」

 私は、思わず叫んでいた…


 私達は、すべて食べ終わり、ワインも飲み干して、満腹で凄く満足であった…


 私は、ゆっくり水を飲み干すと妻に言った。

「美味しかったね…もう行くか?」

 妻は、頷きニッコリ笑った…


 私達は、レジに向かい会計した。

 レジの20才代の女性店員は、言った。

「2981円でございます。」


 店を出た私達は、

「やっぱり安かったね〜!」

「あれだけ飲み食いして、二千円台か…」


 その後、妻は自転車を取りに行った…

 私は、1人で家に向かって歩き始めた…


 外は、相変わらずの雨であったが、冷んやりとした風も吹いていた…

 その風がなんとも言えず、私のほろ酔いの身体には心地よかった…

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