第2話 丁度いい店

 私は、あるショッピングモールの3階駐車場に車を停めた…


 このショッピングモールで仕事でも買物でもなかった…

 私の目的は、ランチであった…

 昨日、SNSにある人が投稿していたメニューを見た瞬間に私は今日のランチは、ここと決めていた。


 私は、3階からエスカレーターで1階のフードコートを目指した。いつも思う事だがここのエスカレーターは長い…それに2階で一旦フロアを歩かないとダメなので、面倒である。


 1階のフードコートに着くともう13時過ぎというのにかなりのテーブルが埋まっていた…

 私は、空いているテーブル席の椅子に鞄を置き、目的の店に行った。


 店の前に行くと5人ほど、レジで待っていた。

「やっぱり、結構人気あるなぁ〜、みんなたまに食べたくなるんだろうなぁ…癖になるもんな…」と私は、心の中で呟いた。


 私の順番になり、50代のおばちゃん店員に私は注文した。

「超肉入りラーメン。半熟玉子トッピングで…」

 店員は、私の注文を繰り返してから「600円です。」と言い、私が支払うと呼び出しブザーを私に渡した。

 私は、店の棚からコップを取り、フロアの真ん中にある給水機で水を入れてから、席に戻った。


 私の目的のその店とは、「スガキヤ」であった。私が昨日SNSで知った情報とは、この「超肉入りラーメン」が期間限定販売されているという事である。

 超肉入りラーメンとは、通常の肉入りラーメンに比べ肉が2倍の10枚、麺も1.5倍というものである。


 数分後、ブザーが突然鳴った。

 私は、すぐに呼び出しブザーを持って店に行った。

 トレーにのったラーメンを受け取り、箸とラーメンフォークを取ってから、席に戻って座った。


 ラーメンは、いつもと変わらぬ色合いであったが、さすがにチャーシューが小さいとは言え、10枚も並んでいるのは壮観な眺めであった…


 まず、ラーメンフォークでスープを掬い口に運ぶ…口の中に魚介とんこつスープの旨みが広がり、香りが鼻から抜ける…いつも通りの味…癖になる味わいであった。


 それから、私は一気にラーメンを食べ進めた。いつもだとあった言う間に食べ終わってしまうのだが、さすがに今日は食べ応えがあった…食べ終わった私は呟いた。

「丁度いい…」


 本当に全てが丁度いい量であった…チャーシューも麺も全体的なバランスも…全てが食べ飽きない量であり、少な過ぎない量…そして、価格も丁度いいと私は思った。


 食べ終わった私は、ゆっくり水を飲んでから立ち上がり、トレーを返却口に持って行き、おばちゃん店員に「ご馳走さま」と声をかけて店を後にした。

 私の後ろから、おばちゃん店員の元気な声が聞こえた。

「ありがとうございました!」

 私は思った。

 声の大きさ、元気の良さ…丁度いい…


 やっぱり、ここは丁度いい店だ…

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