第5話 頭良すぎて一周まわって馬鹿な人

みなさんは、どんな人と一緒に仕事したいって思いますか?


自分の指示通りにそのまんま動いてくれる人。時間は多少かかってもミスなく完璧に作業をこなす人。せっかちで抜けは多いけどやたら仕事が早い人。


色んな人いますよね。自分もその時のニーズによって必要な人が違ったりするしね。


今日はそんな中でも特に「頭良すぎて一周まわって馬鹿な人」についてお話したいと思います。


まず、仕事の効率化についてちょっと語りますね。


色んな方法があると思うんですが、「見える化=仕事効率化」ではないということを意外と見落としがちだったりします。


何かにつけてタスクリストを作らせる人が多いはずです。


タスクリストにできる仕事と、そうじゃない仕事がある。まずここの区別ができないといけないんです。そうじゃない仕事を無理矢理タスクリストにしようとすると、それはもはやタスクリストではなく、削り出した垢みたいなもので、大した役にも立たず、削り出した時間さえ無駄、またそれを収集する時間も無駄、という恐ろしく非効率な状態になる。


概して、人の成長に関わる作業を見える化することは無意味だと考えていいと思っています。Aさんのレスポンスの遅さを改善する、とか、勤務態度を改めさせる、とか。ノルマがある場合は別ですが、人の成長は基本的にその人のやる気次第。やる気があるかどうかなんて他人には分からないし、そこで本人が躓いたらそこから先に進めない。そこに他人が介入し見える化し経過を見守って逐一ログするなんて、はっきり言って無謀です。


頭が良い人は、タスクリスト好きが多い気がします。見える化することで優先順位がつけやすくなって、自分だけじゃなく相手への指示も出しやすくなり、かつ着実に仕事をこなしている感覚を味わえるから。でもその作業に対してタスクリストが必要かどうかすら分からなくなってしまったら、それはもう単なる馬鹿です。頭良すぎて一周まわって馬鹿になったパターン。


もう一つ例をあげましょう。


頭が良い人は、知識の蓄えが尋常じゃない場合が多いんです。色んな所にアンテナを張って、すぐ調べて、すぐ蓄積するから情報量が半端じゃない。だから「知識のある人」として重宝されますよね。


しかしね、たまにその知識が逆に邪魔をして、単純に「面倒臭い人」になっている場合があるんです。知識が過度な自信を生んで、融通が効かなくなっていたり、一般的な考え方ができなくなっていたり。そういう人は必ず裏で面倒臭い人呼ばわりされています。


例えば、こういうデザインがあるんだけどどう思うかという議題に対して、一般人は良いor悪いを直感で判断する。でもちょっと考える人は別案を持ってきて比較する。頭の良い人は市場調査をした上でデータ化し、それに基づいた別案を持ってきて比較する。頭良過ぎて一周まわって馬鹿になった人は、市場調査をした上でデータ化したものを、売上と絡めてデザインから生まれる利益について数値化し、なぜか哲学的な観点を被せてきながらデザインの是非を問おうとする。


ブリーフィングの段階で、やたらと踏み込んだことを「みんなの役に立つから」という激しい思い込みのもとベラベラ喋りまくる勘違いインテリ野郎は、元を辿るとすごく頭は良いはずなんだけど、頭が良過ぎて一周まわって馬鹿になった人がほとんどです。


そういう人って煽てに弱いところがあって、みんなが適当に相槌のように凄いですねと言うのを真に受けて、完全に勘違いしているケースが多いです。しかも、その勘違いループからなかなか抜け出せない。はあ面倒臭い。


私だったら、あまりこういう俺凄いです系のお馬鹿さんとは仕事したくないなって思ってしまいます。扱うのも面倒だし、指示出しても別のことやっていたりするし、出される指示も結局よく分からないし。


適度に知識を持ち、周囲への理解と愛情を持って丁寧かつスピーディーに仕事を進めながら、ちょっと面白い個性を良い塩梅で挟める人が、私としては理想なんですが、そんな人なかなかいないので、この人合うなと思った人は大切にせねばと常に思っています。


でも、頭良過ぎて一周まわって馬鹿な人って、普通に話したらめちゃくちゃ面白かったりするんですよね。仕事仲間としてではなく、普通の友達として話を聞く分には、最高に面白かったりする。うんちく話が山程聞けるし、アホみたいな話もかなり掘り下げて真剣に考えてくれるから聞いてるだけでも相当勉強になる。


私の友達で優秀なプログラマーがいるんですが、彼は典型的な一周まわって馬鹿になったタイプの人間で、仕事に巻き込むととにかく我が強くて面倒臭いし、こだわり過ぎて作業が終わらない。もう勝手にやってくれって言いたくなる。


でも普通にご飯行ったりして話を聞くとめちゃくちゃ面白いんですよ。ちょっと前だけど個人でキリンを飼うにはどうしたらいいのか、という話を延々としていて、最終的には購入ローンのプランまで組み立てましたからね。途中、家の改修とか、動物園や政府との交渉とかも入れつつね。


そういうくだらない話を、独特の感性とヲタクっぽいマイナーな知識で、叶えたい、叶えるにはどうしたらいいの?っていう熱い気持ちオンリーで何かしらの形に漕ぎつけようとする勢い、みたいなところは本気で凄いなと思います。仕事だといやいやそんなこと求めてないからってなるけど、普通に話を聞く分にはめちゃくちゃ面白いじゃないですか。


はい、本日は頭良過ぎて一周まわって馬鹿な人のお話をしてみました。


キリンの話もできるけど、私と彼がその話で終電逃したくらいのボリュームなのでちょっと今回はやめときましょうね。そんな長くくだらないキリン話をトイレで読んでいたら、周りのみんなにうんこしてるって思われちゃうからね。


あっそうだ、うんこの話も書きたいんだけど需要あるかしら。私の腸はロケットペンシル、みたいなタイトルで、延々と消化サイクルと消化器官について語るっていう。うん、需要は無いが要検討だな。


それじゃ、みんなも早くトイレから出なね。

バーイ!

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