第4話 熱帯魚から学ぶ世界平和

かれこれ5年くらい熱帯魚を飼っています。


5年間同じ魚を飼っているわけではなく、不慮の事故や健康上の理由により、たまにスタッフチェンジを余儀なくされています。


大体2、3匹を常時取り揃えており、種類もまちまちですが、名前は全員「むっちゃん」です。代々むっちゃん、全員むっちゃん。ちなみにオスです。(思慮不足が露わ)


なぜ「むっちゃん」なのかという話をし始めると、世界平和の話に持って行けないので、ベーシックインフォはこれくらいにしておいて、本題へ。


今ゴールデンハニー・ドワーフグラミーというやや名前長め(毎回忘れて毎回ググってる)の黄色い熱帯魚を飼育しているのですが、彼らは性格が穏やかで大人しいことで有名な魚です。


にも関わらず、水槽が狭く(そんなに狭くもないんだけど)、オス同士ということもあり縄張り意識が強く、穏やかさが売りの魚たちが毎日のように喧嘩を繰り広げています。


自然界では生息域が広いため、あまり魚同士の喧嘩は起きないらしいのですが、生活範囲が狭くなるだけで元々備わっている本質的な穏やかさを失ってしまうほど、彼等はストレスを感じているということなのでしょう。


私はね、彼等のフラストレーションに同情しながらも、喧嘩を見つけたらなるべく「静かに〜穏やかに〜落ち着いて〜」と呼びかけるようにしたんですね。己を、野生の勘を、取り戻せという意味を込めて。


そのおかげか知りませんが、最近喧嘩をしなくなったんです。それぞれお気に入りの場所を守りながら、互いを認め合い、干渉し過ぎず、たまに様子をうかがいながら。


これこそが世界平和の要なのでは、と思うんですね。


互いの違いを咎め過ぎず、認め合いながら、「干渉し過ぎない」ということが大切なんじゃないかと。


人間も、魚も、相手が気になると気付かぬうちに相手の領域に土足で入り込んで行ってしまうことがある。そして、限られたものの中で背比べをして、羨ましくなって、奪いたくなる。それがエスカレートして、最終的に戦争になったりするんじゃないかな。


ちなみに以前、喧嘩をさせないために一匹ずつ飼育したことがあったんですが、一ヵ月も経たないうちに急逝したんです。環境の変化とか、(私の世話不足とか)色々あったんだろうけど、多分寂しさゆえだろうなと思ったんですね。


人間も魚も、一人では生きられない。嫌いでもやっぱり一緒に居たいと思う気持ちがどこかにあるんだろうなと。…熱帯魚から学ぶ共依存の脅威、みたいなお話もできそうだけど、やめとく?そうだね、やめとこうね。


自分の世話不足を美しくカバーしながら世界平和について少し語ってみたのですが、いかがでしたでしょうか。


それよりも熱帯魚に話し掛ける私の方がキモさの極みだという声が、画面の向こう側から聞こえてきます。知ってます?無言でペットを育てる人の方が不気味だよ。


今日も、複数のむっちゃんたちが私を目掛けて泳いできます。(全員むっちゃんだから)


ねえ、熱帯魚から、世界平和、学べた?

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