ずれ、すなわち子。2019.2.19
空の長身は、
陽、そんな彼よりすこおし高く、
わたしは溝の中から、
うんと背を伸ばした。
住んでいる町の、
家々
壁面には、
ひびのはいって、
どこまでも、どこまでも、接続している
乳児の
乳歯のように、ざらついている
断面。
「男の感傷ほど醜いものはない」
と。
親しい人ののぞきこんだ、溝。
彼の長身は、
わたしの影よりすこしだけ
わたしは溝の中から、
うんと背伸びする。
空の長身が、沈んだ日もあって、
そんな日に、
わたしはずれたと、思うのだった。
ちがうのだろう
陽は沈み、
わたしは溝の中へと、沈んでゆく。
それがせめての、
抵抗だろう。
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