序体 Rapuanleta ~ ラプァンレタ ~6

“少年”の姿は首から下しか見えず、顔はもやにかかったようで、その少年には思い出せなかった。

ただ、“恋”という名は頭にあるが、後は全て、頭の中からまるで水に流されたように、風に吹き飛ばされたようにしてすっぽりと抜けていた。


その少年は、“少年”のことを覚えてはいなかった。



“少年”が名を呼ぶ、●と。

だがしかし、その少年の耳にはその名さえも聞こえることはなかった。



『●、

お前のラプァンレタは…』



──ラプァン…、レタ、



『──ミストルァルタ


ミストルァルタだ…っ!』



──ミスト、ルァルタ…、

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