第15話
大阪は一度だけきたことがあるが、あんまり地理的によくわからない。
「君達は日々力をつけてるようだな。」
サムリーが僕達を見つけて近づいてきた。
「旅行もできて、超便利ですわ。」
僕がそう言うと彩乃がしーというポーズをした。
「君たちは今日から武瑠と合流してもらう。
たけるは透視能力がバツグンで、二重金庫の中であろうが、エレベーターの中であろうが透視することができる。
昨日、大阪の女子高生が誘拐された。
犯人の目星はついている。誘拐の目的は高額な身代金だ。
次にその子の親に連絡があった時は、3人で協力して、彼女を救うのだ。」
武瑠という彼は、クールに僕達に
「よろしく。」とだけ挨拶をした。
おー次は透視能力か。
えーそしたら女の子の服の中も見えちゃうのかよー。
なんて想像してたら
彩乃が
「まったく。不謹慎ですよ。
集中して仕事しますよ。」といったかと思ったら僕達の手を握って高級住宅街のまた一際大きな豪邸の前についた。
さすが彩乃だ。僕だったら家の中にワープしてその子の両親を驚かせていたところだ。
「ごめんください。」武瑠が表玄関のチャイムを押して挨拶していた。
どうやらこの家のお手伝いさんが、応対しているようだ。
大きな門の鍵がカチャと音がして自動であいた。
門の外にも防犯カメラがいくつも設置してあり、僕達が移動する度にカメラが追うように動いていた。
かなりの資産家なんだろうな。
部屋に通されると刑事が数名待機していて、ソファには憔悴しきった両親が二人肩を寄せて座っていた。
「君たちのことはサムから聞いているよ。協力よろしくな。」刑事の中の眼光するどいが、笑うと黒く日焼けした肌と白い歯がまるでトライアルスレローンをしているアスリートのようにも見えた。
どこまできいてるのか?サムリーをサムという位だろうからかなり突っ込んだ話ししてるんだと伺えた。
まあ彼の頭の中に入るとこんな若者がいったいなにができるんだ?と半信半疑みたいではあるが。
そこに電話がなった。
みんなの緊張が走った。
父親が電話を取り、捜査員たちは逆探知の準備をした。
「もしもし。」
父親の声は震えていた。これだけの家に住める程の実業家でも子供が誘拐されたら心配はマックスに決まっている。
「5億円の用意はできたか?」
「用意はしてある娘の声を聞かせてくれ。」
「それはできない。変なマネさえしなければ今は無事だ。金はお前達夫婦で持ってこい。
場所はUSJの地球儀のオブジェ前だ。時刻は一時ちょうどだ。」
モニターを聞いていたが、犯人はこの近くから電話していた。逆探知は話しをのばせなかったので逆探知は失敗だった。
なにか大きな建物の中にいる感じはした。
「すみません。大きな建物、大きな冷蔵庫が映像として浮かびましたが、心当たりありませんか?」
慌ててでかけようとしている夫婦に僕は尋ねると
お父さんが「冷蔵庫?
私の会社には全国の店に配送予定の牛肉が保管してある場所があるが。」
彩乃に目配せして僕達3人は外にでた。
あとから聞いた話しだとこのお父さんの会社は全国に158店舗展開するステーキ店を経営していた。
あの刑事に耳打ちしてその会社の肉の保管場所に僕達はいくことだけ伝え、それから消えた。
「あいつら、本当にエスパーか。」
3秒で保管場所前につくと武瑠が中を透視した。
「女の子が座っているぞ。」
「よし、中に入るぞ。」びゅーん
かなり広い部屋というより、学校の体育館みたいだった。
角の方にうずくまっている女の子を発見。
彩乃、彼女を連れてでれるか?
「はい。やってみます。」
というと彼女の手を掴み、外に出た。
彩乃のことだから病院までワープしただろう。
「寒いな。しかし武瑠なんか変じゃないか?
まずは金の受け渡しがUSJの地球儀だぜ。あんな人がうようよいるところを選ぶかな?」
すると武瑠も「確かに腑に落ちないな。ひょっとしたら犯人の目的は他にあるのかもしれない。」
「武瑠、あの箱を見ろ!やばい感じする。」
「あれは、爆弾だ。あと10分で爆破だ。カウントダウンはじめている。
」
「彩乃、まずい、ここに爆弾がセットされてるぞ、あと10分だ。」
「わかりました。もどります。彼女は大丈夫です。」
といったかと思うと僕らのところにもどり、僕達を外に連れ出し、また中に入ってから消えた。
「爆弾は彩乃にまかせて、僕達は犯人の居場所を見つけよう。」
さっきの女の子の意識に入っていくと、
「わかったぞ。犯人はこの会社の従業員だ。」
「サムリー犯人がわかったよ。社長に対して恨みをいだいている。保管庫を爆破して海外逃亡するつもりだ。それと地球儀につく前の夫婦が入場する時に金を奪う計画だ。緊急配備頼む。」
「わかった。昴よくやった。空港も万全に警備。刑事にも伝えるよ。少しは日本の警察にも仕事残しておいてくれ。」
僕と武瑠は胸をなでおろした。
ところで彩乃は無事なんだろうか?
そう思った瞬間に彩乃が戻ってきた。
「ただいま。任務完了しました。」
「やれやれ、無事でなによりだ。あ~腹減ったな。なにしろ移動や透視はエネルギー使うよな。懇親会をかねて、僕らもエネルギーチャージしにいかないか?」
「いいですね。俺はここの会社のステーキ食いたいんですが。」
「おっいいな。ナイスアイデア。彩乃行くぞ!」
「ラジャー!」
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