第14話
朝からなんだかかわいい声が聞こえてきた。
「スバル、スバル、朝です。彩乃です。もう着いてるんですけど。起きて!」
「え〜誰だって?」
「あ~彩乃?
テレパシー使えるようになったのか?」
「昴に聞こえたんですね。やったー!サムリーや昴と一緒にいたら覚醒もスピードアップしてるみたい。昴も移動できるかもよ。
目をつむってここに来てみて!」
「なになにどこだ?波の音が聞こえているな?
目を閉じて集中!
びゅーん!」
「昴、成功してますよ。ただ、パンツ?!」
「やばい、服着替えるの忘れた。いったんもどる。」
やれやれパンツいっちょの姿彩乃に見られてもうたな。確かこないだ渋谷で買った服があったぞ。
仕切り直しで
「びゅーん!」
「昴も成功ですね。やっぱり私達、確実にバージョンアップしてますよ。」
「そうだな。今日も朝飯抜きだけどな。宇宙人はなに食べてるだ?」
「サムリーがいってました。エネルギーチャージでいいらしいです。」
「味気ないな。やっぱりうまいもんくいてぃ。」
「美味しいかどうかわかりませんが、今日はお弁当作ってきましたよ。一緒に食べましょう!」
そういうと彩乃は海岸近くの木陰にシートを引いて弁当を広げた。
おっこれは料理ができるアピールか?
なかなか気が利くな!
すると彩乃が頬をあからめて
「別にアピールじゃないですよ。
そんなこというなら私一人でたべちゃいますよ。」
「おっそうだった。彩乃には聞こえるんだったな。ということは僕達には秘密は存在しないってことか。それもなんか困ったもんだな!」
二人で大笑いして弁当をうまいうまいとたいらげたところで、
彩乃が「今日は海外にいってみませんか?」
と言った。
確かに航空券買わずともどこでもいけるならこれほど安上がりなことはない。
「そうだな。それなら僕はフランスのベルサイユ宮殿に言ってみたい。マリー・アントワネット」
と言ったとたんに彩乃が僕の手を掴むと
数秒後にはベルサイユ宮殿の中に立っていた。
「おー凄い。これがベルサイユ宮殿か。」
いきなり荘厳な鏡の間についた僕達は感嘆の声をあげた。
その廻廊には
17カ所の大きな窓から外部の明かりを取り入れられその反対側にある壁には578枚の "鏡" が埋め込まれている。
クリスタルのシャンデリアがきらめき、それは荘厳できらびやかな空間だ。
天井も高く、きらびやかな時代を象徴する建物ベルサイユ宮殿はルイ13世が狩猟用に作った邸宅で17世紀半ばに太陽王と呼ばれたルイ14世が増築を繰り返し作り上げた。
宮殿には王族だけでなく貴族が住み、生活をしており、庭園には民衆も入ることが許されていた。その豪華な宮殿と庭を見て民衆は王の力の巨大さを知ったといわれている。
当時の最高の職人たちを招いて完成した宮殿とフランス式の庭園は、いずれも高い芸術性を持ち、それぞれの作者の最高傑作でルイ16世の時代まで国王の居城として使用された後、ナポレオン1 世の時代に増築された。
その後のヨーロッパの宮殿に多大な影響を与えた宮殿は、その美しさだけでなく、そこで繰り広げフランスの歴史を大きく変えたフランス革命の舞台でもあり、マリー・アントワネットという美しき悲劇の女王を作り出した場。
映画で見たことがあったマリー・アントワネットの生涯を栄華な舞台で繰り広げた場所。それがベルサイユ宮殿,
いきなり、一度いって見たかった世界に一瞬でいけるのは、海外旅行の費用をこつこつ貯めてる人達に申し訳なくも思いながらも、感動にひたっていた。
彩乃と背もたれがカーブした椅子に座って天井に描かれた絵画を眺めて素晴らしき遺産に浸っていた。
すると「お楽しみのところ申し訳ないが、緊急事態発生だ。今すぐ、大阪に来てくれ。場所はわかりやすい道頓堀の橋だ。」
サムリーからだ。
「仕方ないな。彩乃いくぞ。」
「ラジャー」
光の渦の中に吸い込まれていった先は大阪だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます