第9話
「ただいまー。」
「あら、昴。毎日この夏休みバイトも勉強もせずなに遊び歩いてるの。まったく大学生になったとたん勉強してる姿見てないんですけど。」
母がほっぺたを膨らませてなにかいってたが、僕の頭の中は今日の出来事に不安をいだいてぼんやりしていた。
「昴。聞いてるの?なんかあったの?」
昔から母は感がいい人で、小学生時代にもクラスの子と喧嘩した時も親には黙っているつもりだったが、結局母親に問い詰められて白状したことがあった。
しかし、今回、宇宙人とか闇の勢力なんていうと馬鹿にされてしまいそうで言えるはずもない。
でも誰かと話さないと気持ち落ちたままになりそうだ。
なので、
「母さんはテレパシーとか信じる?」
と聞いてみた。
すると「あら、そんなこと。テレパシーは信じるわよ。
ほら、昔あなたが中学生の時、学校さぼってた日があるじゃない?
私その日、仕事にでてたんだけど、家に帰りたいと何度も思ったのよね。体調が悪いわけでもないねにね。
それで、仕事を早く切り上げて帰ったらあんたがいたからびっくりして何があったか聞いたじゃない?覚えている?」
「あ~あの時もそうだった。
なんで急に帰ってきたか驚いたもんな。
あの一週間前からクラスのやつらの遊びだったのかもしれないが、クラスの10人位の男子が僕を教室の角に押し付けられることが続いていたんだよな。」
「そうそうそれ聞いた時にびっくりして、クラス担任と教頭先生に話しにすぐに学校いったものね。
あんた黙ってるからわからなかったけど、知らず知らずにSOS出してたんじゃない?
本当に、先生方の対応も良くてその日の内に解決してくれて助かったね。」
「確かに男ってそういうことあってもかっこ悪いとか思っていえなかったからな。助かったな。
あの頃のクラスはターゲットは誰でもよく、他にも蹴られたりしていたクラスメイトいたけど、その日に学級会があってあの日から全くピタリとなくなった。」
「私もどうして、家に帰りたかったのか今だにわからないけど、これが虫の知らせっていうテレパシーなんじゃない?」
「ふーん!そうか。なるほどね。それじゃあかわいい彼女ができるように僕もテレパシーを送るトレーニングをするよ。」
「なにばかなことばっかりいってるんだか。ちゃんと将来の事も考えてしっかり勉強もしなさいよ。
ご飯たがらお皿出してちょうだい。」
「はい、はい了解しました。」
明るい母の声になんだかなごんだが、今までも何回も母に助けられていたことをありがたく噛みしめていた。
久しぶりに母親の作った餃子がおいしくて腹いっぱい食べると今日の出来事が夢だったかのように思われた。
日常のなにげない母との会話が僕の不安を吹き飛ばしてくれた。
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