第4話

「まさにマトリックスですね。

覚醒するとどうなるんですか?」


「まず、さっき君に言語を使わずに伝達したが、テレパシーを使うことができるようになる。知りたい情報は図書館にいかなくても、Googleで検索しなくても情報を得ることができるようになる。瞬間移動もできるな。」


「でも何故それを僕に伝えるんですか?

あそこに歩いているあの人じゃなく、僕に?」


「それは、実は君は地球に生まれてきた宇宙人だからだよ。君は地球人として生きながら、実は地球を救う使命を持っている宇宙人なんだよ。」



「・・・」


「まあ、いきなりそんなこと言われたら気持ちの整理できないよな。でもずいぶん前に誰かに言われたことがあるんではないか?」


「実は、母が占いにはまっていた時期に、僕が高校生の時に、いろいろ見えるという先生に話しを聞いたことがあり、その時に あなたは宇宙人ですと言われたんです。意味わからずに、帰り道に笑い話で母と盛り上がったことがありました。


なにしろ宇宙人にしては、自分は取りたてて特に才能も無ければ、友達も多くなく、どちらかといえば凡人の普通の高校生でしたから。」


「そう、君は明るく誰とでも友達になれて、人望あつくいい人を演じていたが、自分の本心や人を見る目や観察力はすぐれていて、本当の自分の姿や自分の考えを人に話したことはなかったな。


あまりにも突拍子もなく、また人の心が読める為、その場を荒立てないように知らないふりをし続けてきたはずだ。そうだろ。」


「確かにそれはあります。あんまりはっきり思っていることをいうと問題になりそうなので黙っていたりしたことも多々あり、理解力のある祖母以外には本心を言わずに、やり過ごしたことはあります。


まあ、人の心が見え過ぎて疲れるので、わざわざグループ行動もしないし。優しい人にくっついて行動することはあっても、妬みや嫉妬心、競争心あらわな人には近づかないように自分を守ってきました。」


「よく知っているよ。多分生きにくいと感じていたよな。」


「まあ、生まれてきた時からそんな感じだったから、特に違和感もなかったですが、けっこう冷めた感じで人も自分も見ていたかもしれません。」


「ただ一度感情が高ぶって不思議な力を体験したことがあるばずだよね。」


「あの事いってるんですか?」僕は数年前の泡のように消えた恋のことをサムリーが言っているとすぐにわかった。


なぜならその時のことは親にも祖母にも友人にも誰にも言っていない秘密だったからだ。

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