第2話
僕はテレパシーはたまに使って試したことはある。
例えば、高校生の時に気になる女の子にこっち振り向け!と強く念じると、何故かさり気なく振り向いてくれる。
肩まで伸びたサラサラの髪が風になびきまさに天使の様な笑顔だ。
でも彼女はなにごともなく、また友達の談笑の和に戻っていく。
また、たまに妹に携帯電話を使わずに、テレパシーでちょっと用事あるんだけど!
と思ってみると。
その日の内に妹から「明日隙?お茶しない?」なんてラインが来たりする。
これがテレパシーなのかな?位にしか思ってなくて、まあ誰でもそれ位の経験はあるだれうなと感じていた。
よく、母も久しぶりに電話かかってきた友人に「ちょうどあなたのこと考えていたのよ。」なんていうセリフを言っているからだ。
だが、今日のこれは、そのレベルではない。
背が高く、鼻の高い無表情の色白の見知らぬ青年が向こうから歩いてきて、僕とすれ違いの瞬間に
僕の名前をいったんだ。
そして続けてこう言った。(この先の井の頭公園で歩きながら話そう。怪しいものではないから。)
正直、怖かった。
最近安全と言われている日本もわけのわからない様な悲惨な事件を毎日のようにテレビのニュースで見る。
歩いているだけで、なんの罪もない人達がそんな目に合わなきゃいけないんだと国民の誰もが思っているはずだ。
悲しい、怖い、人を信じることができない。だんだんそんな考えが頭の中に渦を巻く。
この人は信じていい人なのかどうか。まだなにも情報がない。
でも、これは僕の人生の中での最大のイベントかもしれない。
誰も経験したことがない、神秘の体験かも。
そう思ったとたん。(どうせなら綺麗なお姉さんが良かったな。)
と一瞬頭によぎった。
するとすかさず(綺麗なお姉さんでなくて申し訳ないが、まずは来てくれのでありがとう。確かに日本も汚染されはじめたな。急がなければ。)
そう伝えてきた。
うわ!ぜんぶ頭ん中読まれてるんだ。
なんか面白くなってきた。この人言葉話せるんだろうか。いろいろな思いがかけめぐりながらも、その人の後についていっていた。
公園のベンチの前でその人は突然振り返り、
「ここに座って話そう!はじめまして、昴君。僕はサムリー。サムリーと呼んでくれ。僕は君を昴とよんでいいかい?」
なんとも優しい話し方をするいい声なんだ。
「はっはい。」
うろたえて返事をやっとした。
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