第77話 2人の異世界人
「お前も異世界人なのか?ならなぜ俺の邪魔をする」
「なんであんたはこんな酷いことが出来るの!?あんたの目的はなに?」
「決まってんだろ?この世界をある国の物にすんだよ!それが俺達の元の世界に帰れる唯一の手段なんだよ!」
「私達はあなたの目的を阻止出来れば元の世界に帰れると言われたわ!」
「なるほどな!じゃあ異世界人同士殺し合うしかないってことだな」
黒いマントの男はニヤリと笑った。
「だがここをファイナルステージにするには少し早いな、いずれお前の仲間と俺の仲間、対決する日が必ず来る!それまで精々レベル上げでもしとくんだな!」
2人の会話を腕を組みながら聴いていたオーガが口を開く。
「お前達が何を言ってるかよく分からんがこの状況で逃げられると思っているのか?」
「オーガ……今回はあまり戦闘用の装備をしてないからだが本気の俺はお前らオーガ族など話にならねえくらい強いからな!俺に喧嘩を売った報いいずれ後悔させてやる」
「おもしろい!我も今のが本気だとは思わない事だ!その顔絶対に忘れんぞ!」
黒いマントの男はスキルを使った。
「スキル発動!イリュージョン」
スキルにより黒いマントの男が複数体出現した。
オーガは逃がすまいと突撃し複数の黒いマント男に攻撃をした。
真矢も炎魔法ファイアで他の黒いマントに向けて攻撃を放った。
だがどれも幻影で本体は既に逃げられていた。
数秒後幻影が徐々に消えていった。
「すまない真矢殿、敵を逃がしてしまった」
「ううん大丈夫、フェンリルは取り返したし村に戻ろ」
オーガはフェンリルを抱え2人は村に戻った。
無事フェオラル村に着いた2人はフェンリルを村長の部屋に連れてきた。
フェンリルは幸い撃たれた箇所が良かったのかそこまで致命傷になっていなかった。
「フェンリル、致命傷じゃないけどかなり苦しそうね」
真矢が心配そうに見つめている。
「ならこれを飲ませるとよかろう」
オーガは自分のバッグから緑色の液体が入った小瓶を出した。
「これは色んな薬草から葉のエキスを抽出した回復薬だ、これを飲ませれば少しは楽になろう」
「ありがとうオーガ!さっそく飲ませましょ!」
真矢はフェンリルに回復薬を飲ませた。
するとフェンリルの荒々しかった呼吸が少しずつ落ち着いてきた。
「おお!良くなってきましたな!ありがとうございますオーガ殿!」
村長はオーガに深々と頭を下げ感謝をした。
「気にするな、お礼なら真矢殿にしてくれ」
「いやいや、お礼はオーガにしてください!」
もはや誰にお礼を言ったらいいのか分からない状況になり思わず3人は笑ってしまった。
外は既に夕方になりかけていた。
「フェンリルは取り返したし私もカタルシアに向かいます!村長さんフェンリルをよろしくお願いします!」
「もちろん!任せてください」
真矢は村に戻ってほとんど休んでないままカタルシアに向かおうとしていた。
「真矢殿、カタルシア城塞都市に行かれるのですか?」
「うん!仲間が待ってると思うから」
「ならば敵を逃がしてしまったお詫びに我が担いで送って差し上げましょ!」
オーガは自慢の筋肉を真矢に見せびらかした。真矢は若干引いたがオーガの足なら明日には着く事を聞きおねがいした。
真矢はオーガの背中に乗り、おんぶの状態になった。
「では真矢殿!行きますぞ!」
オーガは走り出そうとした。
「うん!お願い!--って早すぎー!」
しっかり首を抱えて居ないと振り落とされそうなスピードに真矢は金輪際オーガの背中に乗るのはやめようと心に決めた。
一晩中走り続けているオーガだがあまり息は切れていない。無尽蔵のスタミナもオーガが上位クラスの魔物の要因でもある。
日が昇り世界が朝を迎えた頃カタルシア城塞都市の近くまで到着した。
「真矢殿、すまないがここからは1人で行ってほしい、魔物の我が行くと大騒ぎになるからな」
「うん、ここまでありがとう!」
真矢はオーガの背中から降りて頭を下げ感謝した。
「我は真矢殿の仲間だ!困ったらいつでも頼ってほしい」
「うん、今度私の仲間を連れて遊びに行くね!--じゃあまたね!」
真矢はカタルシア城塞都市に向かい走り出した。
オーガは真矢が見えなくなるまで見守っていた。
カタルシア城塞都市に着いた真矢は門兵に2人の冒険者が来なかったかと聞き、薬屋にいる事を聞いた。
急ぎ薬屋に向かう真矢。
桜の安否が気になりすぎて不安が込み上げてきている。
そして薬屋に着いた。急ぎ店主に2人の事を聞いた。
「あの、すいません!ここに冒険者が2人いると聞いたのですが!」
「あー、あちらの病室にいるよ、2人とも無事だから早く行ってやりな」
真矢は病室に急ぎ向かった。
ドアを開けるとそこには元気そうな?葉留と桜の姿があった。
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