第73話 初恋
「ん、ここは?」
白いベッドの上で目を覚ました葉留。身体は多少だるかったが調子は良い方だった。
「おはよう葉留」
隣のベッドから声が聞こえた。振り向くとそこには笑顔の桜がいた。
「桜!身体大丈夫なのか!?」
葉留は心配そうに言った。
「なんとか大丈夫みたい」
桜は笑顔で答えた。
「良かった、ほんと良かった……」
葉留は安心したのか自然と涙が溢れ手で拭ってもどんどん溢れてきた。それほど桜が生きていた事が嬉しかった。
「もう葉留、大袈裟だよ……でもありがとね私の為にいっぱい頑張ってくれて」
桜は恥ずかしそうにお礼を言った。
2人の話す声が聞こえたのか病室に店の店主ティファが入ってきた。
「おはよう2人とも!だけどまだ無理したらあかんよ!女の子の方は腹に入ってた鉄の塊を取って縫合してるし、男の子の方は自然治癒力を上げる薬を射ってるから2人とも今日は絶対安静にせなあかんで!」
ティファは真面目な顔で言った。
「あの!ありがとうございます!桜を助けてくれて!」
葉留は体を起こしティファに頭を下げ感謝をした。
「最初来た時はびっくりしたけどね、まあ医者として最善は尽くしたよ」
ティファは笑顔で答えた。
「あの、私っていつ頃退院出来ますか?」
桜がティファに質問した。
「とりあえず傷口が塞がるまで……2週間は安静やね」
ティファの答えに桜は困った顔をした。
桜はあの黒いマントに復讐とフェンリルのリルをすぐにでも助けてあげたかったからだ。
「あの、魔法とかで早く治せたりは?」
桜の質問にティファは真剣に答える。
「魔法でその大きい傷は治せない、自然治癒で治すのが1番身体にはいいの--何があったか分からへんけど今は傷口の完治が重要やから我慢してな」
ティファはそう告げ病室から出ていった。
「桜、黒いマントとフェンリルが気になるんだろ?俺がなんとかするよ--たぶん俺の方が早く退院できると思うから」
葉留は桜に想いを伝えた。
「でもあいつすごく強いし葉留にまたなんかあったら……心配だよ」
桜は昨日の葉留の告白を受け少し意識してしまっていた。
「だよな、あいつ強かった……レベルを上げれればな、もしかしたら勝てるかもしれないけど」
レベル3なら勝てるかもしれないと予想する葉留。
「ねえ葉留、私の唇奪ったでしょ」
桜は唐突に言った。
「いや!あれはしょうがなく!ああするしかなかったんだ!」
慌てる葉留を見て桜は笑った。
「女の子の初ちゅーは特別なんだからね、いつか責任取ってもらおうかな」
笑って言う桜。葉留はわかったと頷いた。
今まで葉留の事を何とも思ってなかった、どっちかというと真矢の方が好きだった。
だが昨日の事もあり葉留を見てると心がドキドキしてしまうようになってしまった。これが恋かと思った桜だが、葉留は真矢が好きな事を知っているため実らない恋だと気づいていた。
「ねえ葉留、私、葉留の事が……す」
でももしかしたらと思った桜は葉留に自分の思いを伝えようとした時だった。
バンッと病室の扉が開いた。
扉の向こうには真矢がいた。
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