第72話 緊急手術

なんとか葉留は桜を抱えカタルシア城塞都市に到着した。


ちょうどクイックスタンスの効果も切れていた。


葉留は門兵に事情を話す。


「すいません!ここに医者はいますか!?仲間が死にそうなんです!」


「君たちは一体何者だ!」


門兵が驚くのも無理はない。2人は薬の効果で身体半分が黒く染まっているのだ。


「この前の戦争で活躍したアサシンの桜って分かりませんか?!」


桜の名前を聞いて門兵は騎士団長から桜がここへやって来たら丁重にもてなせと命令を受けた事を思い出した。


「桜殿か!騎士団長から話は聞いている!医者なら薬屋兼病院を営んでいるティファ様の所に行ってみるといい!あの方なら何でも治せるだろう」


薬屋の場所を聞き葉留は再び走り出した。


桜は死と痛みと破壊衝動を必死に耐えていた。


葉留はようやく薬屋にたどり着いた。


店のドアを開き店主の所まで駆け込み桜の今の状態を話した。


店の店主ティファはいきなり入ってきた葉留とその身体に驚いた。


「びっくりしたやん!でもこれはかなりやばい状態やな……葉留と言ったな、ここで待っててや!」


ティファは桜を抱え病室のような所に入っていった。


入って少し経つと病室の中から桜の叫び声が聞こえてきた。


「あー!いだい!やだやだ!やめてよ!助けて!」


桜の悲痛な叫び声が建物の中に響き渡る。


「頑張れ桜!!」


心の中で必死に応援する葉留。先に薬を飲んでいた葉留はもう薬の効果が切れ普通の身体に戻っていた。


桜と戦い、フェオラル村からカタルシアまで走り続け、本当ならもう倒れてもおかしくない状態だが桜の悲痛な叫びを聞いていると、自分だけここでたおれては桜に申し訳ないという気持ちがあった。


悲痛な叫びは長い時間続いた。


約3時間の手術が無事終わり病室からティファが出てきた。


「待たせたね、お仲間さんは無事だよ!」


「あ、ありがとうございますティファさん!ほんとにありがとうございます!」


ティファが桜の容態を話そうとした時、葉留は安心したのか倒れ、気絶してしまった。


ティファは葉留を抱えベッドに寝かせた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る