第69話 死...
薬を使ってダーク葉留の状態で走り続けている。
「桜!もう少しで着くから頑張って!」
桜はかなり衰弱しているがなんとか小さい声で言った。
「うん……がんば、る」
葉留はもう少しと言っているがまだカタルシアまでは遠い。
2度目のクイックスタンスを使う。
葉留は走り続ける。薬を使っているからといって疲れないわけじゃない。
すでに息切れをしているが止まる事は無い。
酸素不足で若干頭が朦朧としているが止まる事は無い。
脚の感覚が無くなってきているが止まる事は無い。
自分がどうなろうとも必ず桜を助けたいと思う気持ちが今の葉留の原動力になっている。
すると桜が口を開いた。
「葉、留……黒いマント、から、フェンリルを……助けて、」
「黒いマントからフェンリルを!?」
葉留は言ってる意味が分からなかった。
そして再び桜が口を開いた。
「ルーンは……魔物か、ら、できてる……はあはあ……」
桜はかなり苦しいが自分のわかってる事を断片的に話した。
「ルーンが魔物からできてる……?分かった!もう話さなくて良いから!無理するな!」
桜は息苦しくなっているがほんの少し笑顔で最後の力を振り絞って葉留に言った。
「葉留……真矢のこ、と……頼んだよ……」
そう言い残し桜は意識を失った。
葉留は泣きながら叫んだ。
「起きろ桜!こんな所で死んでどうすんだよ!3人で生きて元の世界に戻るんじゃないのかよ!桜!!」
どんなに叫んでも揺すっても桜が目を覚ますことはなかった。
葉留は天に向かって叫んだ。
「おいアリス!見てるんだろ!桜を……桜を助けてくれよ!お願いだ!!」
すると葉留にアリスの声が聞こえてきた。
「ごめん……私にそんな能力はないの」
「ふざけんなよ!お前が呼んだんだろ!お前が桜を呼んだんだろ!なら最後まで責任持てよ!」
葉留はアリスに泣きながら訴えたがアリスが返答することは無かった。
葉留は発狂寸前だった。
「くそ!なんでこうなるんだよ!桜が何をしたんだよ!こんな良い奴いないよ……」
桜の顔に葉留の涙がこぼれ落ちる。
「ごめん桜……あの時俺が全力で引き止めていればこんな事にはならなかった……全部俺のせいだ……桜、ごめん……」
葉留は大粒の涙をこぼし自分を責めた。
「同じパーティの仲間を守れなくて何が戦士だよ……」
さっきまで晴れていた空には雲がかかり雨が2人に降り注いだ。
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