第54話 魔法戦士最強スキル

キンっと金属音がなった。


「葉留……あんた最低ね!女性に剣を向けるなんて」


間一髪後衛から真矢が駆けつけ葉留の剣を真矢のレイピアでなんとか受けた。


「真矢!なんでここに、後衛にいたはずじゃ!」


困惑する桜に真矢が。


「桜と葉留に守られてばかりじゃダメだと思って……桜を助けに来たん……だけど、何この状況!」


ルナは息を切らしながら後ろに後退した。


「はあはあ、ありがとう……あなたが真矢ね--というかよく葉留の渾身の一撃をレイピア1本で受けれるわね」


まだ葉留の剣と真矢のレイピアはぶつかり合っている。葉留の全スキル発動の攻撃はルナでも止めれるか分からないものを真矢は平然な顔で受けている異常な状況である。


「葉留ってもしかして敵になったの?」


その真矢の疑問にルナが答える。


「葉留はグライスト軍の実験を受け洗脳されてる可能性がある!」


「なるほど、洗脳か--そういえば葉留って催眠術とかすごくかかりやすい体質なんだよね」


続けて真矢は葉留の過去を話す。


「5円玉を使った振り子で催眠術かかるぐらい弱いの」


真矢は笑いながら話した。


言っておくがまだ剣とレイピアはぶつかり合っている。


この状況で笑いながら話す真矢に桜とルナは2人揃って言った。


「そ、そうなんだ」


「振り子を使った催眠術をやったのは小学生くらいだったかな?その時は葉留を戻すのに抱きついて戻ってきてってお願いした記憶が……え、今思い出すと恥ずかしい」


真矢は恥ずかしかったが洗脳も催眠術も同じだと信じ思い切って抱きつこうと受けて剣を投げ思いっきり葉留に抱きついた。


「辛かったね葉留、もう休んでいいんだよ……私が傍に居るからね」


そう言うと葉留の目からは涙が溢れてきた。と同時に剣を手から離した。


そして葉留もゆっくりだが真矢を抱きしめた。


「俺頑張って強くなって真矢と桜を守ろうと思ったんだ……いっぱい頑張ったんだよ」


葉留は泣きながら真矢に自分の思いを話した。


「そうだよね、葉留いつも私達の事を思ってくれてるのわかってたよ」


「簡単に洗脳なんてされて真矢や桜、先生まで傷つけちゃって」


「大丈夫!一緒に謝ってあげるから」


「ごめん真矢、おれちょっと疲れ……」


葉留は真矢に抱きつきながら眠ってしまった。同時に葉留の半身を覆っていた黒い靄が次第に消えていく。


ルナはにやにやしながら真矢に冗談をいった。


「真矢はお母さんみたいですわね」


それに反論する真矢。


「母親じゃないから!ただの幼馴染みだから!べ、別に好きじゃないわけじゃないんだから!!」


桜がぼそっと言う。


「いや、それ好きって言ってるじゃん」


真矢は赤面した。


これを見ていたグライスト国王が怒りだした。


「なにをやっている葉留!せっかく力を授けてやり、ゆくゆくは副騎士長にさせるつもりがこんな事で寝返るとは!騎士団長!こいつらを全員抹殺しろ!」


「かしこまりました!私が直々に葬って差し上げます」


ルナは騎士団長の力を知っているため真矢と桜に葉留を連れて逃げるよう指示した。


だが真矢は何も答えず葉留を地面に静かに寝せ立ち上がった。


「よくも葉留や桜や葉留の知人まで傷つけて……グライスト王、絶対許さない」


「ふん、生意気な小娘が!やれ騎士団長!」


騎士団長は迷わず真矢に接近し素早くそして一撃で倒そうとしている。


真矢は俯いたままである。


ルナが真矢に逃げろと必死に訴えかける。


だが真矢には別の知らない人の声が聞こえていた。


「そうだよ真矢、あなたは世界の悪から人々を友人を守るために私はこの世界に呼んだんだよ、あなたの優しさで世界を明るくしてね」


真矢の脳内に直接語りかけた謎の人物の話が終わった途端真矢のルーンが光を放ち最上級レベル5Rラドになった。


「今の私は最強だけどそれでも掛かって来るの?騎士団長さん」


さすがの騎士団長もレベル5には恐怖を覚える。が後ろに王様にいる事により逃げる選択肢はない。自分の命を賭けて最強に挑むしかないのだ。


「わ、我はグライスト軍騎士団長!私が負ける事など有り得ぬ!その首をよこせ娘!」


騎士団長は自分の全力をだし向かってきた。


「ならあなたに魔法戦士最強のスキルをあげるわ!眼球に焼き付けなさい!スキル、エレメンタルカタストロフィ!」


エレメンタルカタストロフィ--火、風、水、土属性最上級の攻撃が敵に一気に降り注ぐ魔法戦士最終到達スキル。


今までに見たことも聞いたこともない大規模魔法攻撃が騎士団長のすぐ目の前に降り注いだ。


これには騎士団長も腰を抜かし地面に尻もちをついた。


グライスト国王も呆気に囚われていた。


周囲のグライスト軍及びカタルシア軍も戦闘をやめただただ真矢の魔法を食い入るように見ていた。


魔法攻撃が終わった途端グライスト国王は我に返り全軍に命令をした。


「全軍撤退だ!こんな化け物に勝てるわけが無い!」


そう言いグライスト軍兵士は次々と王国に向かい撤退していった。


世界はそろそろ朝になりかけようとしている。

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