第51話 師弟対決

カタルシア軍の兵士達が次々とやられていった。桜のようなアサシンがグライスト軍にも居るのかと思い恐怖するカタルシア兵士達。


「何者だ貴様!姿を表せ!」


兵士達を倒した犯人が姿を表した。


そこにいる全員が驚いた。現れたのはまたもや子供だった。


兵士達とルナ、桜は驚いてる理由が違う。


なぜならそこに居たのは桜もルナも知っている人物。


青木葉留だった。


桜はすぐに葉留に話しかけた。


「葉留!生きてたんだね!真矢もこの戦場にいるから一緒にいこ!」


ルナも葉留に話しかけた。


「葉留!部屋に居ろと言っただろ!なぜここに来た!」


たが葉留は俯いたまま返事をしようとしない。まるで何も聞こえてないような感じだ。


「どうしたの?早く葉留が生きてたって真矢に報告してあげよ!」


「何を言ってるのあなた!葉留はまだ私との訓練の真っ最中だ!葉留、早く王国に戻れ!」


桜とルナは睨み合った。その時初めて葉留が口を開いた。


「全てはグライスト王のために……」


その言葉に2人は自分の耳を疑った。葉留がそんな事を言う人ではないと知っているからだ。


チャンスだと思ったのかカタルシア軍の兵士が葉留に襲いかかってきた。


「化け物め!死ね!」


葉留に剣が当たりそうな時にスキル、ガードスタンスを発動し剣で攻撃を受けた。


防御力が上がっているためビクともしない葉留に恐怖を覚える兵士。


「全てはグライスト王のために……スキル、グランドショック」


これにより相手が体制を崩したと同時に躊躇いもなく葉留は兵士を切った。


「ぐああ、い、痛い……た、助け……」


葉留は地面に倒れた兵士にとどめを刺そうと剣を振り上げた。


その時桜が葉留を止めようと近づいてきた。


葉留は振り上げた剣を桜の顔の前に振り下げた。


「お前はグライスト軍か、カタルシア軍か、どっちだ?」


桜は葉留の目を見て正常じゃないと悟った。


「私は……カタルシア軍」


「ならお前も殺す」


「葉留!私だよ!桜!なんで分からないの!?」


「俺に知り合いなどいない、俺はただ王の命令に従うだけ」


そういうと葉留は桜に攻撃を仕掛けてきた。が、ルナも葉留を止めに入る。


「葉留、あなたは先生の顔も忘れたの?」


「俺に先生はいないが、あなたはグライスト軍副騎士団長ルナ様です!カタルシア軍と名乗るものは全て抹殺するよう命令を受けております、どうか止めないで頂きたい」


「私が止めなければあなたはどうするの?」


「もちろんそこに居るカタルシア軍の女とここに居るカタルシア軍兵士を皆殺しにします」


「葉留はこんな事をする人間ではないわ!王国で何があったの?教えなさい!」


「それは秘密らしいので言えません!どいてください!」


「そう……なら先生の私を倒してから行きなさい!私への攻撃を認めるわ!」


「副騎士長が言うならしょうないですね、分かりました!倒させていただきます」


するとグライストの兵士から。


「なぜその子供を止めるのですか副騎士長!そいつがいればこの戦争に勝てるかもしれないですよ!」


兵士の言うことは最もだ。だがルナは反論した。


「これは私と葉留の問題だ!お前達は目の前の敵を倒しこちらに敵を近づけさせるな!」


「了解しました!」


兵士は再びカタルシア軍に突撃していく。カタルシア軍はそれを迎えうった。


葉留と戦う前にルナが桜に言った。


「桜とやら、葉留は私に任せろ!たが私にもしもの時が来たらすぐさま真矢と言う女の子と戦線を離脱しろ!今の葉留は前よりも強い!」


桜はルナに任せたくはなかったが今は自分より強いルナに賭けるしかなかったため了承した。


「もういい?じゃあ副騎士長殺さない程度に殺しますね」


「私に1度も勝てたことない奴が良く言うわね!」


ルナはまさかこんな所で師弟対決をする事になるとは思ってなかったが先生として負けるわけにはいかない。


負ける要素もないためルナは余裕そうな表情をしていた。


桜はただ見ている事しか出来なかった。

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